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放言注意報、ところにより濃霧あり

「晴耕雨読」から転載。
堀茂樹という人が何者かは知らないが、記事内容からは学者かと思われる。学者にしては珍しく「御用学者」ではなさそうだ。
TPPそのものについてはこれまで何度も書いてきているので、今日は、日本における「政治的空気の醸成手段」と「議論の陥穽」について書く。

まず、「政治的空気の醸成手段」については、堀茂樹氏が書いているように、民主的に選ばれた議員の頭越しに、成金実業家や吸血人材派遣会社社長や外資保険会社社長などがメンバーを構成する「有識者会議」なるものから出た「TPP参加はマスト」などという破壊的日本語による発言がマスコミに流され、それがまるで日本の進むべき正しい道であるかのようにマスコミで報道され、TPP参加の流れが「政治的空気」として醸成されていくわけである。TPPはもちろん一例だが、このTPPについて言えば、日本の国家主権喪失になりかねない国家的大問題を、国会で議論することなく、こうした「空気」に乗って総理大臣の一存で「参加決定」ということになりかねないのが現状だ。総理というものに国民はそれほどの独裁的権限を与えているだろうか。
問題は、国会での議論の対象となるべき大問題が国会で堂々と議論されていないことなのである。つまり、これは「グレーゾーン」を利用した政治運営という、お馴染みの政治手法の一つでもある。
しかし、本当に国会での議決無しにTPP参加が決まるとなれば、国会の存在意義はゼロであり、日本の民主主義は完全崩壊、ということになる。

さて、もう一つのテーマが「議論の陥穽」だが、これは「行き過ぎた言葉の言葉尻を捉えられて、議論そのものが地面に引きずり降ろされる」という、よくありがちな現象である。下記記事の「社長ふぜい」という言葉がそれであるのは言うまでもない。
発言者の堀茂樹氏は、楽天三木谷氏への不快感から、こういう言葉をつい使ってしまったのだろうが、ツィッターでそれを注意してくれた人(この人も理性的な人であるようだ)が言うように、こうした言葉は議論を泥沼化させてしまう可能性もある。つまり、「売り言葉に買い言葉」で、議論全体が悪口の応酬になることもあるわけだ。
もちろん、堀氏はべつに「議論」目的でツィートしたわけではないだろうからどんな言葉を使おうがかまわないのだが、悪意ある相手にかかれば、堀氏への、メディアを利用した「人格破壊工作」にうまく使われる可能性もある。つまり、堀氏は実業家全員に対して反感を持つ偏狭な人物であり、もしかしたら「アカ」ではないか、と大衆に思わせるように仕向けるわけである。
まあ、こんな事をいちいち気に病んでいたら社会的発言などできない、と言われるかもしれないが、「言葉のスリップ事故」は雪道での車のスリップ事故よりはるかに頻度が高いものである。昔から「駟(し)も舌(し)に及ばず」(一度口から出た言葉は、四頭立ての馬車でも追いつけない)と言うくらい、注意されていたことでもある。
いや、私のように「放言ブログ」を書いている人間が言うようなことでもないのだが。(笑)


(以下引用)



2013/2/8

「問題は、選挙で選ばれた議員の頭越しに国政を左右する事「楽天・三木谷社長「TPP参加はマスト」」」  世界経済のゆくえ

堀 茂樹氏のツイートより。

TPP推進派は論拠に欠けるから、世間に「空気」を醸成することばかりに腐心していますね。

大衆煽動者とはこの人達のことです。

⇒「楽天・三木谷社長「TPP参加はマスト」」 News i - TBSの動画ニュースサイト http://t.co/fPgszkpe

そもそもこんな私企業の社長ふぜいが、自分の商売で成功したからとて、政府の何鱈会議に入って、特権的な立場から分かったような顔で分かったような事を言うのは、いささかも民主主義的な事ではないですよ。




> 「社長ふぜい」は、…お言葉が過ぎるのでは。

「公」(=ここでは、社会でなく国家)の領域においてまで「私」企業の社長を有り難がる世間の風潮を糺して「社長ふぜい」と言いました。

事柄に依っては「学者ふぜい」「芸術家ふぜい」「議員ふぜい」とも言えます。

> 先生のお気持ちも主義主張も重々承知しておりますが、「社長ふぜい」は、いささかお言葉が過ぎるのでは。現場を知る者として会議に参加しているのでしょうし、逆にそこに政治家と学者だけが集まれば、「現場を知らない、机上の空論だけを重ねる集団」とも 

小売り私企業の社長が、農業の、医療の、国家運営の、そして民衆の生活の現場を知っていますか?答えはノーでしょう。

> おっしゃる意味はわかります。私企業社長の立場を超えた発言ということも。ただ、TTPについて幅広く意見を募ることは必ずしも間違いではないと思いました。三木谷氏の発言もあくまで「ひとつの意見」に過ぎない。そう捉えることのほうが大事ではないでしょうか。

> (すみません、続きます)ですので、矛先を向けるべきは「社長ふぜい」ではなく、三木谷があれこれ言ったことを必要以上に貴重な意見と有り難がるマスコミや世論、ひいては政治家だろうと考えます。先生のお立場から「ふぜい」はまずいだろうと思い、意見を述べました。

市民社会の「ひとつの意見」にすぎないものが、正当な政府の設置した会議の委員の意見として特権的な力を持ってしまう事態に対して、非民主だと申したのです。

はい、幅広く意見を募るべきです。

では産業競争力会議・規制改革会議等に、TPP推進の「空気」の送り手ばかりでなく、社会の様々な層の代表が参画していますか?答えはノーでしょう。

「ふぜい」は「のたぐい」の意で、卑しめる働きがありますね。

世間が成功社長を、国政に関してまで拝聴するほど崇拝するので、その解毒剤として価値下げをしました。

どう「まずい」のですか?

