先ほど読み終えたばかりの漢学者(漢字学者と言うべきか)白川静の対談集「回思九十年」の最後の対談の中で、ちょっと驚いた部分があったので、忘れないうちに書いておく。
その部分は、こうである。赤字は夢人による強調。
白川「今何も出てこないのは、日本が目隠しされているようなものだから、どっちへ行ったらいいのかわからんのです。半分属国でありながら属国意識がない。属国意識がないから属国を脱しなければならないという気迫がないんです。これがすべての原因です。だから作者は非常に多くて、器用なものをたくさんつくっとるけども、全体の共感を博することができないのは、全体がなんにも求めていないということですね。」
吉田「あるいは、植民地。敗戦国です。」
白川「属国という言葉を使うといかんかもしれんから(中略)しかし日本は半ば属国的な状態ですよ。東京の都内に向こうの飛行場があって、入口に軍港がある。これは「城下の盟」で、戦後五十年も過ぎた今の友邦に対して失礼な話です。こういうことですべてに無気力になってどうにもならない……」
この対談は2000年2月のもので、対談相手の吉田加南子は詩人。この時の白川静は90歳である。
今では日本が属国であるという認識はかなり広がっているが、それはごく近年のことで、2000年段階では副島隆彦以外にはこの言葉を使っている者は野党的な人間の中にもほとんどいなかったはずだ。90歳の白川の政治認識の鋭さと発言の大胆さ(中略部分では、「私の履歴書」では編集や出版社に配慮してか「附庸国」と書いた、と言っている。)に驚かされる。なお、白川は2006年に亡くなっている。
日本国民、90歳の老碩学に恥じるべし。
その部分は、こうである。赤字は夢人による強調。
白川「今何も出てこないのは、日本が目隠しされているようなものだから、どっちへ行ったらいいのかわからんのです。半分属国でありながら属国意識がない。属国意識がないから属国を脱しなければならないという気迫がないんです。これがすべての原因です。だから作者は非常に多くて、器用なものをたくさんつくっとるけども、全体の共感を博することができないのは、全体がなんにも求めていないということですね。」
吉田「あるいは、植民地。敗戦国です。」
白川「属国という言葉を使うといかんかもしれんから(中略)しかし日本は半ば属国的な状態ですよ。東京の都内に向こうの飛行場があって、入口に軍港がある。これは「城下の盟」で、戦後五十年も過ぎた今の友邦に対して失礼な話です。こういうことですべてに無気力になってどうにもならない……」
この対談は2000年2月のもので、対談相手の吉田加南子は詩人。この時の白川静は90歳である。
今では日本が属国であるという認識はかなり広がっているが、それはごく近年のことで、2000年段階では副島隆彦以外にはこの言葉を使っている者は野党的な人間の中にもほとんどいなかったはずだ。90歳の白川の政治認識の鋭さと発言の大胆さ(中略部分では、「私の履歴書」では編集や出版社に配慮してか「附庸国」と書いた、と言っている。)に驚かされる。なお、白川は2006年に亡くなっている。
日本国民、90歳の老碩学に恥じるべし。
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