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或る歌に感じるthenとandの印象

私は、「どうでもいいこと」を考察するのが趣味であるというのは何度も書いてきたが、その考察もほとんど妄想であり、学問的な裏付けはまったく無い。自分で調べることもロクにしない。その思考が自分にとって面白ければそれでいいのである。
これから書くのは、「it' been a long long time」という古いジャズソングというか、アメリカの古いポピュラーソングの一節から妄想したものだが、その歌詞を(正確さは保証しないが)先に載せておく。

kiss me once,then kiss me twice,and kiss me once again.
it's been a long long time

これもうろ覚えだが、この歌は、第二次世界大戦後に、兵役から帰った恋人(兵士)への思いを歌ったものだという。つまり、it's been a long long timeというのは、恋人の帰還を待っていた長い長い時間のことのようだ。歌自体は甘い曲調のラブソングである。しかし、そういう背景があったと思うと、或る感慨がある。
で、ここで問題としたいのは、実は「妄想的語学」であり、thenとandの違いだ。
普通に考えれば、どちらも「そして」と訳されるだろうから、似たようなものだ、という粗雑な思考になるだろうが、それでいいのだろうか。
もう少し丁寧に考えると、thenは時間的な継続、andは時間的にも空間的にも使われる継続、あるいは並列だろう、という気がする。たとえば、you and meは明らかに時間ではなく空間的な並列である。
だが、ここで私がいいたいのは、もう少し妄想的なもので、thenは「ほとんど無意識的な継続」であり、andは「少し改まった感じの継続」ではないか、ということだ。つまり、例として出した歌で言えば、一度目のキスと、二度目のキスの間は無意識的な連続だったが、三度目のキスの際には「(改めて)もう一度、最初からキスしましょう」という感じがあるような気がするのである。つまり、再会の喜びで一度目のキス、二度目のキスは無意識的だったが、三度目には少し冷静さを取り戻して「さあ、もう一度最初から」となったのではないか。
もちろん、これは私の妄想だが、この歌のthenとandに私はそういう気持ちを感じるのである。もちろん、「改めて」はagainによる印象だろうが、その前のandの段階で私は既にその「改めて」を感じている、ということだ。

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