悪党の困ったところは、たまに正論を言うところである。要するに、その時その時で自分に都合のいいことを言うわけだが、その正論の部分だけを取り上げると、実に賢い、まともな人間に見える。
橋下の言っている

自分たちの力を弁えず威勢よく吠えるだけの連中によって一般の国民がとんでもない不幸を被ったのが日本の近現代史。

に関しては、まさに日本の近現代史の最重要ポイントであり、あらゆるネトウヨを論破する言葉でもあり、政治的左派の発言であってもおかしくない。と言うより、左派が言い続けていたことだろう。百田のような単純ネトウヨ（あるいは商売ネトウヨ）に較べると、橋下が良識的に見えるわけだ。
しかし、二階擁護と日本の近現代史にはほとんど関係ないのであり、そこが橋下の論法の巧妙な（悪賢い）部分である。現在の、当面の問題とは無関係な「大上段的正論」で自分を正当化する、こういうのは何論法と言うのだろうか。昔の帝国軍隊で「天皇陛下の大御心」を口実にして軍隊の上官が論敵や一般兵士を強引に黙らせ、イジメたのにも似ている。「虎の威を借るキツネ論法」とでも言っておくか。あるいは、モーゼが自分の考えを神の意志だとして民衆に押し付けたのにも似ている。シナイ山戦法というのもいいか。ただ、橋下論法ではその「盾になる部分」が虚偽ではないだけに一層困るので、適切な言い方が難しい。「雨傘正論論法」とでも言うか。自分を雨から防ぐ雨傘として正論を利用しているだけ、ということだ。

（以下引用）

2020年07月30日

【悲報】橋下徹、百田尚樹にブチギレ「空想の世界で生きているオッサンには現実の政治戦略などわからんやろ」