「田舎暮らしに必要な能力」で検索すると、いろいろ出てくる。
田舎暮らしのスキルとは?
田舎暮らしに必須!? 移住後に役立った4つのスキルと7つのモノ
だから、田舎暮らしに必要なスキルって何やねん?
私が中津川市の過疎地に引っ越してから、ちょうど20年、私自身の経験を振り返ってまとめれば、上のリンクに述べられているものと同じようなものだが、思いついたことを挙げておこう。
その前に、都会と田舎の違いについて理解したい。
① 都会では、電気、ガス、上下水道、ネットなど生活インフラが充実しているが、田舎では、ほとんどの場合、電気とネット回線は大丈夫だが、都市ガスがあることは少なく、ほぼLPG配送である。また我が家では水道はなく、井戸を利用している。
水道も来ているが、権利を得るための分担金70万円を提示されたので、20万円ですんだ井戸で我慢することにした。下水道はないが、汲み取りではなく、自作浄化槽でEM処理し、全量を畑に流している。悪臭は皆無である。
ガスもプロパンは高いので、ほぼカセットガスを使っている。電気とネットは都会と同じだ。
② 都会では、ほとんど徒歩圏内に食料店や飲食店があるが、我が家では、近いスーパーまで車で20分(10Km以上)かかる。飲食店もなく(喫茶店が数軒あるが)、コンビニも皆無、ついでだが信号も皆無だ。
だから、自炊しなければ、たちまち飢えることになる。調理技術は田舎暮らしの核心である。
③ 日用品を購入できる店は、ホームセンターまで、やはり車で20分、徒歩圏内に店らしい店はない。
だから、ちょっとした修理や問題は、購入よりも創意工夫の方が大切で早い。
私も、必要な品をネット通販で購入する方が圧倒的に多い。また自作も多いので、工具類が必要になる。
④ もちろん職場もないが、介護関連施設だけは、いつでも人手不足だ。この種の技能と精神性を持っている人は田舎暮らしが圧倒的に有利である。
ほとんどの人が大都会にいる理由は、職場がたくさんあるということに尽きる。
田舎暮らしでは、ちょっとした工芸品(お土産品)を作ったり、電気や配管のライセンスと技能を持って修理スキルを持っていることが、とても大切である。
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冒頭に紹介した三つのリンクの三番目に、以下のように挙げられている。
【車の運転 草刈り 家事 DIY】
我が地域では、昨年、唯一の公共交通であるバス路線が廃止された。それまで15分でバス停にゆけたものが、近い国道バス停(高山大橋)まで急坂ばかり2時間歩かねばならなくなった。
したがって、過疎の田舎暮らしでは、車が必需品である。バイクもあるが、冬季は凍結するのでスタッドレスの四駆以外選択肢がない。
私はアルト四駆を使っている。これは新車で90万円くらい。本当は軽トラにしたいが、燃費の問題でアルトFを選択した。リットル23Kmほど走ってくれる。
それでも、ホムセンやスーパーの往復に20Kではきかないので、ガソリン代や車検代・保険代には困っている。
私のような一人暮らしは田舎向きではない。数名以上でライフスタイルを共同化、効率化しなければ生き抜いてゆけない。
しかし、車というものは問題が起きやすいもので、事故や故障があるので、ときには歩行しか残されていない場合も少なくない。
【1】したがって私は、田舎暮らしのスキルとして第一に「最低10Km以上、歩ける能力」、すなわち「体力」を挙げておきたい。毎日歩いて、この力を維持しなければならない。畑をスコップで耕すことができる能力こそ、田舎暮らしにもっとも必要なものだ。
【2】第二に、車を保有し、運転できる能力である。
【3】第三は、生活資金だが、私は低年金に頼っているので倹約能力が大切だ。
【4】食料品店も飲食店もなければ、自身の自炊調理スキルに頼るしかない。
【5】何かが壊れた場合、多くの場合、自力で修理する能力=DIYが必要になる。このため、一定数の工具を保有していなければならない。
