気になったニュースをふたつ転載するが、無理にふたつを結びつけるつもりはないし、何かを論じるつもりもない。そう思っていてもつい「論じる」のは私の癖だが、書いた動機は単に今の「世相」を示すニュースだな、と思ったことだけだ。
引用1ではこの「懲罰」のランニングが1時間半も行われたということが問題で、これはフルマラソンを走るくらいの時間だろう。それ自体生命に危険な行動(処分)である。その後の処置もかなり雑で、監督やコーチの「上から目線」を感じる。これはどの運動部でも共通する体質だろう。つまり「必要悪」と見做されるものだろうが、監督やコーチの「権力的行為」は本当に「必要」なのか、どこまでが許容されるのか、ともう一度考えるべきではないか。
「引用2」では「正義厨」という言葉の悪意を感じる。つまり、正義心を持つのは「中二病患者」だという嘲笑である。まさに今の日本社会の道徳的退廃が顕在化しているのではないか。FLASHの記事の書き方自体が、暴行犯の自衛隊員の発言(当然、自己弁護となる)を中心にしており、意図的誘導を感じる。
(引用2)
自衛官「優先席注意」で高校生を馬乗り暴行…ネットでは「正義厨の注意ダメ」と悲しい2次被害も
5月25日、札幌市の地下鉄「南北線」平岸駅のホームで男子高校生を押し倒し、馬乗りになって顔や首をつかんだ疑いで、翌26日、陸上自衛隊の3等陸曹が暴行容疑で現行犯逮捕された。 男の連れの女性が優先席に座っていたことを高校生が注意したことがきっかけで口論になったと報じられている。当時、男は酒に酔っていたが、「けんかを売られたと思った」などと話しているという。 現役自衛官が高校生を一方的に暴行した今回の事件。もちろん、SNSでは自衛官への批判が書き込まれているが、驚くべきことに、注意した高校生に対しての批判コメントも多いのだ。 《暴力自衛官は問題外やけど、例えば妊娠中でも、貧血でも、酒を飲んでたとしてもそれで気分が悪かったら座れるのが優先席だと思う。正義厨の注意ダメ》 《高校生の男の子、座ってたのが若い女性だから注意したんだろ?私も同じような事で高校生に因縁付けられるようなことを言われた事があるけど、言い方もきつかったんだと思うよ。若くても具合が悪くなることもあるんだし、要らん事言うな》 「きっかけが優先席だったことが、議論を呼んでいるようです。主に高齢者や障害を持つ方が利用するための優先席ですが、最近はマナーも変化し、誰が座ってもいいのではないかと考える人もいます。 加えて、面識のない他者に対し、なるべく関わらないようにしようと考える人も増えてきました。 電車内で注意したことで暴行事件が起きるのは悲しいことですが、今の時代、そうした個々人の意識のズレも大きいことを理解する必要があるのでしょう」(社会部記者) 電車内での口論から事件に発展した例として、1月に起きたJR宇都宮線での事件が想起される。電車内で喫煙していたことを高校生に注意されて逆上、車内やホームで10分以上にわたって暴行したとされる事件だ。 当時、本誌は勾留されている容疑者に面会して、話を聞いている。容疑者の認識は、報道内容とは大きくかけ離れたものだった。 「高校生から『お兄さん、タバコやめてもらえませんか?』と注意された? 全然そんな優しい言い方じゃなくて、車両全体に響き渡るような大声で、『おい、何タバコ吸ってんだよ!』みたいに言ってきたんですよ。 それで、喧嘩を売られているのかと思ってカッとなって。そしたら、向こうが先にガッと首を掴んできたんですよ。ここ、痕あるやろ? 普通に注意してきたら、『あ、ごめん、ごめん』ですんだ。それに向こうは、背も俺より全然デカいし、サングラスもかけてて、高校生とは思わんかった。向こうが先に手を出してきたから、しばき倒しただけのこと」 はたして、今回の事件はどのような状況だったのか。事件の続報が待たれる――。
(引用1)
「罰」でランニング、トレーナーが救急車進言も監督応じず 岐阜協立大、関係者証言
部員がランニング中に倒れたとされる一塁ベース付近=26日午後0時25分、大垣市北方町、岐阜協立大野球場
岐阜協立大の硬式野球部の4年生男子部員(22)が練習中に倒れ、その後死亡した問題で、関係者が当時の状況について語った。監督らの対応が適切だったか疑問の声が上がっていたことが浮き彫りになった。 関係者によると、14日午前、道具が片付いていないことを問題視したコーチが、主力として試合に出ているAチームの部員約30人にランニングを指示。1時間15分ほど走ったところで亡くなった4年生部員が倒れた。倒れた後、苦しさからか叫び声を上げていたという。すぐさま学生コーチやマネジャーが駆け寄り、立たせようとしたが、立つことができなかった。 また、部員が目の焦点が合わず、熱中症のような症状も見られたため、トレーナーが水分を補給させようとした。しかし、吐き出してしまい、飲むことができなかった。急を要する状態と判断したトレーナーが救急車を呼ぶよう進言したが、監督は「自分たちで連れていったほうが早い」と応じず、学生コーチが運転する車で病院まで搬送したという。 監督とコーチは4年生部員の元にすぐに駆け寄らなかったといい、部内では「どうして監督とコーチは、倒れてすぐに選手のところに行かなかったのか」と対応に疑問を抱く声も出ているという。
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