成功した小売り私企業の社長って、〈一面からいえば〉要するに「成金」でしょ?

成金の分野で成金は大したものなのであって、その分野で成金を見上げる事に私は吝かではないよ。

しかし、一体いつから我が国では、国民の生活を左右する国家の運営に関して、成金のご意見を有り難がるようになったのか?

矛先は初めから三木谷氏個人ではなく、氏が政府によって特権化された立場から国政を語るという事象に向いています。

> 解毒剤として解釈されればいいのですが、世間では往々にして「学者は実業を馬鹿にし、実業者は学問を馬鹿にする」という思い込みがあります。先生のツイートを目にした際、咄嗟に「実業家を貶めすぎているのでは?」と感じました。

なるほど。

(私は実業家を馬鹿にする気は〈全く〉ありませんし、馬鹿にできるとも思いません。)

> そしてすぐに、TPP推進論者の経済界からは「学者ふぜいが何を言うか」とヤジり返されるのではないかと危惧しました。「ふぜい」という言葉には相手の肩書きそのものを否定しますし、それに縋っている人々の無用な怒りを買いかねないと。

「学者ふぜい」でも自由に発言してよいのですが、問題は、選挙で選ばれた議員の頭越しに国政を左右する事です。

> TPP問題について事の本質を論じ合う前に、肩書きであれこれ言い合うのは愚かなことです。社長の意見はあくまでひとつの意見であって、ことさら拝聴すべきものではないという主旨を最初から汲み取ればいいのですが、わたしはまず「ふぜい」に引っかかってしまいました。

成る程。

私としては、領域を問わずああした社長の言を有り難がる新手の権威主義を嫌って、「王様は裸だ」と言った次第です。

> わたしのように言葉を表層的に捉えてしまう愚かなフォロワーは少数かもしれません。ですが、言葉尻を取り上げてああだこうだという人が多いのも事実です。そのため、「先生の(学者という)お立場からはまずい」と判断しました。長々と失礼いたしました。

いえ、とても賢明でいらっしゃると思います。

御意見に感謝いたします。

> つたない発言に丁寧にお答えくださり、ありがとうございます。その〈倒錯した現実〉は、為政者に悪用されかねない危険を大いに孕んでいますね。いえ、TPP問題についてはすでに危険水域に達しているのかもしれません。

悪用云々でなく、すでにシステムと化しています。

大学と社会をめぐる難しい問題ですが、米国仕込みのイケイケの産官学連携論が優勢です。

> ワイドショーでお笑いや歌をやってるだけの奴らが政治や教育についてエラソーにぬかしていたりするのと似たものを感じます。特定勢力の意図に引きずられて、国論形成過程を歪めているのも同様。

> さっきRTした堀茂樹氏@hori_shigekiのツイート、あらゆる「審議会」とか「有識者会議」とかに共通する話だと思う。行きすぎると、お友達をずらりと並べた橋下大阪市政の特別顧問・特別参与みたいになる。HPによると、現在、特別顧問14人、特別参与35人。

審議会や有識者会議のメンバーは基本的に、選挙で選ばれていない官僚たちに指名された人達。

国民にとっては、自ら選んだ代表ではなく、「お上」から与えられた人物です。

根本の問題は、日本人の多くが、自ら選び取った存在よりも、与えられた存在に高い価値を感じる心性から脱却できていない事です。

自ら選び取った存在よりも、与えられた存在に高い価値を感じる心性とはまさに、良し悪しは別にして、自律よりも他律を好む心性です。

で、改めて思います。

日本の近代をまるですでに終焉を迎えた過去の事のように語るポストモダンやら脱近代神話やらのお歴々には、ご冗談でしょうと申し上げておきたい。

> 皆、一番最初の元は成金なのではないでしょうか?

いいえ。

元々から、少しも働かずに大金持ちの人も大勢います。

ですから、自分の才覚と努力で稼いだ成金は、その限りにおいて尊敬に値します。

但し、今日では、労働も生産活動もせずに金で金を稼ぐというのが多いですね。

今の日本社会に足りないのは、個人主義じゃないよ。

個人だよ。

「数を背景に…」との表現は、無理をゴリ押しする印象を与えますが、これは有権者によって直接選ばれた議員の数です。

政府の委員会に入ったどこぞの社長らの発言より、遙かに値打ちがあります。

⇒自民TPP反対派議員約200人が交渉参加撤回求め会合 http://t.co/CoTDeQaB

これこそがマスト、必見・必聴です。




米国の筋金入りの民主主義者が怒っています。

実に雄弁。

⇒Must See: 米国市民団体がTPP協定 警鐘ー http://youtu.be/WFY-z1PcjT8 #TPP is #EnemyOfMankind #StopTPP #StopWorldGov





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酔生夢人
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男性
職業:
仙人
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考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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