【6】男女を問わず、洗濯や干し物、草刈りのスキルが必要だ。
【7】田舎暮らしの長所を生かすため、農作業のスキルが重要だ。畑を耕し、作物を収穫することが、食料などが断絶したときの希望をつないでくれる。だから馬鈴薯・甘藷栽培能力がとくに大切だ。
これが田舎暮らしの最高の強みであることを知るべきだ。農地も非常に安く手に入る。耕作放棄地を借りることもできる。地元の農業委員会に相談すればいい。
私個人は、若い頃からライセンスマニアで、大型二種や放射線関連、非破壊検査関連など20種近いライセンスを取得したが、残念ながら役に立っているのは、軽自動車の運転くらいだ。
自分の土地境界を調べるのに測量ライセンスが役立ったこともあるが、商売としては成立しなかった。
そんなものよりも、美味しい馬鈴薯を大量に収穫できるスキルの方が、はるかに大切である。
世間で重視されている学歴やプログラミング技術など、田舎暮らしには無用の長物である。私も若い頃には、BASICやCをある程度使えたが、田舎暮らしにはクソの役にも立っていない。
学歴も同じというより逆効果だ。有名校を出て鼻を高くした優越感の人間性は、田舎暮らしでもっとも邪魔なものと心得るべし。誰からも尊敬されない。
私は、田舎暮らしにあたって、どんな知識が役立ったかという視点でいえば、若い頃、立ちんぼのアルバイトで得た土木作業と建築作業の経験が、もっとも役立っている。
雑木林を伐採して、自分で家(キットハウス)を建て、畑を作るにあたって、若い頃の土木作業の経験と知識が、それを支えてくれた。
スコップを使えなければ田舎暮らしは不可能であるとさえ思う。
次に、自炊調理のスキルも、中華料理店でのアルバイトがもの凄く役立った。皿洗いにもスキルが必要なのだ。今でも中華鍋を自在に扱えることが自炊をどれほど支えていてくれることか。
そして、学校教育のなかでは、小学校の家庭科や工作のカリキュラムが、どれほど生活を助けてくれたか特筆しておきたい。
ボタンが取れたとか、服が破れたときは、針と糸を使って自分で修繕しなければならない。近くに店はないのだ。さまざまなものを自分で修理しなければならず、そのスキルは、高等教育よりも、むしろ初等教育の方が大切だと思う。
逆に、高等教育で教えられた高度な知識は、ほとんど役に立っていない。私はある程度コンピュータプログラミングができるが、そんなものが役に立ったことはない。
数学や国語は、ネット上の情報整理に多少役立っている程度だ。まあ、文章を書くとき、データ処理に多少は利用しているが、本当に必要だったとは思えない。
歴史社会は得意分野だが、これも情報発信以外に役立っていないが、土地を掘っていて、大昔の遺構を発見して、それが何を意味しているのか理解することには役立った。
放射線物理学や生物学は、若い頃から本気で勉強したが、原発放射能問題の解析に役立っているだけで、現実の田舎暮らしでは、せいぜい花崗岩質の核種の知識程度にしか役立っていない。普通の人より、多少、鉱物知識が詳しい程度だ。
だから、今の教育システムが、どれほど無駄なものばかり教えているのか、私は田舎暮らしの視点から、深刻に考えている。
相対論や量子論やプログラミングをやるなとは言わないが、それよりも小学校の家庭科や工作の方が、桁違いに現実生活に役立つことだけは書いておきたい。
何より、「美味い飯」を作れる能力が一番大切であると力説しておく。
「10K歩けて、数百坪の畑を耕作し、美味い飯を作れること、車を運転できること」
これだけあれば、田舎暮らしのスキルを備えていると言っていいと思う。
ただし、これから、エネルギー危機に見舞われるなら、立木の切り方、乾燥の仕方、薪割りは覚えておく必要がある。
薪は、コナラなどの広葉樹をチェンソーで切りたおし、玉切りしてから屋根の下で2年間乾燥し、小割して薪ストーブに用いる。
このスキルが、田舎暮らしを支えてくれる可能性が強くなっていると私は思う。
第三次世界大戦が勃発するなら、田舎の人々の多くが、この業務を始めなければならなくなる。
そして、馬鈴薯の生産だ。