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「老醜」という言葉は死語になったのか?

「さとう内科循環器科医院」というお医者さんのHPから転載。
私はよく医療業界の悪口を書いているが、それはほとんど癌治療と延命治療に関してである。どちらも、無意味な治療であり、医者の金儲け、薬品業界の金儲けのためにだけ存在しているようなものだ。
患者の方にも騙された責任というものはある。そもそも、50年も60年もこの世に生きてきた人間が難病になったからと言って、なぜじたばた騒ぐのか。いったい、何年生きれば十分だと言うのか。
「私、千年も万年も生きたいわ」とは『不如帰』という昔のメロドラマ小説の浪子とかいうヒロインのセリフだったと思うが、千年も万年も生きた婆さん(いや、もはや得体の知れない怪物だろう。スイフトの『ガリバー旅行記』に、そうした不死人間の醜い姿が見事に描かれている。)に誰が用があるもんか。死んで惜しいのは、若者と子供、幼児だけである。彼らはまだ人生を十分に味わっていないから、彼らの未来を病気などで失わせるべきではない。だが、老人には、日常生活を快適に過ごすための医療は必要だが、延命治療など馬鹿げた行為である。癌治療も同様だ。癌とは、広い視野で見れば、「生物的役割が終わった」事の宣告だと私は考えている。もちろん、化学薬品や放射能による若年性の癌はまた別の話である。
さて、下記記事は、珍しく医者の立場から子宮頸がん(なぜ、「癌」と書かないで「がん」とひらがな書きする習慣なのだろうか?)検診と子宮頸がんワクチンの有効性を否定した小論である。文中の「実は子宮頸がん検診がXXXXだということを自ら示しているのです」の「XXXX」は、もちろん「インチキ」という文字が入る。
少し長いが、資料的な価値もあるかと思うので、省略無しで全文転載しておく。

言うまでも無いが、私はすべての老人や「老いること」を否定しているのではない。私自身、他人から見れば爺ィかもしれない。ただ、老人には老人にふさわしい身の処し方があるだろう、と言っているだけだ。特に政界や経済界には、老醜をさらし、世間に害毒を流す老人が多すぎる。そういう人間は早く死んでくれる方が世のため人のためである。
「命長ければ恥多し。長くとも四十に足らぬほどで死ぬこそめやすかるべけれ(感じがいいだろう)」と兼好法師も言っている。もっとも、その当人は四十をはるかに超えて生きていたが。(笑)



(以下引用)*グラフなどは転載できていないので、元記事参照。



子宮頸がん検診で、「がん」患者が「つくられる」

さとう内科循環器科医院 - 宮城県大崎市 (2012年8月 6日 17:57)


グラクソ・スミスクライン(サーバリックス)、MSD(ガーダシル)が、子宮頸がんワクチンのコマーシャルを流しています。
特にGSKは、某女性タレントを使い、「20代の女性に子宮頸がんが増えている」と言わせています....ウソです。
「健診」によって、「がん」患者が「作られて」しまうのです。

「作られて」いるというといかにも人聞きがわるく、「意図的」にそうしているようにとられますが、そうではありません。まず、もともと「がんはあいまいなもの」(下に紹介した福島氏の表現です。とてもいい表現と思います)であるということから始まらなければなりません。「あいまいなもの」に、不適切な方法で無理やり線を引くものだから、「沢山の過剰な診断が生まれる」、ということなのです。

一応、「がんとは何だろうか」という議論から始めなければなりません。マクロ的には「塊」が起こす機能障害と考えます。しかし、一方では「異形」に対する恐怖と不安、というような気がします。
ここに体細胞が一個あって、核の形がおかしいとしても、これを「がん」と決められるでしょうか。組織レベルでは、細胞がある機能を果たす目的に配列しているときは正常、これはいいのですが、そのように見え ないときは「がん」とはならないのです。がんは意外にマクロ的なものなのです。さらに細胞内部の仕組みでは「全くわからないもの」です。がん細胞が生きた細胞であること、体の一部として、10~20年も経過しますから、ますます定義ができなくなります。やはりがんとは、「あいまいなもの」なのです。

