2024年1月21日の記事を編集して再掲載しています。
コロナ期を経て、ますます導入が進んだセルフレジ。お店の人を介さず、自分で商品をピっとスキャンしてお会計する仕組みです。好き嫌いはあると思いますが、社会的試みとして失敗なのではという声が聞こえてきました。
セルフレジ(ロボットレジ)失敗説が膨らんでいる欧米。BBCの報道によれば、従来のレジに戻した店舗も増えており、消費者にとっても店舗にとってもセルフレジはカオスであるという認識がアナリストや業界関係者の間で主流になりつつあるといいます。
もちろん、今すぐセルフレジがなくなるわけではないでしょうが、セルフレジのみ・セルフレジが主な店舗は今後少なくなると見られています。
セルフレジにブレーキをかける欧米
2023年、アメリカで広い層に人気の小売店ターゲットは、セルフレジの利用に、購入アイテムが10点以下の場合という制限を設けました。ウォルマートは、一部店舗でセルフレジを廃止。イギリスのスーパーBoothsは、セルフレジを完全廃止しました。
アメリカ版100円ショップDollar Generalは、2022年セルフレジプロジェクトに大きな期待をかけたものの、最近になってプロジェクトは失敗だったと発表。CEOのTodd Vasos氏は、昨年12月の決算報告にて、店舗のスタッフ数、特にレジ担当を増やし、レジ業務を以前のスタイルに戻すと語りました。
セルフレジをあてにしてきましたが、今年(2023年)はそれに頼りすぎていると感じています。セルフレジはあくまでサブであり、主要レジであるべきではないのです。
セルフレジの最大の問題点は、万引きです。人がいないレジでモノを盗むのはとても簡単。悪意ある人なら、盗まない方が難しいほど。有人レジよりも無人レジの方が21倍も品物を盗む傾向にあるのだとか。さらに、意図しない万引きが発生してしまうのも問題です。
意図しない万引きとは、つまり盗むつもりがなかったのに、結果的にお金を払っていない商品がまぎれ混んでしまったパターン。セルフレジのシステムが複雑で、うっかり未払いアイテムが発生しているのです。ある調査では、消費者の5人に1人が、この意図しないうっかり万引きを経験しているといいます。ちなみに、同調査でセルフレジにて意図した悪意ある万引きをしたことがあるのは7人に1人となっています。
セルフレジによって万引き率があがるうえ、人件費もあがっているという報告も。レジの仕事がなくなり別の作業を担当しているスタッフが、作業の手をとめセルフレジのトラブル対応をしなくてはいけないからです。で、このトラブル対応がけっこう複雑で時間をとられちゃうのだとか。
結果、全体的な人件費がアップ。セルフレジという高額システムを導入して人件費削減するつもりが、人件費まであがって涙目。
消費者はどっちのレジが好き?
2021年の調査では、消費者の60%はセルフレジの方を好むという結果に。また、67%の人がセルフレジの利用経験あり。しかし、昨今は、万引き疑いやシステムエラーで返って時間をとられトラブルになると、セルフレジを敬遠する消費者も増えているようです。
一方で、米Gizmodoの記事には300を超えるコメントがついており、「セルフレジさいこー!」という人も少なくありません。スピーディで簡単で不要な会話しなくてすむのに、最近減ってきて困っているという声も。セルフレジそのものではなく、レジエリアに人を十分に配置していない店舗側のスタッフ配置システムこそ問題だと指摘する人もいます。