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断じて行えば鬼神もこれを避く

「阿**」記事コメント欄より一部転載。
「市場原理主義」を標榜するなら、投資に失敗した銀行や証券会社を政府が税金で救済するという馬鹿な話があるはずはない。それが堂々と行われるのだから、新自由主義者の言う市場原理主義のいかがわしさが分かろうというものだ。今や腐臭をたてている資本主義諸国の経済政策はすべて「大衆の金を富豪のポケットに移転する」政策であることはどこも同じである。
その中で、アイスランドが堂々とそれに立ち向かい、金持ち(ユダ金)の魔の手から国民の金を守りきったのは偉業である。
だから、借金など踏み倒せ、と私はギリシャのチプラスが大統領になった時に言ったが、情けなくも彼は世界経済支配層の足元に跪いてしまった。
アイスランドのこの事例は、まさに「断じて行えば鬼神もこれを避く」である。もともと大富豪たちがやってきたのはほとんど経済犯罪と言っていいようなことなのだから、何も恐れることは無いのである。悪く行っても暗殺されるだけの話だ。政治家として立つ以上、暗殺されるのは男子の本懐だろう。
日本の政治家の中でその覚悟のあるのは山本太郎と新潟県知事と沖縄県知事くらいのものではないか。


(以下引用)

http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/380.html
2012年8月20日 橘玲
[橘玲の世界投資見聞録]
金融バブル崩壊後のアイスランドが
短期間で奇跡の復活を果たした理由


アイスランドは変わった国


 アイスランドの金融バブルと国民性


 アイスランドでなぜ金融バブルが発生したのかはいろいろな説明がされているが、このDIY文化が金融資本主義とものすごく相性がよかったのは間違いない。


 アイスランドの「バブルの戦犯」は元演劇青年の政治家ダヴィード・オッドソンで、1980年代に新自由主義の経済学者ミルトン・フリードマンに感化され、91年に首相になると大胆な民営化政策を実行した。04年に首相の座を降りると自ら中央銀行総裁に就任し、こんどは徹底した金融自由化に着手する。こうして、北極に近い小さな島にまれに見る金融バブルが発生した。


 それがどのようなものだったかは、次のようなデータを並べるだけでわかる。


 アイスランドの3大銀行(カウプシング銀行、ランズバンキ銀行、グリトニル銀行)の総資産は、2003年にはGDPとほぼ同じだったが、約3年半でGDPの10倍の14兆4370億クローナ(当時の為替レートで約28兆円)にまで膨らんだ。


 03年から07年にかけて不動産価格は3倍、株価は9倍になり、通貨は対ドルで60%上昇した。それにともなってアイスランドの平均的世帯の収入は、わずか3年半で3倍に増えることになる。年収500万円の世帯がいきなり年収1500万円になるのだから、これはものすごいことだ。


国全体がヘッジファンド


 こうした錬金術の秘密は、いまになってしまえば簡単なことだ。アイスランドの銀行は、高金利のポンド預金やユーロ預金でヨーロッパの個人や企業からお金を集め、それを南欧や東欧の不動産に投資したり、株式市場で片っ端から株を買ったりして運営していた。すなわち、国全体がヘッジファンドになってしまったのだ。


「バブルの遺産」といわれ、建設工事が中断していた文化施設HARPAも完成した (Photo:©Alt Invest Com)
 金融バブル崩壊後にアイスランドを訪れた作家のマイケル・ルイスは、その原因は学歴と仕事のギャップにあるという(『ブーメラン』〈文藝春秋〉)。


 アイスランドはヨーロッパでも高い教育水準を誇るが、仕事といえばサケのトロール漁か、地熱発電による安価な電力を利用したアルミの精錬くらいしかなく、そのうえヨーロッパ企業がアルミ精錬工場を建設しようとすると、「妖精たちの住み処を破壊するな」と反対運動が起きるのだという(アイスランド人はいまだに妖精の存在を信じているのだ)。


 そんなところに突如、知的かつボロ儲けのできる夢のような仕事が天から降ってきた。こうして、去年までトロール網を引いていた男たちがいきなり投資銀行家になったのだ。


DIYは、復活にも貢献


 アイスランドというDIY国家が面目躍如なのは、実はバブルが崩壊してからだ。3大銀行がGDPをはるかに超える負債を抱えて国有化されると、その債務をどのように処理するかが問題になった。


 アイスランド政府は当初、銀行を破綻処理して債務を帳消しにすることを検討したが、預金者の多くは高金利に魅かれたイギリスやオランダの個人投資家たちで、両国政府は、アイスランド政府が元本返済の責任を放棄するなら国交を断絶すると通告した。アイスランド国民は、このままだと未来永劫、借金を返すためだけに税金を納めつづけなければならなくなり、国外への移住希望者が殺到した。まさに国家存亡の危機だ。


 ところがその後、数年のうちにアイスランド経済は奇跡の復活を遂げることになる。その理由は、2度の国民投票によって、ファンドや年金基金、金融機関や事業法人など“プロ”の大口債権者からの借金を踏み倒したことだ。こんな離れ業が可能になったのは、ギリシアのようにユーロ圏に入っておらず、スペインやイタリアよりもはるかに経済規模が小さいため、ヨーロッパを襲ったユーロ危機のなかではとるに足らない話だと扱われたからだろう。そのうえ通貨クローナの価値が対ドルでほぼ半分になったことから、輸出産業が息を吹き返した。


 アイスランドは11年8月に国際通貨基金(IMF)の支援プログラムから脱し、12年2月には国債の信用格付が投資適格のBBB-に戻った。恒常的な財政赤字に苦しむ南欧諸国とちがって、DIYの国アイスランドには過剰な福祉制度がないからだ。


破たんした銀行跡に唯一残るネームプレート (Photo:©Alt Invest Com)


自己責任の徹底がもたらしたもの


 もともと投資は自己責任なのだから、「民間銀行の預金を政府が無制限に保護する理由はない」というアイスランド政府の主張は正論だ。アイスランドは「市場原理主義」によって巨大なバブルを起こし、同じ「市場原理主義」によって短期間に復活したのだ。


 レイキャビクの首相官邸は、柵もなければ警備員すらいない芝生の中の小さな家だ。金融危機のあと、この家の住人になったヨハンナ・シグルザルドッティルは女性脚本家と結婚し、同性愛をカミングアウトした世界初の首相だ。もともとアイスランドはマッチョな男社会だが、こんなところにも「ちゃんと仕事をしてくれればプライベートなんて関係ない」というDIY精神が顔を覗かせている。


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