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癌治療とQOL

「泉の波立ち」と、そこに言及されていた「女性自身」の記事を転載。
私自身は、抗癌剤(あるいは放射線治療)に延命効果があるという事に対しても懐疑的だし、むしろ生命を著しく縮める場合の方が多いと思っているが、抗癌剤や放射線治療にたとえ多少の延命効果があっても、QOLがはなはだしく悪化するという下記記事の主張はまったくその通りだと思う。また、それは私が自分のブログで何度も言ってきたことだ。はっきり言って、癌治療の半分以上(いや、8割以上)は医療業界の金儲け手段として悪用されている、と私は見ている。飯山一郎老人などの見方も同じであるようだ。もっとも、私は乳酸菌とやらで癌が無くなるとはどうも思えないのだが、まあ、詳しくは知らないので、そちらは何とも言えない。
で、下記記事は経済学が専門らしい南堂氏らしく、癌治療が医療費全体に及ぼす経済的悪影響にも言及している。こういう冷徹な発言は世間の非難を浴びがちであるから、それをあえて言った南堂氏を称賛したい。もっとも、こういう「骨太の方針(政策)」を政府などが言い出したら危険信号だが。(笑)


(注)「骨太の方針(政策)」とは、「国民に多大な犠牲を要求する政策」の意味であり、「そういう不人気政策でも堂々と言う俺って骨太政治家だろ?」の意味である。小泉時代と安倍政権の両方で用いられている、黒を白と言うマスコミ用言い換え言語だ。




(引用1)

2013年04月10日
◆ 抗ガン剤の効果は無意味

 抗ガン剤については、1カ月または1割程度の延命効果が見られることが多い。しかし、このような延命効果というものは無意味だ、と私は考える。(常に、というわけではないが、たいていは。)

 ──

 抗ガン剤については、完全否定する見解もある。
  ・ 抗ガン剤はまったく延命効果がない
  ・ 抗ガン剤では寿命がかえって縮まる

 ま、そういう例もあるだろう。(薬剤によっては。)
 ただ、一般的には、1カ月または1割程度の効果が見られることが多い。その幅にはかなり変動があるが。より詳しくは下記。
  → 抗がん剤は延命治療!? (朝日)

 ──

 ただ、本項では、次のことを指摘したい。
 「単純に延命効果を測定しても、意味がない。なぜなら、生活の質(QOL)が悪化しているかもしれないからだ。副作用があったり、倦怠感があったり、病院から出られなかったり……というふうに、弊害が大きければ、生活の質(QOL)が悪化する。その場合、たとえ延命効果があっても、トータルとしての改善効果はあったとは言えない」

 原理的に言えば、こうだ。
   生命の量 = 生活の質 × 生存期間

 たとえば、次の二つを比較する。(ケース1)
  ・ 1年間の余命があって、生活の質は 100%
  ・ 2年間の余命があって、生活の質は 50%
 後者では、生存期間は倍だが、生活の質は半分なので、たとえ生存期間が倍になっても、当たるの生命の量は変わらない。

 たとえば、次の二つを比較する。(ケース2)
  ・ 1年間の余命があって、生活の質は 100%
  ・ 10年間の余命があって、生活の質は  0%
 後者は、10年間も生きられるのだが、その間、意識を失っており、ずっと昏睡状態である。この場合、たとえ生命は維持されていても、生活の質は 0% だから、生きていても死んでいるのと同様だ。このような形で長生きしても、何の意味もない。本人には「生きている」という実感がゼロだからだ。

 たとえば、次の二つを比較する。(ケース3)
  ・ 1年間の余命があって、生活の質は 100%
  ・ 1.1年間の余命があって、生活の質は 80%
 後者は、余命が1割延びたが、病院から抜け出せないし、副作用もいくらかあって、かなりつらい。差し引きして、生活の量は 1割程度、低下している。……こういう例は、けっこうあるだろう。とにかく1カ月か1割ぐらいは延命効果があるのだが、病院に閉じ込められて生きているだけで、生きている実感が大幅に減る。しかも、副作用のせいで、かなりつらい。
 ま、そのどちらを選ぶかは、個人の好みでいい。「生活レベルが大幅に低下しても、とにかく少しでも長生きしたい」と思う人があれば、それはそれでいい。それを「いけない」と非難するつもりはない。
 ただし、別の問題がある。

 ──

 別の問題とは、医療費の問題だ。やたらと高額の抗ガン剤(数百万円程度)が多用されるせいで、日本の医療財政は破綻の危機に瀕している。


  → 出典 (財務省) 


 たいして効果もない(延命効果はあっても、生活の質を低下させてしまう)ような薬剤を使うために、個人が自分の金を使うのは構わないが、国が莫大な金を援助する。そのせいで、国家の負担が莫大になる。
 こんなことでいいのだろうか? 