「がんはあいまいなもの」というとき、癌細胞と正常細胞をウイルスを使って細胞融合させると、癌細胞の性質を失うという実験を思いだします。逆ではないのです。

皮膚がん、胃がんのような固形がんの診断は、まず肉眼的に異常と思われる塊を認識して、生検といって、その一部を採取して顕微鏡で観察し、がんの診断に至ります。肉眼的に"腫瘍"を確認する作業は、数学的な表現を使えば、あいまいさ(分散)を小さくしているのです。それでも、「あいまいなもの」という "呪い"(もともと持っているの分散の大きさ)からは、根本的に逃れられません。

胃がん検診では、あくまで肉眼的に異常と思われる塊を見出すことに終始します。顕微鏡によるがんの診断(組織診断)が確実に思われますがそうではありませ ん。炎症性の腫瘍を排除し、胃がんにもいくつかの種類があり、細胞の形、並びより、過去にがんと診断された範疇に入ることを確認しているに過ぎません。が んと診断しても、それが将来大きくなるのか、浸潤したり転移したりする質の悪いものかどうかも、案外決められないのです。胃がんの診断過程に細胞診はありません。

子宮頸がん検診の場合は、触診、視診と、細胞診からなります。細胞診は無条件にすべての対象者の子宮頸部の粘膜を拭い取って細胞を採取し、染色して顕微鏡で観察し「がん疑い」をつけるものです。せっかく視診、触診をしておきながら、細胞診に主役を明け渡します。肉眼的に異常と思われる塊が無ければそこで止めるべきなのです。細胞診を行うために混乱に入っていくように見えます。

ここに奇妙な点があることに気がつかなければなりまあせん。子宮頚がんの悪性度CIN1~CIN3は細胞診の場合、核の大きさ形で決めらえます。もう一方では、下の図で示されているように深達度を表すものとされています。さて、細胞の核の形で深達度が決められるものでしょうか。また、擦過細胞診で標本を採取する場合、上を擦って取るのですから、下の図のCIN2とCIN3のような場合、うまく採取されるのでしょうか。










ヒトパピローマウイルスの感染で細胞の形、核の形が変わります。細胞診に拘りますと、これらの変化を悪性ととらえますから、診断が混乱します。数学的な表現を使えば、さらに分散を大きくする要素を取り込んでいる、ということになります。HPV感染が起こって核の形が変わってしまっていても、実際にがん化するのが2%だとすると、細胞診の段階で50倍の過剰診断が生まれることになります。


(ここでのがん化というのは細胞診、組織診断のレベルである。2%という数字は、下の論文の表の Oncogenic(発がん性) HPV: CIN3 to Cancer 0.002-0,017 を多めに2%として利用した。この論文はGSKの賛助のサーバリックス拡販が目的のものである。しかし、がん化の確率はかなり小さく、HPVががん化させるというのはおぼつかない状況に見える。Non Oncogenic HPV: CIN3 to Cancer 0.008 となっていて、発がん率がOncogenic HPV のそれと重なっているのだから、発がん性と非発がん性を分けられないはずである。HPVはがん化と関係ないとする論文もいくつかある。肺結核が結核菌でおこることには、今は誰も疑問をはさまない。しかし、HPVと子宮頸がんの関係はそうではない。)

Br J Cancer. 2007 Jan 15;96(1):143-50. Epub 2006 Dec 5. Estimating the long-term impact of a prophylactic human papillomavirus 16/18 vaccine on the burden of cervical cancer in the UK. Kohli M, Ferko N, Martin A, Franco EL, Jenkins D, Gallivan S, Sherlaw-Johnson C, Drummond M.



20歳代の女性に、40歳以降のがん年齢で生ずるような癌細胞が見つかることは少ないことを考えるならば、若い女性の子宮頸がん検診は、HPV感染による細胞の核の変化ばかりみていることになります。これが若い女性に子宮頸がんが増えているということの実態、と考えることができます。

細胞診で「がん疑い」とされた方には通知が行きます。コルポスコピーで腫瘍の有無の確認をし、細胞診を再度行うのだと思いますが、子宮頸部の円錐切除(一種の巨大な生検)を行い、顕微鏡による組織診断をします。これも、分散を小さくする過程です。しかし、組織診断も顕微鏡の細胞診に、細胞の配列という要素が加わっただけです。細胞診の混乱(分散の大きさ)はあまり小さくなりません。結局同じ混乱上にいることになります。
YouTubeに円錐切除のビデオがありましたが、私の目には全く悪性腫瘍の印象が無いのに、何故円錐切除をするのだろうと不思議に思っておりました。子宮頸部は胃と違って小さく丸いので、"治療"という意味も兼ねて一挙に切ってしまうのだろうと想像いたします。


