・自分の部屋の暖炉の前でソファに掛けて暖炉の炎を見ている銀三郎。
・その炎の中に過去の思い出が幻想として浮かび上がる。
・日本間の部屋。その大きく開いた縁側から見える庭に霏霏として降る雪。
・泥酔した父、須田伯爵が、日本刀を抜いて妾を追いかける。
・悲鳴を挙げて廊下を逃げ惑う妾。
・妾の逃げ込んだ部屋の襖。その襖を蹴倒して中に入る須田伯爵の悪鬼のような顔。
・その様子を部屋の一方から見ている幼い銀三郎。(この銀三郎は、部屋で惨劇を繰り広げている男と女には見えない存在である。)その銀三郎自身を暖炉の炎の中に幻視している大人の銀三郎。
・振り上げられる刀。その刀が振り下ろされ、血潮が画面を塞ぐ。
・暖炉の前で無表情に炎を眺める銀三郎。
・殺された妾と性交している幼い銀三郎(10歳)。
・須田伯爵の傲岸な顔のアップ。
・須田夫人の憎悪に満ちた顔のアップ。
・洋間の窓から室内に入る午後の日差し。米国中流かやや下流の家である。
・借りている部屋のベッドに寝転んでいる銀三郎。
・部屋の入口から、可愛らしい金髪の少女(8歳くらい)が笑顔で顔を出す。
・銀三郎が寝転んでいるベッドに無邪気に上がり込む少女。
・銀三郎にキスをする少女。
・キスしている最中に、その少女の顔に恐怖の表情が浮かぶ。
・部屋の窓から差し込む日と、窓辺の花の影。
・銀三郎に向けられる、鱒子の怒りの顔。
・悔しそうに無言で泣く鱒子の上半身裸の後ろ姿。
・その鱒子をベッドに残し、上半身は裸のまま、口笛を吹きながら、銀三郎らがカード賭博をしている場に戻る米国人の不良青年。
・銀三郎が目を覚ますと、部屋の入口に菊がいる。
菊「お目覚めですか。少しよろしいでしょうか」
銀三郎「ああ、何だい」
菊「私、お母さまから鳥居教授との縁談を勧められています」
銀三郎「ああ、そうらしいな」
菊「わたくし、行きたくありません」
銀三郎「どうしてだい」
菊「お分かりのはずです」
銀三郎「僕は菊とは結婚できないよ。それは分かっているはずだ」
菊「分かっております。結婚できるなんて思っておりません。でも、銀三郎様のおそばにずっといたいのです」
銀三郎「僕は悪党だよ」
菊「分かっております。悪党と言うより、失礼ですが、病人だと私は思ってます」
銀三郎「一生、僕の看護婦をやってくれるというのかい?」
菊「はい、それが私の望みです」
銀三郎「自分で自分の人生をどぶに捨てるとしてもか」
菊「はい、銀三郎さまが他の女の人と結婚なさっても、近くにいられさえしたら」
銀三郎は黙り込む。
菊は頭を下げて部屋を出て行く。
・銀三郎の部屋の窓の外に降り続ける雪。
(この場面はここまで)
・その炎の中に過去の思い出が幻想として浮かび上がる。
・日本間の部屋。その大きく開いた縁側から見える庭に霏霏として降る雪。
・泥酔した父、須田伯爵が、日本刀を抜いて妾を追いかける。
・悲鳴を挙げて廊下を逃げ惑う妾。
・妾の逃げ込んだ部屋の襖。その襖を蹴倒して中に入る須田伯爵の悪鬼のような顔。
・その様子を部屋の一方から見ている幼い銀三郎。(この銀三郎は、部屋で惨劇を繰り広げている男と女には見えない存在である。)その銀三郎自身を暖炉の炎の中に幻視している大人の銀三郎。
・振り上げられる刀。その刀が振り下ろされ、血潮が画面を塞ぐ。
・暖炉の前で無表情に炎を眺める銀三郎。
・殺された妾と性交している幼い銀三郎(10歳)。
・須田伯爵の傲岸な顔のアップ。
・須田夫人の憎悪に満ちた顔のアップ。
・洋間の窓から室内に入る午後の日差し。米国中流かやや下流の家である。
・借りている部屋のベッドに寝転んでいる銀三郎。
・部屋の入口から、可愛らしい金髪の少女(8歳くらい)が笑顔で顔を出す。
・銀三郎が寝転んでいるベッドに無邪気に上がり込む少女。
・銀三郎にキスをする少女。
・キスしている最中に、その少女の顔に恐怖の表情が浮かぶ。
・部屋の窓から差し込む日と、窓辺の花の影。
・銀三郎に向けられる、鱒子の怒りの顔。
・悔しそうに無言で泣く鱒子の上半身裸の後ろ姿。
・その鱒子をベッドに残し、上半身は裸のまま、口笛を吹きながら、銀三郎らがカード賭博をしている場に戻る米国人の不良青年。
・銀三郎が目を覚ますと、部屋の入口に菊がいる。
菊「お目覚めですか。少しよろしいでしょうか」
銀三郎「ああ、何だい」
菊「私、お母さまから鳥居教授との縁談を勧められています」
銀三郎「ああ、そうらしいな」
菊「わたくし、行きたくありません」
銀三郎「どうしてだい」
菊「お分かりのはずです」
銀三郎「僕は菊とは結婚できないよ。それは分かっているはずだ」
菊「分かっております。結婚できるなんて思っておりません。でも、銀三郎様のおそばにずっといたいのです」
銀三郎「僕は悪党だよ」
菊「分かっております。悪党と言うより、失礼ですが、病人だと私は思ってます」
銀三郎「一生、僕の看護婦をやってくれるというのかい?」
菊「はい、それが私の望みです」
銀三郎「自分で自分の人生をどぶに捨てるとしてもか」
菊「はい、銀三郎さまが他の女の人と結婚なさっても、近くにいられさえしたら」
銀三郎は黙り込む。
菊は頭を下げて部屋を出て行く。
・銀三郎の部屋の窓の外に降り続ける雪。
(この場面はここまで)
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