原作を知らないままで観ることができる人は、ある意味この上なく幸運である。おそらく、中盤からの展開は、先を知らない人のほうが衝撃的だろう。もちろん、原作を既に読んでいる人は、ほぼ100%この映画を観に行くだろうし、アニメの表現でしか為しえない部分も映画にはたくさん含まれていて、さらなる感動を得るはずである。
逆に、原作漫画の中の、このエピソードもこのエピソードも、この場面の絵もこの場面の絵も欲しかった、というところも幾つもあるだろうが、それは子供のわがままと言うものだ。とにかく、漫画のアニメ化として、稀有な、おそらく今後も達成されることの無い水準に達した傑作なのだから。(原作とは違う形にすることで傑作となった例はたくさんあるのだが、オリジナルに忠実な形でのアニメ化という点では二度と到達不可能、ということである。)
(追記)今、「エキサイトレビュー」の中の「この世界の片隅に」を絶賛する記事を読んでいたのだが、その末尾に引用されているのんさんのこの言葉は、この映画の本質を一番良く表しているようだ。大山くまお氏のこの映画の評全体も素晴らしいが、長くなるので転載はしない。
「生きるっていうだけで、涙があふれてくる」というのは、のんが完成披露試写の挨拶で語った言葉だ。この言葉とともに映画の内容を振り返ると、やっぱり涙があふれてくる。『この世界の片隅に』、ぜひ劇場でご覧ください。
(大山くまお)
(再追記)今、このような記事を見つけたので、一人で喜んでいる。マスコミが芸能プロの圧力などで無視しても、宝石は自ら光を放ち、人を呼ぶのだろう。いや、この作品のために自らのブログで多くの発信を続けたゆうきまさみ氏や他のブロガーの働きも大きい。弱小無名ブログの私も貧者の一灯として、その末端に加わったつもりだ。
ざっくり言うと
- 「この世界の片隅に」が12日に公開され、各地の映画館で満席が続出している
- わずか63館でのファーストランながら、全国映画動員ランキングで10位
- イギリス、フランスなど14カ国での配給も決定し、世界からも注目されている

わずか上映63館で10位! パンフ品切れ続出!『この世界の片隅に』現象が日本を席巻中
「この世界の片隅に」満席が続出

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公開前からマスコミ試写や先行上映会で異例ともいえる賞賛を集めていた映画『この世界の片隅に』が12日に公開され、わずか63館でのファーストランながら全国映画動員ランキングの10位に食い込む快挙を成し遂げた。
同作は『マイマイ新子と千年の魔法』『アリーテ姫』などで知られる片渕須直監督が6年の歳月をかけた力作。公開初日には、テアトル新宿、テアトル梅田、シネ・リーブル梅田で全回満席。その勢いはとどまらず、翌13日にも全国各地で満席が続出し、さらに上映終了後には拍手喝采が沸き起こる現象が発生するなど、かつてない熱狂を巻き起こしているという。
また作品への高い満足度から主要劇場でのパンフレット購買率が驚異の30%以上を記録。公開初日から品切れになる劇場が続出し、初日夕方から追加発注の問い合わせが相次いでいる状態。
さらに、先日閉幕した広島国際映画祭2016にて「ヒロシマ平和映画賞」を受賞、池袋HUMAXシネマズで行われた舞台挨拶ではLINE LIVEの生配信を実施。期待度の高さから30万人以上が視聴し、放送直後は公式ランキングで第1位を獲得。Twitterのトレンドでも第2位にランクインし、「ぴあ映画初日満足度ランキング」と「Filmarks初日満足度ランキング」ともに堂々の第1位を獲得するなど、日本中が『この世界の片隅に』の感動に包まれている。
今後、全国50館以上の上映がすでに決定、累計100館以上の劇場が決まっており、また、イギリス、フランス、南米を始め世界14カ国での配給も決定し、日本のみならず世界からも注目を集めている『この世界の片隅に』。2週目以降も、さらに数字を伸ばすことは間違いなさそうだ。
●劇場用長編アニメ「この世界の片隅に」公式サイト
http://konosekai.jp/
(以下引用)
ぴあ映画初日満足度ランキング
ぴあ映画生活で紹介している上映中映画を満足度の高い順にランキングしています。
毎週、新作映画の公開初日に、ぴあ出口調査隊が映画館前でアンケートを実施して独自に集計しているランキングです。
順位 | 作品名 | 満足度 | 調査人数 |
---|
1 | | 95.2 | 111 |
2 | | 92.3 | 63 |
3 | | 90.8 | 67 |
4 | | 90.3 | 95 |
5 | | 88.2 | 109 |
6 | | 86.9 | 107 |
7 | | 80.4 | 38 |
8 | | 79.3 | 30 |
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■ぴあ映画初日満足度ランキング概況■
2016年11月14日(月)時点
ぴあ調査による2016年11月11日、12日のぴあ映画初日満足度ランキングは、広島を舞台に、18歳で呉に嫁いだ主人公すずの日常を描いたアニメーション『この世界の片隅に』が首位を飾った。
劇場には10代から70代までの観客が来場しており、出口調査では「胸が苦しくてなにも答えたくない」と話す人もいたが、「戦争の内側を知ることができた。主人公が抱える葛藤が印象的で、戦争について考えるきっかけになった」(21歳・男)、「130分の中に戦争の悲惨さと希望を描いていて、バランスがいい」(41歳・男)、「全編を通じて日常を描いているが、何かが迫ってくる感覚が濃厚で、あの日がやってくるという流れはわかっていても衝撃的で、気が付いたら泣いていた」(45歳・男)、「当時はしんどかったと思うが、それが日常であることがわかる。苦しくなる場面も多かったが、懐かしさを感じる田舎の風景に、温かい気持ちになるシーンもあった」(37歳・男)、「キレイな絵と感情移入しやすいすずという主人公が映画をより面白くしている。自分の隣にいた子が突然いなくなってしまう、そんな非日常が実際に起きてしまったら…と考えさせられた」(24歳・男)など、感じたことをじっくりと話す観客の姿が目立った。
そのほか、「アニメーションでよかった。リアルで観るよりも冷静に事実を受け止められた」(64歳・女)、「平和について改めて考えた」(18歳・男)、「この映画を観て、生きたいという気持ちが強くなった。生きる力をもらった」(24歳・女)、「絶望的な状況に置かれながらも、懸命に生きようとする姿に心を打たれた」(41歳・男)、「玉音放送のシーンが印象的で、すべてが変わってしまうときの衝撃は言葉にできない」(18歳・男)というコメントや、「『君の名は。』『映画 聲の形』を観た人は、アニメ大作3本目として、ぜひ観てほしい」「家族や大切な人と観てほしい」「戦争を知らない多くの人に観てほしい」という声もあがっていた。

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