よくある話というか、ありすぎる話で、この事件だけの特殊性は無いのだが、こうした事件が頻発すること自体が、今の学校教育の異常性を示していると思われる。
もちろん、大半の教師は真面目で熱心に教育に取り組んでいるだろうが、そこに、下の記事のような事件が頻繁に起こるのは、完全に「学校という制度・システムを根本的に変える必要性がある」ことを意味するかと思う。
ここで私が低学年教育での「モラル教育の必要性」を主張したら、リベラル連中から「モラル教育は個々人の思想の自由を損なう」「人間を鋳型にはめるものだ」という批判が出てきそうだが、日本全国で下の記事のような事件が水面上水面下で無数に起こっているわけだ。下の事件の場合は学校や教師自体が「いじめグループに味方している」有様である。
ひとこと言っておく。人間は生まれつき野獣であり、社会や学校や家庭や友人関係の「見えない教育」という鋳型にはめられて人間になるのである。その鋳型が、悪しき友人だったりすると、野獣的大人になる。学校の中にはライオンとウサギを同じ檻に入れているところも多い。ウサギが食い殺されるのは必然である。
(以下引用)
命を絶つ寸前も「スルー力が足りない」…大磯・小学生壮絶いじめ「母親が憤る」学校側の信じがたい言葉
A君への診断書や学校との連絡ノートを前にいじめについて話す母親(写真は一部加工しています)
「息子が5年間にわたりいじめられ続けていたにもかかわらず、学校はまともな対応をしてくれなかったんです」 【親は激怒】「スルー力が足りない」…大磯・壮絶いじめ「学校側の信じがたい言葉」ノート画像 こう憤るのは、小学校で壮絶ないじめを受けたA君の母親だ。 神奈川県・大磯町の小学校で深刻ないじめが起きていた。当時5年生(現・中学1年生)だった男子児童A君が入学以来数人のグループからいじめを受け、命を絶つ寸前まで追い詰められていたのだ。A君の保護者が再三にわたり学校へ対応を申し入れても状況は改善されず、いじめ防止対策推進法が定める「重大事態」に認定されたのは深刻な被害に耐えかねて転校した後だった。現在も、第三者委員会による調査が進められている。 A君の母親が胸の内を語った(以下、ことわりのないコメントは母親)。 「いじめが始まったのは小学1年の時。息子の体操着を入れた袋が破れていることが何度かあり、はじめは『使い方が荒いのかな』ぐらいに思っていました。しかし、授業見学の時にクラスの子が袋を破る姿を目撃したんです。その子は普段から体格のいい息子に『おいデブ、邪魔だ』と言ったり、下校時に嫌がらせをしていることもわかりました。担任教師や教頭に伝えてもいじめは収まりませんでした」 ◆「自分で解決してほしい」 クラスの内外に数人のいじめグループがいて、学年が上がってもA君への攻撃は続いた。 「息子のランドセルを蹴ったり、靴箱から靴を投げ捨てられることが続きました。バカにした態度で名前を呼んだりすることはしょっちゅうで、いじめをした子が息子に『(周りに)チクるなよ』と隠蔽を図るなどやり方も陰湿でした。息子はいじめを受けたストレスで目を強く瞬きするなどのチック症状が出て、胃痛にもなってしまったんです」 いじめグループは普段から授業をさぼってトイレにたむろし、大声で奇声を上げるなどしていた。4年生になるとA君へのいじめは、さらにエスカレートする。 「顔付近を殴り、テストの採点用紙を奪って捨てられたりもしました。給食時には息子に向けて『デブは食うなよ』と悪態をつきながら配膳したため、おかずがほとんどないことも続いたんです。息子はこうしたことを担任の教師に訴えたのですが、取り合ってもらえませんでした」 A君は落ち着いてトイレに行けず、給食もまともに食べられない状態が続いたため早退が続くようになる。いじめグループから「階段から突き落としたい」と言われたこともあり、学校では常に背後を気にしながら行動せざるをえなかったという。 母親は事あるごとに学校へいじめを訴え、父親は校長に適切な対応をするよう手紙を書く。しかし、学校側からは「小さないじめは自分で解決してほしい」、「A君には(いじめを受け流す)スルー力が足りない」など信じがたい言葉を受けたという。 