下はその事例で、「日刊ゲンダイ」の愚劣な記事への的確なコメントが連続しているものだ。
なお、岸田の改憲運動は最悪の行為だと思うが、対ロシア経済制裁についての「やっているふり」だけというのは属国の総理としては最善の策だと思う。
(以下引用)「赤かぶ」選のコメントはもちろんカットした。
※文字起こし
9日に実施されたフィリピン大統領選で、フェルディナンド・マルコス元上院議員が圧勝した。
父親は1965~86年の約20年間、住民を弾圧し、独裁政治を行った故マルコス元大統領。国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルによると、当時のマルコス政権下では、政権の意向に従わない住民ら約3200人が殺害されたほか、約3万4000人が拷問を受け、約7万人が投獄されたという。
そんな近代社会では類を見ないような恐怖政治を行った人物の息子が、父親とは別人格とはいえ、新しい大統領に選ばれたのだから驚いた人も少なくなかっただろう。マルコス新大統領は選挙期間中、SNSを積極的に活用。父親の「暗黒時代」を「黄金時代」などと“真逆”のイメージを浸透させ、若い世代らの支持を集めたという。
選挙結果が報じられると、日本国内のネットには、フィリピンの有権者に対して、<言葉だけの美辞麗句を信用とは…><独裁時代に逆戻りしてもいいのか>などと批判の声が並んでいたが、口先ばかりの政治家にコロッとダマされる有権者のオメデタさは、日本もフィリピンと大して変わらない。今だって、岸田政権の「やっているふり」にまんまと乗せられているからだ。
包む中身もないのに風呂敷を広げたペテン師
11日の参院本会議で可決、成立した「経済安全保障推進法」。ロシアのウクライナ侵攻で安全保障環境が一段と緊迫化する中、戦略的に重要な物資や技術の確保を支え、基幹インフラを維持する体制を整備する──とし、岸田政権は同法について「看板政策」などと位置付けているのだが、ちょっと待て。
つい8カ月余り前に行われた自民党総裁選で、岸田が「公約」として「看板政策」に掲げていたのは「令和版所得倍増」や「金融所得課税の強化」「分厚い中間層の復活」だったはずだ。
岸田は昨年12月の臨時国会の所信表明演説でも、現在の経済環境を「(過度な市場依存によって)格差や貧困が拡大し、気候変動問題が深刻化した」と振り返った上で、「新しい資本主義」なるスローガンを打ち出し、「数世代に一度の歴史的挑戦」などと声を張り上げていたではないか。
国権の最高機関である国会で、あれだけの大風呂敷を広げていたのだから、本来であればとっくに国民に具体策が示されているだろう。ところが、その中身はいまだに全く分からないどころか、格差貧困を助長する新自由主義の安倍路線にちゃっかり軌道修正。さらに、今に至っても、岸田は「6月までに新しい資本主義のビジョンと実行計画、骨太方針を取りまとめ、参院選後に総合的な方策を具体化する」なんて言っているから呆れる。
ふつうの庶民の感覚であれば、誰が考えても、岸田が言う「新しい資本主義」は口先だけの思い付き。ロクに包む中身もないクセに大風呂敷を広げたペテン師と思うだろう。それなのに、NHKなどの報道では、岸田政権の支持率は政権発足以来、最高レベルの55%に上昇しているからワケが分からない。
政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「フィリピン大統領選で故・マルコス元大統領の息子が勝利した背景には、若者らが過去の歴史をよく知らなかったことがあります。今の日本も同じで、歴史や憲法をきちんと学んでこなかった有権者が多くなったことが岸田政権の高支持率の一因でしょう。とりわけ、第2次安倍政権以降は新聞、テレビなどの言論界が権力の広報マンとなり、岸田政権の実相をきちんと報じていないため、『やっているふり』にごまかされてしまうのでしょう」
独自戦略が何もない「付和雷同」政権
口先政治家のゴマカシにだまされている有権者には分からないだろうが、これまでの岸田政権の姿勢を見て言えることは、一事が万事、その場しのぎの対応だということだ。
4月下旬に政府が決定した総合緊急対策もそうだ。昨年来から断続的に続く日本経済のインフレ傾向は、ウクライナ戦争も重なって長期化が避けられなくなった。今後は原油などの資源に加え、生活必需品などの価格もますます上昇するとみられている。拡大する一方の日米の金利差で円安はどんどん進行。ほとんど賃金も上げられない中での「狂乱物価高」が現実味を帯びてきたワケだ。
日本経済が「物価高」と「景気悪化」が重なる「スタグフレーション」という最悪の展開に陥らないためにはどういう政策を打てばいいのか。今こそ政府は長期的な展望に立ち、腰を据えた抜本策を国民に示す時なのは言うまでもない。
ところが、国費6.2兆円を投じる緊急対策で打ち出された「目玉」といえば「ガソリン代偏重」とも言うべき小手先の対症療法。中小零細企業から悲鳴が上がる「円安」に対する対応策も示されなかった。
「場当たり対応」はロシア制裁でも同じ。岸田は先進7カ国(G7)首脳オンライン会議の合意を受け、ロシア産石油の輸入を段階的に禁止すると表明したが、記者から禁輸の時期を問われると、「時期は実態を踏まえ検討していく。時間をかけ、フェーズアウト(段階的禁輸)のステップを取っていく」などとゴニョゴニョ。仕方なく足並みをそろえました、というポーズがアリアリだった。
投資を呼び掛ける岸田の姿は悪徳証券マン
岸田は1カ月前にもロシア産の石炭禁輸を明言していたが、フィンランドの研究機関によると、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降のロシアと諸外国の化石燃料の取引額をみると、輸出先ではドイツが首位で、イタリア、中国と続き、日本は16位。つまり、「禁輸する」と言うばかりで、実際は止めていないのだ。そもそも岸田は「脱炭素の技術革新に大胆投資」「化石燃料の依存を減らす」などと言っていたのだから、これらの政策に本気で取り組む気があるなら、さっさとロシア産石炭の輸入を止めるべき。それこそ官民一体となって脱炭素の技術革新を進めれば、将来の成長産業の創出にもつながるはず。それなのに何もせず、ここでも「やっているふり」。こんな状況で、いつ石油、石炭を止めるというのか。
見せかけのグダグダな対ロ制裁の姿勢に欧米諸国も唖然呆然だろうが、岸田本人は能天気そのもの。連休中、東南アジア・欧州5カ国を外遊し、ロンドンの金融街シティーで講演した際には「新しい資本主義」の取り組みをアピールしつつ、「インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」などと呼び掛けていたが、「新しい資本主義」の骨組みすら決まっていない上、急激な円安と物価高に苦しむ今の日本経済に対して、積極的な投資を考えるバカはいないだろう。
お年寄りの財産を狙う「口八丁手八丁」の悪徳証券マンの手口と同じで、無責任極まりない。それなのに外遊後の岸田は「確かな成果を得た」などと悦に入っていたというから開いた口が塞がらない。
政治評論家の小林吉弥氏はこう言う。
「岸田政権はウクライナ問題では米国やEUと歩調を合わせているだけ。独自の展望、戦略がないから石油や石炭を禁輸というばかりで何もしないし、できないという状況になるわけです。岸田首相は外遊の成果を誇示したいようだが、諸外国から見れば『日本は独自に何かやったのか』と見ているのではないか」
支持率が高いとは言っても、しょせんは何も中身がない「付和雷同政権」。国民はその正体にもっと敏感になった方がいい。