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老人医療での「薬害」

和田秀樹の文章で、前半というか、全体の3分の2は専門医批判で、一般人にはあまり関係の無い話なので、省略。医療改革は医者自身がやる話で、素人にはどうしようもない。年齢による「薬効の半減期」の違いの話や、薬の「足し算処方の害悪」は一般人も知る価値がある。

ちなみに私は降圧剤を飲んでいるが、自分で調節している。「年齢+90」より低い時は、むしろ低血圧になるほうが危険だとして、飲まない。高年齢で140以下など、かえって問題だと思っている。
ただし、性別や体格差によっても、適正血圧は違うのではないか。低血圧のプロレスラーなどいるとは思えない。彼ら(スポーツ選手は概してそうだが)は馬鹿のように肉を食べるから脳の血管も丈夫だろうが、運動選手は若い人でも瞬間的には最大血圧が200を超えると思う。かなり前にベジタリアンのマラソンランナー(ではなく、ジョギングのカリスマみたいな人か)が脳溢血か何かで死んだ話もあった記憶がある。マラソンやジョギングなら菜食主義でもできるだろうが、健康にとって菜食主義は危険だと私は思っている。まあ、これも一般論としての話だ。基本的には「菜食主義では脳の血管がもろくなる」可能性があると思う。もちろん、体全体の筋肉量も落ちるだろう。(降圧剤の中には「横紋筋融解症」の副作用のあるものもある。私はたぶん、その被害者である。いや、であった。自分で診断して、その薬をやめたが、その後遺症は残っている。)
要は、自分の体格や、仕事や日常生活でどの程度肉体負荷があるかの判断だ。私の祖母は、一日中部屋に座っているような生活だったが、100歳を超えるまで生きていた。生きるだけなら手足の筋肉すらさほど必要は無いのだろうが、体格がいい人間は手足を動かすだけでも筋肉量が必要になる。

(以下引用)

薬の飲みすぎの弊害は高齢者ほど深刻である

専門分化型の医療から総合診療型の医療への移行が進まない限り、高齢者は不調の数だけ薬を処方され続けます。教科書通りの診療であれば、一つの病気に対して3〜4種類の薬を出すのが「正解」なので、実際には、不調の数×3くらいの種類の薬を飲まされているのではないでしょうか。


誤解のないように申し上げておきますが、私は何も、薬を一切飲んではいけないとか、すべての薬がダメだと言っているわけではありません。


ただし、薬の飲みすぎには明らかに弊害があります。だから、数々の書籍で私も繰り返し警鐘を鳴らしているのですが、特に高齢者の場合はその影響は深刻です。


なぜかというと、高齢になるほど肝臓や腎臓の機能が落ち、薬を分解したり使い切れなかった成分を排泄したりするのに時間がかかるからです。


薬を飲むと15〜30分後の血液中に流れる薬の濃度が最も高くなりますが、一定の時間が経つとその血中濃度は半分くらいになります。それまでに要する時間のことを「半減期」といい、薬の種類によっても異なりますが、多くは8時間から半日ほどだとされています。

薬を毒にしてしまう過剰な「足し算処方」

薬を処方されるときに、一日に2回飲んでくださいとか3回飲んでくださいとか言われると思いますが、その根拠になるのも「半減期」です。血中濃度が半分くらいになるタイミングで次の薬を飲めば、効果を持続させることができるので、そのような指示が出されるのです。


ただし、若い人であれば半減期が6時間くらいの薬でも、高齢者の場合は8時間くらい経っても血中濃度が高いままで、実際の半減期は12時間以上になるということはザラにあります。


高齢の患者さんに対してはその点を考慮して、薬の量を調整するのが常識だと私は思うのですが、それが考慮されずに処方されてしまうケースは驚くほど多く、ただでさえ高齢者は体に薬が蓄積しやすい傾向にあるのです。

過剰に残った薬は、もはや薬ではなく、毒となる可能性のほうが高いと言わざるを得ません。


それだけでも問題なのに、総合診療という発想のない臓器専門医は体のあちこちに不調を抱えた高齢者に対し、それぞれの不調に応じた多種類の薬を「足し算処方」するのです。


そんなことをすればあっという間に薬漬けになり、かえって健康を損ね、場合によっては命を縮めることにもなりかねません。


総合診療型の医療への移行が阻まれるせいで、この国の高齢者はそういう危険に日々さらされているのです。


---------- 和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医

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