「ビタミンCで風邪を予防」は誤解、その本来の働きと効果的な摂取方法は?
(中略)
ビタミンCをたくさん取っても風邪には影響しないのだろうか。また、そもそもビタミンCにはどんな役割があるのだろうか。次に説明するように、現在ではさまざまな証拠が積み重なり、ビタミンCの健康への効果について多くのことが明らかになっている。
大量に取っても風邪を予防できないが、風邪を引いたあとには影響も
(中略)
「ビタミンCがそもそも不足している人や、極端に運動量が多い人を除けば、ビタミンCを大量に摂取しても、通常の風邪を予防したり、症状を緩和したりする効果はありません」。米ハーバードT・H・チャン公衆衛生大学院の栄養学教授で、米ボストン小児病院栄養センター長を務めるクリストファー・ダガン氏は、その証拠はたくさんの臨床試験によって積み重ねられてきたと話す。
ただし、一時的な大量摂取で風邪は予防できなくても、ビタミンCをある程度摂取し続けていると、風邪の期間が少しは短くなるという報告はある。
(中略)
ビタミンCは万能薬ではない一方で、健康にとって不可欠な栄養素であることはたしかだ。ダガン氏は、「ビタミンCは体でさまざまな役割を担っています」と言う。
ビタミンCはアスコルビン酸とも呼ばれ、免疫系にとって重要な働きを持つことはよく知られている。「ビタミンCは、インターフェロンというタンパク質の生産を促進します。このインターフェロンが、細胞をウイルスから守るのです。さらに、ビタミンCは白血球、とりわけ病原体を飲み込む食細胞を活性化させ、感染症と戦うその他の免疫細胞の活動も刺激します」と、米国立衛生研究所の栄養補助食品室長を務めるステファン・パシアコス氏は言う。
ビタミンCはコラーゲンの生成にも使われる。コラーゲンは、骨や筋肉、そして、心臓病や心臓発作の予防に貢献するより強い血管を作るうえで重要なタンパク質だ。また、コラーゲンは皮膚にとっても不可欠で、傷を治し、傷あとの組織を作る結合材となるほか、たるみ、しわ、しみ、にきびを防ぐ効果もある。
スキンケア製品にビタミンCがよく使われているのはそのためだ。ビタミンCと日焼け止めを併用すれば、日焼けによる有害な影響から肌を守る効果が得られるという報告もある。
ビタミンCには、抗酸化物質として、がんや心臓病につながる体内の「さび」を取り除く働きもある。さらに、ビタミンCは脳や神経系にとって重要な化学伝達物質やホルモンの生成を促すので、ストレスや不安の軽減につながる可能性がある。また、白内障を予防したり進行を遅らせたりする、痛風の原因となる尿酸値を下げる、といった役割についての研究も行われている。
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