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<転載開始>
スティーブン・サヒオニー
2023年12月16日
Strategic Culture Foundation
今年のクリスマス、ベツレヘムのホテルの部屋は空っぽで、益々戦場の様相を呈している地域にキリスト教徒巡礼者が旅行したがらなかったため地元企業は苦しんでいる。
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イエス生誕の地ベツレヘムは今年のクリスマスを中止した。現代の祝祭が始まって以来初めて、イエス生誕の地が飼い葉桶広場の木を飾らない。
最初のクリスマスの物語では、ヨセフとマリヤは宿屋から追い出され、全ての部屋が満室だった。今年のクリスマス、ベツレヘム全ホテルの部屋は空っぽで、ジェニンなどの被占領西岸地区をイスラエル国防軍が絶えず襲撃する中、益々戦場の様相を呈している地域にアメリカやヨーロッパからのキリスト教巡礼者が旅行したがらなかったため、地元企業は苦しんでいる。
「家では祝えるが、心の中では苦しんでいる」とギリシャ正教の司祭イブラヒム・ダブールは述べた。「クリスマスツリーを飾るにはどうしたら良いでしょう?」
イスラエル政府は、オリーブ山のキリスト教遺跡を国立公園に変える計画を立てている。イスラエルがキリスト教徒を追い払った後、最終的にそれら全てを金儲けのための観光名所に変えたいと考えているため、古代の教会や聖書の遺跡の将来は不確かだ。
ガザでの戦争とヨルダン川西岸地区の空襲
その後の逮捕も含め、以前から続いていたが、10月7日のハマスによるイスラエル攻撃で1,000人以上のイスラエル人が死亡した後、被占領ヨルダン川西岸地区でのイスラエル国防軍襲撃と攻撃は激しさを増している。
エルサレム、被占領ヨルダン川西岸地区、ヨルダンの様々な教会の長たちは、ガザのパレスチナ人の苦しみとイスラエルのガザに対する戦争で現在17,000人を超え日々増加している死者数に連帯して今年のクリスマスを暗いクリスマスにする集団的決定を下した。
イスラム教徒が大半を占めるヨルダンでは、クリスマスは祝日で、街の広場やショッピングモールの多くが季節の飾り付けで飾られている。しかし全国の集会は、公共ツリーの点灯、クリスマ市場、スカウトパレード、子どもへのプレゼント配布などの伝統的なお祭りを見送る。
アメリカの福音派シオニスト
「私たちには、西側諸国の友人たちに語りかける役割があります」とヨルダン・アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教会の理事長兼総監督のデビッド・リハニ氏は述べた。「闇雲に誰かの味方をせよとはイエスは教えませんでした。」
ガザを「駐車場」に変え、岩のドームを爆破して第三神殿のための場所を作り、イエスの再臨を告げるようテネシー州を拠点とするグレッグ・ロック牧師がイスラエルに呼びかけている有名な映像に彼は言及した。そのようなキリスト教シオニズムと関わるのを聖地現地の福音派は拒否しているとリハニ氏は言った。
エルサレムのパレスチナ人で、小さなパレスチナ福音主義教会に所属するジョン・ムナイヤーは、キリスト教徒への嫌がらせが特に過去6カ月増加しており、国際的影響を及ぼしていると述べた。
「国際的キリスト教世界には、イスラエルを熱烈に支持する人々や占領に反対するパレスチナ人の闘争に共感する人々や、その中間にいる人々が大勢います」とムナイヤーは述べた。「国際会議やコミュニティを回っています。暴力的な出来事は目立った変化をもたらし、イスラエルとユダヤ人に対する正しい態度は一体何かという疑問を多くの人々に抱かせます。」
イスラエル人に攻撃されているパレスチナのキリスト教徒
2002年4月2日から5月10日にかけて、ヨルダン川西岸地区のベツレヘムにあるキリスト降誕教会がイスラエル国防軍(IDF)に包囲された。2002年4月7日、イスラエルに対し、国際的義務に則り、宗教施設を尊重するようバチカン市国が警告した。2002年4月20日、エルサレムのギリシャ正教会が、来る日曜日を教会の人々と教会自体の「連帯の日」にするよう世界中のキリスト教徒に呼びかけ「人々と教会に対する非人道的措置」と呼ぶものを止めるための即時介入を求めた。
2018年のクリスマスに先立ちガザ地区に住む少数派キリスト教徒がクリスマスを祝うためヨルダン川西岸地区やエルサレムのキリスト教聖地や教会を訪れるのをイスラエルは禁じた。
イスラエルとパレスチナ解放機構が1994年にオスロ和平協定に署名するまで約5,000人のキリスト教徒(ほとんどがギリシャ正教徒)はガザ地区に住んでいた。しかし、イスラエル人とパレスチナ人の紛争が続いているため、その数は劇的に減少した。
パレスチナ人200万人が暮らすガザ地区のキリスト教徒は、毎年ヨルダン川西岸地区のベツレヘムとエルサレムを訪れ、そこでパレスチナのキリスト教徒と合流しクリスマスと新年を祝っていた。
2017年の復活祭に先立ち、エルサレムに入ろうとするキリスト教パレスチナ人はイスラエル国防省占領地政府活動調整官組織(COGAT)調整官による承認が必要だった。
2023年1月26日、エルサレム旧市街にあるタブーン・アンド・ワイン・バーのアルメニア人オーナー、ミラン・クリコリアンは、イスラエル人入植者の暴徒がクリスチャン地区にある彼のバーを襲撃し「アラブ人に死を...キリスト教徒に死を」と叫んでいるという電話を受けた。
