8月に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)であった全国高校野球選手権大会で、熊本県の井手順雄(のぶお)県議(63)=自民、6期目=が、試合観戦中に観客席で喫煙した問題で、自民党を離党した井手氏が16日、報道陣の取材に応じた。井手氏は「本当にご迷惑をおかけした」と改めて謝罪したうえで、「身を正して今後は頑張る」と無所属での議員活動継続と2023年春の県議選立候補に意欲を示した。詳しいやり取りは以下の通り。【中村園子】
――昨日付で離党届を提出。その経緯は
◆確か今週の月曜に、県議会の議長室で議長、会派代表に話をして謝罪をした。そこから3日間、他の県議から「マスコミや県民などからいろいろな声や質問が届き、大変苦慮している」と聞き、これだけではいけないのだろうとの思いで決心して昨日(15日)、離党届を提出した。今後は無所属で頑張りたい。
――「県民からいろいろな意見があった」とは、具体的にどのような意見か
◆私に対してではなく、同僚議員や(他の)自民党議員から「そういう声があるよ」と(聞いた)。中身は分からないが、「おしかりの電話やメールなどがある」とのことだった。大変申し訳なく思っているところだが、まだまだ皆さんが関心を持っているとのことで、15日の(離党の)決断に至った。
――日に日に自分がやったことの重みを感じたということか
◆それよりも、全国ネットで何日も報道をされ、県民の皆さんも不安であっただろうし、一番驚いているのは私。そうした意味で決断が必要と考えた。
――「驚いているのは私」とのことだが、ここまでのことではないとの認識か
◆いえいえ、それだけ大変なことをしてしまったという認識だ
――共産党熊本県委員会も議員辞職を求める要望書を県議会に提出した。改めて議員辞職の考えは
◆昨日の午前中に後援会の役員と話をしたところ「無所属でもいいから、地域の発展にはあなたの力が必要だ。議員辞職だけはしないでくれ」との思いをいただいた。共産党がそうした要望書を出しているのであれば、議会で判断してもらいたい。
――信頼回復へ何を訴えたいか
◆二十数年前に初当選して約1年間は無所属だった。そうした思いをまた今、感じている。初心に戻って一生懸命頑張っていこうと思う。
――無所属で活動を続け、来年の県議選に立候補して、有権者の判断を改めて仰ぎたいとの考えか
◆それはもちろんだ。選挙に出る人はみんな、そうした思いで出馬している
――離党理由には、反省の意味を込めているとの思いか
◆そういうことだ。まだまだ県民の皆さんが「それだけじゃいけないんじゃないか」との思いも持っているのを感じた。そのけじめとして離党を決めた。
――発覚後、徐々に事態が重くなった。当初から離党するほどの事態になると考えていたか
◆最初からそうした思いもあった。しかし県民の皆さんの理解がどこまで進むのか、またおしかりのレベル、自分のやった重大さなどをかみ締めながら、熟慮した結果が15日(の離党届の提出)になった。
――無所属で議員活動を続けることで県民の理解は進むと考えているか
◆昨日、後援会の代表者会議で「我々も県民の方々に理解を求めながらお願いしていくから、一緒になって頑張りましょう」と(言われた)。私も同じ気持ちだったので「分かりました」と話した。
――離党によって、県民は反省を受け止めたと考えるか
◆それは県民がどう考えるか、後は議会がどう思うか。(離党届は)自分から提出したのであって、(県民の)皆さんや自民党の先生の意見は聞いていない。皆さんがどう理解したかは分からないが、今日、議会で(会派離脱などに)同意されたということで、そうした理解をしている。
皆様には今回、本当にご迷惑をおかけした。身を正して今後は頑張るので、皆さんの協力をお願いしたい。議員は「表裏一体」と思っている。協力するところは、今後も一生懸命協力していくし、注意すべき点があれば言ってもらえれば、私も頑張っていく。