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「魔群の狂宴」3

・テロップ「三年前 東京」
・東京駅の雑踏、銀座や浅草の賑わいなど。浅草オペラの看板。
・日比谷公園のベンチでふたりの若い男が会話をしている姿を遠景で映す。
・カメラが接近すると、その二人は大学時代の佐藤と桐井である。

佐藤「その須田銀三郎という奴は華族なんだろう? 本気で社会主義研究会に入るつもりか?」
桐井「華族も華族、父親は伯爵様だ。いや、侯爵だったかな」
佐藤「確か、酔っぱらって妾を斬り殺した奴だろう。しかも、御咎め無しだ」
桐井「まあ、親と子は別々の人間だから、当人がどんな奴か見て判断するさ。それより、今度の例会にはあの兵頭栄三が来るそうじゃないか」
佐藤「ああ」
桐井「兵頭というのは有名なアナーキストだぜ。大丈夫か。我々まで官憲に目を付けられないか」
佐藤「官憲から見れば、社会主義者はみなアナーキスト扱いさ。とうに目を付けられているに決まっている」
桐井「俺はアナーキズムというのは嫌いだな」
佐藤「まあ、どんな理屈があるのか、聞いてから判断したらいいだけだ」

・二人が話しているところに、鱒子が来る。大事件が起こったという表情。

鱒子「大事件よ」
二人「何だい」
鱒子「兵頭栄三が刺されたの」
二人「えっ」
佐藤「どういうことだ。詳しく言ってくれ」
鱒子「刺したのは、女の人みたいだけど、まだ詳しいことは分からないわ」
佐藤「で、兵頭は死んだのか?」
鱒子「重傷のようだけど、まだ死んではいないみたい」
佐藤「そうか。じゃあ、今度の例会には来られないな」
鱒子「当然ね」
桐井「刺したのが女だというのが引っかかるな。政治的な暗殺ではなく、情痴のもつれという奴じゃあないかな」
佐藤「余計な推測は無用だ。で、今度の例会の参加者は、新しい顔は須田銀三郎だけだな」
鱒子「そのようね。華族のボンボンが社会主義とは笑わせるわ」
佐藤「まったくだな」(二人笑う。桐井も付き合って少し笑う)

・公園で楽しむ人々のショット。

(このシーン終わり)


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酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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