彼が警察に行くと、犯罪を報告して手を煩わせたことを警官が叱った。
数日後、アルメニア人地区で告別式を終えたアルメニア人が棒を持ったイスラエル人入植者に襲われた。入植者がアルメニア人修道院の壁をよじ登り、十字架が描かれた旗を降ろそうとした際、アルメニア人は唐辛子スプレーを浴びせられた。アルメニア人が彼らを追い払うと、入植者たちは「テロ攻撃だ」と叫び始め、警察はアルメニア人に銃を向け、被害者の一人を殴打して逮捕した。
エルサレムのキリスト教社会に対するユダヤ人の敵意は根強く、あらゆる宗派に及んでいる。2005年以降、聖週間、特に聖なる火の土曜前後のキリスト教祝祭は、軍のバリケードと兵士やユダヤ人入植者からの過酷な扱いを受け、聖墳墓教会に入場できる礼拝者の数は、聖なる火の儀式中11,000人ほどだったが、昨年からわずか1,800人へと大幅に制限されている。
イスラエルで現在のユダヤ過激派政権が権力を握って以来、エルサレムのキリスト教徒に対する事件は、より暴力的で日常茶飯事になったと報じられている。今年初め、プロテスタントのシオンの山墓地にあるキリスト教徒の墓が30基冒涜された。
鞭打ち教会(Flagellation church)では、イエス像をユダヤ人入植者がハンマーで攻撃し、日曜礼拝中、ゲッセマネ教会にイスラエル人がやってきて、鉄棒で司祭を攻撃しようとした。イスラエル人に唾を吐きかけられたり怒鳴られたりするのは、キリスト教徒にとって「日常茶飯事」になっている。攻撃者を捕まえたり罰したりするために警察はほとんど何もしていないと、これら事件の被害者は報告している。
「私が恐れているのは、これらの加害者が知られているのに、彼らが無処罰を享受していることです」と福音ルーテル教会の名誉司教ムニブ・ユーナンは述べた。「それが、彼らがこういうことをしている理由です」
フランシスコ会は聖地の隅々にカメラを設置しているが、執拗な攻撃のため一般の人々に対して益々閉ざされつつある。
イデオロギー的には、キリスト教徒とその聖地を標的にした主な原因は、過激派ユダヤ教集団から来ると共同体や教会の指導者は言っている。
彼らの心は『メシアニック・シンドローム』に取り憑かれている。彼らは全土を乗っ取ろうとしている」と、ギリシャ正教のエルサレム総主教テオフィロス3世は言った。
自分たちは法の適用を受けないのをユダヤ人は知っており、銃によってさえキリスト教徒に嫌がらせをし、それで咎められずに済むのを知っている。キリスト教徒を彼らは「異教徒」や「偶像崇拝者」と呼んでいる。」
「国家安全保障大臣はキリスト教施設などを攻撃する過激派ユダヤ人を弁護していた弁護士だ」と、イタマール・ベン・グヴィルに言及して1月に襲撃されたアルメニア人青年の一人が言った。「最高位の役人が最過激主義者だったら一体何を期待できますか?」
キリスト教徒に唾を吐きかけるユダヤ人
10月5日、イスラエルのユダヤ人がキリスト教徒に唾を吐くのは犯罪ではないとイスラエルの犯罪・治安担当大臣イタマール・ベン・グヴィルは述べた。少数派の宗教を信仰する人々に唾を吐くのは、ほとんどの国で憎悪犯罪と見なされるだろうが、イスラエル政府にとって、それは単に「古いユダヤ教の伝統」に過ぎない。
2023年7月、カトリックのペンテコステ儀式中に、約20人の超正統派ユダヤ教徒がラッパを吹き大声で罵声を浴びせて式典を妨害した。「エルサレム・キリスト教徒の信教の自由を我々は非常に懸念している」と式典に出席したアメリカ国務省代表は述べた。
最後の晩餐が行われたとされる「二階の広間」は6月のミサの舞台となったが、ユダヤ人が外でスピーカで騒音を流し、催しを台無しにし、その2週間後、ユダヤ人の男が「二階の広間」の窓を割った。
2023年初頭以降、エルサレム旧市街では「娼婦マリアの子イエス」と書かれた落書きなどキリスト教徒に対するヘイトクライム20件を含む多数の破壊行為が記録されている。
6月に「なぜユダヤ人は非ユダヤ人に唾を吐くのか」と題する会議が旧市街で開かれたが、イスラエル外務省はボイコットした。
イスラエルのユダヤ人ツアー・ガイド、ロビー・バーマンは唾吐き事件を二件目撃しており、キリスト教徒に対する嫌がらせの取り締まりがないことに憤慨していると語った。ある土曜の朝、ヤッファ門でギリシャ正教の司祭に唾を吐きかける2人の少年を目撃した後、側に立っていた2人のイスラエル警官に注意したが彼らは行動するのを拒否した。
バーマン自身、ヴィア・ドロローサでパレスチナ人警備員おしゃべりしていた際、唾吐き攻撃の犠牲者だった。彼らが話していた際、非ユダヤ人に間違えられた。「現代の超正統派の家族が通り過ぎた。父親、母親、若い夫婦、そして子どもが沢山いた。青年は私の足に唾を吐きかけた」とバーマンは言った。
個々の寄稿者の見解は必ずしもStrategic Culture Foundationのものでない。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2023/12/16/darkness-in-bethlehem-as-christmas-2023-is-cancelled/
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