 ──

 これに対して、反対論もあるだろう。
 「金がいくらかかるとしても、人間の生命は大切だ。たとえわずかな延命効果しかないとしても、大金を負担するべきだ」
 というふうに。
 ま、こういう人は、「消費税が 30%でも 40%でも構わない」と思っているのだろう。それはそれでいい。400万円の年収に対して、消費税 40% と 所得税 で、合計して実質所得が 200万円に減ってしまうのでもいい、と思うのであれば、それはそれでいい。
 問題は、次のことだ。
 「延命治療の終末医療に医療資源を奪われるせいで、肝心の救急医療や普通の医療の資源が食いつぶされてしまって、死ななくてもいい人々が死んでしまう」
 ここにおける死因は、癌ではなくて、「医療崩壊」である。そして、医療崩壊をもたらすものは、「有限の医療資源を、ただの延命治療のために食いつぶすこと」である。

 つまり、ろくに効果もない終末期の患者を、自宅で自由に生きさせるかわりに、病院に閉じ込めることにして、そのせいで、肝心の病院に普通の病人を収容することができなくなる。そのせいで死者が次々と出る。

 これが現状の日本の医療だ。そして、そこにあるのは、
 「延命治療によって延命効果を追及することが大切だ」
 という姿勢だ。ここでは、
 「延命治療を追及することで、普通の病人の生命そのものが奪われる(救えなくなる)」
 ということが起こっている。
 こんなことでいいのだろうか? 

(以下略)





(引用2)

がん名医が末期がんに…それでも「治療しない」と語る理由
女性自身 3月30日(土)7時0分配信


「誰にも言っていませんが、余命は1年もないでしょう」と自らの余命を語るのは、神戸市「新須磨リハビリテーション病院」院長の神代尚芳医師(67)。これまで約200人のがん患者を看取ってきたという神代医師。そんな彼が今、末期の肺がんに侵されているという。

がんが見つかったのは、昨年5月のこと。手術は、親友の医師により7月に行われた。だが現在、神代医師は抗癌剤や放射線治療などの治療を行なっていないという。「『大細胞型』のがんは抗がん剤が効きにくく、放射線治療も効果がないんです。だから、もう対応のしようがない。飲んでいるのも胃腸薬ぐらいです。もちろん、自分がこれまで患者に言ってきたことと違うことをするわけにはいかないという思いもあります」

これまで彼は患者への治療を必要最小限にとどめてきた。それは延命ではなく“自分らしい人生”を送ることに重点を置いた治療だった。神代医師によると、今の医療はやるべき治療を行なっていない一方で、やり過ぎだと思うことも多いという。「もちろん何でも放置すればいいというわけではないですよ。でも手遅れなのに手術を重ね、辛い治療を続けることで“最期の時間”を犠牲にしている人も多いんです」

そんな彼が20年間に渡り提唱してきたのが『完成期医療福祉』という考え方だ。「『死ぬことはこの世から消えてしまうこと』だと考えると耐えられないほど恐ろしい。でも『死は人生を完成させるもの』と思えば、怖くなくなる。つまり充実した最期をもって人生を完成させるということです。そのためには、管理された病院で死ぬのではなく、自宅などの自由でいられる場所で最期をすごす必要があるんです」

患者のために人生を捧げてきた神代医師の考える“人生の完成”。それは、独居老人が自宅に戻って充実した最期を迎えるにはどうすればいいのか。どんなサポートが必要なのかという答えを見つけることだった。「幸か不幸か、私はがんになりました。だから自らが実験台となり、それらを見極めたいと思うようになりました」

しかし、今年2月に脳への転移が発覚。“独居闘病生活”の試みは、断念せざるをえなくなったという。理想と現実の間で揺れ動く神代医師は、しみじみとこう語る。「今回、私は2度の手術をしましたが、これでよかったのかなと思うこともあります。でもそれは最期にならないと誰にもわかりません。医者といっても神や仏じゃなく、人間ですから。何がよかったかなんて最期までわからない。そんなもんです」

そんな神代医師を支えているのは、家族の存在だ。妻の実津子さん(58)がこう振り返る。「今回の独居をいちばん反対したのは、27歳になるひとり娘でした。『なんで最期なのにパパと一緒にいられないの!最期はパパと一緒にいたい』と強く反対したんです。主人は子煩悩でしたからね。その言葉も心に響いたようです」

夫を元気づけようと、実津子さんは日本舞踏の仕事を辞め、夫の介護に専念することを決意。神代医師はいま、妻の作ってくれる手料理を何よりの楽しみにしているという。実津子が続ける。「普段は毎日料理をつくるのなんて疲れると思うはずですけど、今は不思議と楽しいんです。体調がいいときは一緒にお酒も飲んだりするんですよ。もちろん、ほんの少しですけど(笑)。こんな生活は、病院だとできないでしょうね」

神代医師は『いざとなっても救急車を呼ぶな』と実津子さんに言い聞かせているという。実津子さんは、笑顔でこう語る。「実は24時間ずっと主人が家にいる生活なんて、結婚して30年で初めてのことなんです。がんになったのは残念ですが、その反面、いま初めて主人がいつも家にいる。娘にすれば『パパがいる』生活なんです。きっと神様が最期に幸せな時間を与えてくださったんじゃないでしょうか。そう思うようにしています」

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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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