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天国の鍵58

その五十八 二つの大陸

さて、ハンスたちはそのままロータシアに飛ぶことにしました。
西に向かって海の上を飛ぶ事三日。太陽は三度、前方の海にしずみました。
そして、四日目の朝、とうとう前方に大きな陸地が現れました。
ハンスは、雲の上から遠視の魔法を使って、その大陸全体をながめました。
北半分は密林や草原がほとんどですが、内陸部は、砂漠に近い赤土の大地です。そして、南の方を見ると、はるかかなたの方に、海に向かって突き出した半島のジャングルの中に、人間の住む都市のようなものが見えます。
「あそこに行ってみよう」
ハンスが指差した方に、セイルンは雲の方向を変えました。
 そのジャングルの中の都市は、これまでハンスが見たどの都市よりもりっぱでした。中心部には寺院らしい大きな建物が、広大な敷地の中に立ち並び、王宮らしい壮麗な建物もそのそばにあります。中でも目に付くのは、独特な形の大きなピラミッドです。四方に階段を持ち、てっぺんには小さな家があります。きっと、その家からピラミッドの中に入れるのでしょう。
セイルンは、雲を寺院の中庭に下ろしました。すると、セイルンの雲が下りてくるのを見ていたのか、数人の男たちが寺院から出てきました。
「**********」
その中の、一番えらそうな人が、ハンスたちにはわからない言葉で言いました。頭に大きな羽飾りのついた冠をかぶり、服は、上は裸で、下はふんどしだけです。
「ぼくたちは、七つの噴水のある賢者の庭をさがしてます。どなたか知りませんか」
ハンスが心で呼びかけると、男はおどろいたように言いました。
「あなたがたは神の使いか」
「いいえ、天国の鍵を探す者です」
「七つの噴水のある庭など、ここには無い」
「では、水晶の湖は知りませんか」
「水晶の湖? 確か、天上の湖は、水晶の湖とも呼ばれている。だが、それは、ここからはずっと遠いところにある」
「どこですか?」
「ずっと南だ。ジャングルの中を歩けば、半年はかかる。大きな河の上流に、天から落ちてくるような滝がある。その上が天上の湖、そして水晶の湖だ」
ハンスは、その神官らしい男に礼を言って、雲に乗りました。
「やっと水晶の湖は見つかりそうね」
アリーナがうれしそうに言いました。
 雲は、細長い土地で北の大陸とつながった、南の方の大陸にさしかかっています。

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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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