* 要するに、顕微鏡で「がん」と診断してはいけない、必ず、肉眼で「異常と思われる塊」を認識してから、次の検査をすべきである、といことです。(研修医のころ、細胞診で悪性細胞と診断が出たために、患者さんに意味の無い手術を強いてしまった反省があります。)

細胞診はまず、臨床検査技師である臨床細胞検査士(cytotechnologist)が染色し、顕微鏡で悪性細胞かどうか決めます。基本的に核の大きさ、形で「がん疑い」の程度を決めるのです。「がん」か「正常」かではなく、「がん疑いの程度」を述べているものなのです。それは殆ど「核の形が変だ」という印象に基づいているものなのです。臨床病理部の医師が細胞診の結果を確認するところは無いと思います。医師はそういう仕事に向いていませんし、興味を持ちません。円錐切除の標本は臨床病理の医師が確認しています。簡単過ぎる言い方かもしれませんが、核の濃染度と細胞の配列で診断しているのです。それ以上の診断基準を挙げられるでしょうか。

こう言ったら言い過ぎかもしれませんが、臨床細胞検査士、臨床病理の医師が「がん」といったら「がん」なのです。ところが、ほとんどの場合、この二者は腫瘍を肉眼では見てはいないのです。一応、生検箇所が撮られたフィルム、あるいは医師のスケッチが仲介していますが。

(*に戻ってください。)

さらに悪いことに、臨床の場で、「がん」という言葉が発せられますと、医師も患者も冷静さを失い、処置、手術を急いでしまうのです。また、一度「がん」という言葉が発せられたら、それを否定するのは非常に困難なのです。

腫瘍を目で確認できる場合でも、癌の早期発見を目的に健診を行った場合、必ず過剰診断、過剰手術がおこるのです。肺癌、乳がん、胃がん、どの健診でも必ず起こります。

この辺の問題については、必ず、近藤 誠氏、岡田正彦氏、福島敬宣氏の著書をお読みください。



コバルト:罹患率

マゼンダ:死亡率

黄色:罹患率/死亡率











このグラフは、「20代の女性に子宮頸がんが増えている」と言って、ワクチン接種推進のためによく出てくるものです。GSKのパンフレットのグラフから数字を読み取り、Excelでつくりなおしたものです。

罹患率は子宮頸がん健診で「子宮がん」と診断されたものとおもいます。罹患率を死亡率で割り算したものは、子宮頸部がん検診の有効率の逆数みたいなものですが(過剰診断率?、誤診率?)、システムの一貫性をチェックするときの指標として使えると思います。
もともとこの2つの変数は密接に関連していますから、その比は一定であることが期待されます。値が小さいほど、検診が有効であることを示しています。

上の図をみれば、40歳を堺にシステムの一貫性が無いことがわかります。彼らが「20歳代の女性に子宮頸がんが増えている」という事を示すために出しているグラフは、実は子宮頸がん検診がXXXXだということを自ら示しているのです。(相武サキのコマーシャルでは、死亡率のカーブが消えています。)

XXXXな検診結果をもとに、社会に恐怖を流すことは罪が大きい。
XXXXな検診結果を示して、女性を脅し、ワクチンとは名ばかりの「毒」を注射するように誘導するのでしょうか。

さすがに、このような子宮頸がん検診の結果をもとに円錐切除をやったり、子宮を切除したりはしていないと期待しております。

日本人に子宮頸がんが増えている、20歳代に子宮頸がんが急増するといって脅し、ワクチンをさせようとします(2012年6月29日の一面広告の記事)。この言い方は非常におかしい。
まず、40歳代くらいまでは殆どがんにならないのです。40歳代以上を「がん年齢」という言い方は正しいと思います。
次に日本人女性では子宮頸がんによる死亡は減っているのです。下の図はファクトシートにあったものです。ファクトシートも見てないのでしょうか(黒の破線は私がひいたものです)。

20歳代に胃がんが急増する?、20歳代に肺癌が急増する?、20歳代に卵巣がんが急増する?
そんなことを言っている人は常識を疑われるのです。






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