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「オーバーロード」と「組織悪」

まだ、帰着点のはっきりしない未熟な思想というか、浮遊思考だが、私がいずれ書きたいと思っている「組織悪」の原点のひとつとしての「組織と自分の同一化」ということに関係するかと思うので、書いてみる。
ちなみに、ここで言う「組織」とは、自分と他者の結合体で、小は夫婦や家族や友人から、大は学校や会社、さらには国家まで含む。極端に言えば人類全体も入れてもいいが、さすがに人類は組織化されていない。(NWOが究極の組織で、そこで組織悪も最大になるかと思う。つまり、個々人が単なる細胞の小部分、末端、あるいは分子となり、意思と意志を失う、いや、持つことを許されなくなるのである。)

最初に気楽な話から書いてみる。
私が最近再視聴しているアニメに「オーバーロード」という作品がある。なかなか面白いアニメだが、見る人によってはこの上なく不愉快なアニメだろう。これが欧米で受け入れられない(人気にならない)のは、これが「キリスト的人類愛」の対極にあるからだろう。つまり、「人類否定」思想と言えそうな作品なのである。まあ、簡単に言えば、「世界は設定がすべて」という、ゲーム的人生観だ。つまり、「弱者がいくら道徳や倫理を振り回しても、力の前には無意味である。そして、その『力』は最初の設定で決まっている」という思想だ。ある意味では資本主義の「カネがすべて」あるいは封建社会の「身分がすべて」という思想に近く、人間の尊厳や人間愛という「お題目」など馬鹿にした思想ではないか、と私は見ている。
ストーリーや絵作りや音楽などは非常に優れた作品の部類だと私は思っているが、その根底にある「ゲーム的人生観」というのは、非常な危険性を持っており、それは、その思想が「ヒューマニズム」の対極にあると思うからだ。(私自身、テレビゲームが大好きだが、それが「人生観」になるのは非常に危険だと思うわけだ。)
これが「組織悪」とどう結びつくかというと、主人公の青年はブラック企業に勤め、ブラック労働に疲労困憊した人間として最初に登場するが、彼が「自分が最愛するゲーム内世界」に転生し、「オーバーロード(上主)」となった時、彼は自分の組織防衛のために、あらゆるものを問答無用で踏みにじるのである。それが顕著なのは、彼の居城を単なる廃墟だと思って侵入した盗賊(下級冒険者)一味の人間像を、素晴らしい人間性として描きながら、主人公のアインズは、問答無用で殺戮する、その描写の「人間性の完全否定」「人類憎悪」にある。
つまり、ブラック企業という組織の「組織悪」に疲労困憊しながら、いざ、自分が組織の長になると、その組織の防衛のために他者を殺戮するという、その有様に、まさに組織悪の本性が顕現しており、組織悪とは「自分の悪を拡大したもの」でもあるというわけだ。

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