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「アリストテレス『形而上学』」批判

アリストテレスの「形而上学」を考察しようかと思っている。カント的に言えば「批判」である。批判は「批難」ではない。検討することだ。


(以下引用と考察)

形而上学(第一哲学)

原因について

アリストテレスの師プラトンは、感覚界を超越したイデアが個物から離れて実在するというイデア論を唱えたが、アリストテレスはイデア論を批判して、個物に内在するエイドス(形相)とヒュレー(質料)の概念を提唱した。


(考察)

まあ、イデアというのは曖昧な概念だと私も思うし、たとえば石ころのイデアとかウンコのイデアは何だ、と聞かれても答えようは無いだろう。石ころは石ころだしウンコはウンコだ。しかし、その一方で、人間の想念の中には或る種の「理想形」が存在するわけで、それが芸術として結実したりする。まあ、その「理想形」がプラトンの言うイデアと同じか別かは私には分からない。とにかく、「洞窟の比喩」で言われるように、我々が見ている世界は仮象であり、俗人には見えない(感覚から超越した)イデアが存在する、と言われても証明のしようは無い。
だが、アリストテレスの「現実主義」もまた「形相と質料」だけで世界を説明して本当にいいのか、という気はする。後で出て来る「最高善」なるものは、この思想とどうつながるのか、あるいはまったくつながりを無視したものだろうか。


また、アリストテレスは、世界に生起する現象の原因には「質料因」と「形相因」があるとし、後者をさらに「動力因(作用因)」、「形相因」、「目的因」の3つに分けて、都合4つの原因(アイティア aitia)があるとした(四原因説)(『形而上学』A巻『自然学』第2巻第3章等)。



(考察)
「質料」と「形相」の概念の説明が引用したウィキペディアの文章中に無いので、次の引用に出て来る「質料因」と「形相因」の説明で代用すると「事物が何でできているのかが質料因」「そのものの実体であり本質であるのが形相因」となっていて、これはそのまま「質料」と「形相」の説明なのではないか。それを「世界に生起する現象の原因」として分類したのが「質料因」と「形相因」だろう。つまり、何かの「質料」や「形相」そのものが現象の原因となるわけだ。しかしまた「形相因」が「動力因(作用因)」、「形相因」、「目的因」に分類されると書かれており、「形相因」の中にまた「形相因」があるというおかしな分類になっている。これは分類狂のアリストテレスの手抜かりだろうか。ウィキ記述者の誤りだろうか。
しかし、「形相」を「そのものの実体であり本質である」とするのがおかしいのであり、これは文字通り「形や姿」としてなら、「動力」や「目的」や「質料」や「形相」を包括するすべてを「現象」とすることで分類が完全になるかと思う。まあ、仏教で言う「色」である。
まあ、「何かの本質は何か」という思考そのものが無益なのであり、「現象がそのまま本質だ」と見るべきだろう。単にその現象の中で重要性の高いものと低いものがあるだけだろう。要するに「本質を考える」とはほとんどの場合「現象を要約する」ことであり、その要約によって取りこぼされるものがあり、そうするとそれは現実そのものと乖離するわけである。胃袋やペニスが私の本質だとはならないわけだ。
言っておくが、私は「分類」は否定しない。それどころか、これはデカルトの「分析と総合」という基本的思考法の「分析」と同類の思考法なのである。



事物が何でできているかが「質料因」、そのものの実体であり本質であるのが「形相因」、運動や変化を引き起こす始源(アルケー・キネーセオース)は「動力因」(ト・ディア・ティ)、そして、それが目指している終局(ト・テロス)が「目的因」(ト・フー・ヘネカ)である。存在者を動態的に見たとき、潜在的には可能であるものが、素材としての可能態(デュナミス)であり、それと、すでに生成したもので思考が具体化した現実態(エネルゲイア)とを区別した。



(考察)

「可能態」と「現実態」というこの分類は面白い。ほとんどの若者は自分の可能態を高く見積もり、その「現実態」に絶望するwww


万物が可能態から現実態への生成のうちにあり、質料をもたない純粋形相として最高の現実性を備えたものは、「」(不動の動者)と呼ばれる

(考察)

「神」については、ほとんど考察に値しない、「証明抜きの主張」あるいはただの「個人的定義」である。

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