「何を言っても期待できないため町議や町長にも相談しましたが、校長は『学校として対応しているから心配ない』と言うだけ。息子は10回以上も担任に助けを求めましたが、『しつこい、いじめる子供たちと目を合わせるな』と言われたそうです。そのうちいじめグループは下校時にも集団で暴言を吐くようになり、息子はストレスから心臓が痛い、手が震える、涙が出るなどの症状が表れ始めたんです。 5年生になるといじめによるストレスが原因で持病の気管支喘息が悪化し、『これ以上続くと心が壊れてもとに戻れなくなる』、『いじめられるために生きているんじゃない』と訴えるようになりました。『もう無理だ』と感じて(近隣の町の)小学校へ転校を決めたんです。それ以降はいじめに遭うこともなくなったため、逆に5年間の酷さが浮き彫りになりました」 文部科学省のいじめ重大事態のガイドラインでは、被害児童が転校した場合に学校は適切な対応を行う必要があると定めている。だが、学校は転校してしまった児童のことなど知らないとばかりにいじめの調査をしてこなかった。 「調査を申し入れても『息子のいじめに関して記録も記憶もない』と言われました。いじめグループの保護者に指導さえしていません。ここまでいじめの事実を隠す理由として考えられるのは、いじめグループに町議(当時)の息子がいて学校や教育委員会の管理職との関係性が強いことです。 小さな町なので、有力者の子供には何も言ってはいけないとの空気感があったのではないでしょうか。事実、夫が校長に町議の子の指導を頼んだ際には『親と仲が良いのでできない』と断られ、相談した別の町議からは『息子さんのいじめのことはみんな知っているけど(親が有力者だから)きちんとした対応はしないだろう』とも言われました」 ◆「厳しく追及されるべき」 このままではいじめがなかったことにされてしまう危機感から、母親は証拠を求めて’23年4月、町に開示請求をする。すると一転して町の教育委員会はいじめ重大事態に認定。開示された資料からは、ずさんな管理体制だったことも明らかになる。 「開示された出席簿では、息子が4年生の時に早退した65日間がすべて出席扱いになっていたんです。これではいじめの事実を隠蔽していると思われても仕方がない。こんなことをしながらいじめの記録がないという学校は信じられないし、学校が変わらないとまた同じことが起きるでしょう。現在、第三者委員会で息子のいじめに関する調査が進んでいますが、起きた事実を明らかにして二度といじめが起きないような体制にしてほしいと思っています」 こうしたいじめの事実があったことを、当該の小学校はどう思っているのだろうか。適切な対応を取らなかった理由などを小学校の校長に尋ねたところ、「取材には町の教育委員会が対応する」との返答。あらためて大磯町教育委員会に質問を送ると、「現在いわゆる第三者委員による重大事態調査が行われているため、個別の案件についての回答は控えさせていただきます」(教育部学校教育課教育指導係)との回答だった。 文科省によると、’23年度に全国の小中学校で起きたいじめ重大事態は過去最高の1306件を記録。いじめが原因とみられる自殺も後を絶たない。いじめ問題に詳しい高橋知典弁護士は、適切な対応をしてこなかった学校側をこう批判する。 「本来なら、被害児童の保護者がいじめではないかと伝えた時点で学校は調査と対応を行わないといけない。今回のケースでは、子供が転校しなければならないほど精神的に追い詰められているのに、その段階になってもいじめ対策をしてこなかったことは厳しく追及されるべきです。調査の段階になると『問題だと思っていた』と手のひらを返す教師もいるため、録音などの証拠を残しておくことも必要です」 いじめが進めば、被害者が命を絶つような深刻な事態にもなりかねない。保護者だけでなく学校や教師もしっかり対応し、小さなうちにトラブルの芽を摘むことが大切だ。 取材・文・撮影:形山昌由 ジャーナリスト
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