2014年撮影、2017年公開のドキュメンタリー映画「The War of Chimeras」

　「ウクライナの恋人たち」と題した動画がTwitterで拡散中です。投稿は2月24日に始まったロシアの軍事侵攻時の様子を伝えるものに見えますが、映像は2014年に撮影され、2017年に公開されたドキュメンタリー映画から抜粋したもの。現在、SNS上では同様の誤解を招く動画・画像が多数拡散されています。 【画像】拡散されたツイート 　「ウクライナの恋人たち」のツイートは、軍服の男性と女声が涙ながらに別れる映像と共に、ロシア軍の侵攻を伝える内容。これまでに1万2000回以上リツイートされ、動画は170万回以上再生されています。しかし、この動画に登場する男女は、2017年に公開されたドキュメンタリー「The War of Chimeras」の映像から抜粋したものです。 　同作は2014年にドネツク州近郊で発生した「イロヴァイスクの戦い」を記録したもの。ウクライナ軍と親ロシア勢力の衝突があった点では現状と重なる部分もありますが、ツイートは本来の文脈から切り離して動画を利用しており、誤解を与える内容となっています。 　同様の投稿は英語圏でも拡散されており、インド系メディアの「The Quint」によるとFacebook上でも8万1000回以上閲覧された投稿が確認できるほか、インドのジャーナリストが同動画をシェアした事例もあったとのこと。 　この動画はウクライナでの惨状を伝えようとしたものですが、反対に「ロシア側が被害に遭っている」と伝えるフェイク動画も、現在多数流通しています。動画や画像は感情に訴えかけやすいものであるだけに、真偽不明の場合は安易に拡散せず、引き続き気を付けていく必要がありそうです。