新型コロナウイルス対策について積極的に発信している京都大ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授が20日、ウェブ方式で開かれた指定都市市長会の文化芸術・教育部会で講演した。劇場や映画館などの客数を減らす感染予防ガイドラインについて「収益化を目指した再開ができず、見直すべき」との認識を示した。
劇場や映画館などの文化芸術施設は営業再開にあたり、行政や業界団体によるガイドラインに基づき感染予防策を講じている。ただ、ガイドラインを守ると客席を大幅に減らす必要があり、営業が成り立たなくなる課題が出ている。
宮沢准教授は、国などが示している2メートル程度のソーシャルディスタンス(社会的距離)は、マスクに抵抗感が強い欧米を基準にしたものと説明。感染予防は「マスクする、黙る、手を消毒するので十分」とし、文化芸術活動の維持には「ソーシャルディスタンスの項目を消さないとだめ」と訴えた。
新型コロナ対策は「ウイルスをゼロにするというゼロ信仰にとらわれてはいけない」と強調。今後の文化芸術支援について「お金の補助に加え、平常に戻そうという空気を作らないといけない」と語った。