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「国家はカネで倒れる」、の事例

前回か前々回の記事の中の「国家はカネで倒れる」についての例を挙げておく。ここで「国家」というのは、「国体」とでも言うべきもので、「国の統治機構やその支配者」のことである。国家が倒れても、一般国民は多少その被害を受けるだけであり、国というものの要素を「国民、領土、政府」の3つとすれば、政府や支配者が倒れても国民と領土は変わりはしない。
なお、フランス革命なども「国家がカネで倒れた」事例である。べつに国民が支配者を武器で打ち倒したわけではない。民衆のデモ行為以前に、いわば国家破産していたのだ。民衆を抑えるはずの軍隊に払うカネも当時のフランス政府(ルイ王朝)にはおそらくロクに無かったのではないか。破産が先で、革命はその後にたまたま生じた、と見るのが正しいように思う。

ついでに、政府にカネが無ければ国民から搾り取ればいいいじゃないか、というもっともな疑問には、資本主義世界においては、他国との貿易や金融などで得るカネのほうが、税として得た穀物などを売る金額よりはるかに大きいのではないか、と私は推測している。
要するに、国民にはカネが無いから、そこから搾り取るカネには限度があり、資本主義世界では、外国との貿易や金融(国債なども含む)の金額のほうが税収より遥かに巨額だから、政府がカネを印刷して誤魔化そうが、外国には通用しない、というわけだ。国債の支払いを「徳政令」で踏み倒そうにも、それは国内では通用しても国際金融家には通用しない。つまり、そうした踏み倒しをした国家は国際社会から非難され排除される。紙幣の新規印刷や貨幣の改鋳も、価値の低下したそのカネを国際金融家や外国政府が受け取らなければ、破産するしかない。これが世界の資本主義化と国際化によって起こる現象である。


この記事は徽宗皇帝のブログの「経済童子問」に書くべき内容だが、うっかりここに書いたのでそのままにしておく。記事を書く前は、どういう内容になるのか、全体像がつかめていなかったのである。


(以下中央公論社『世界の歴史』25巻「アジアと欧米世界」より引用)赤字は夢人による。


厖大なアメリカ銀(夢人注:南米の銀資源のこと)を手にしたはずのカール五世(夢人注:スペイン王カルロス一世のこと)でさえ、一五五六年には、財政難から退位せざるをえなくなったのである。あとをついだフェリーペ二世(在位一五五六~九八年)も五七年に自ら破産を宣告、北部ネーデルランド(オランダ)の独立を阻止できなかった。同年、フランス王も破産し、共倒れとなった(夢人注:カール五世=カルロス一世と「神聖ローマ帝国」の皇位を争っていたことを指す。)のである。





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