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「台湾有事」で最初に確実に死ぬのはどこの人たちか

「長周新聞」記事で、少し前のものだが、私は真面目記事はあまり読まないので、知るのが遅くなった。我が地元の沖縄の人間にとっては生死の問題であるが、まあ、ほとんどの人は無視するだろう。そして、戦争が終わったあとで、「火垂るの墓」のような話をあちこちで聞くことになるわけだ。

(以下引用)

南西諸島に地下シェルター設置を検討? 外交もせず戦場にすることを想定 住民保護とは無縁の愚策

 米国が「台湾有事」で同盟国を「盾」にする軍事配置を進めるなか、政府が先島諸島への地下シェルター設置の動きを加速している。「国民保護」を担当する松野博一官房長官が7月22~24日にかけて、石垣島(石垣市)や与那国島(与那国町)を訪問し、住民輸送に使う空港や港湾の拡充、住民が避難する地下シェルター整備について地元自治体と協議。2024年度予算案に宮古島へのシェルター設置費を盛りこむ検討にも着手した。「台湾有事を避ける外交」に本腰を入れるのではなく「有事の備え」ばかり強力に主張し、先島諸島を軍事要塞に変貌させる動きに拍車をかけている。


 



 先島諸島は台湾から400㌔圏内に11万人が住んでいる。内訳は八重山地域が与那国町(約1700人)、竹富町(約4300人)、石垣市(約5万人)の合計約5万6000人。宮古地域が多良間村(約1100人)、宮古島市(約5万6000人)の合計5万7100人。だがこの近辺は離島ばかりで、仮に台湾有事が勃発し、先島諸島が戦火に巻き込まれれば安全な逃げ場などない。「有事の時の避難施設をどこにいくつつくるか」より「戦争を避けるためにどうするか」の方が地元住民にとって現実的な関心事だった。


 


 しかし政府は与那国島に自衛隊の沿岸監視隊を配備し、宮古島と石垣島にはミサイル部隊を設置し「南西シフト」を強化。しかも昨年末の安保戦略改定によって「反撃能力保有」(敵基地攻撃能力)まで認め、軍備増強を続けているため、近隣諸国との軍事緊張は激化する一方だ。その結果、台湾有事になればミサイル攻撃の標的にされかねない危険が日を追うごとに高まっている。


 


 ところが松野官房長官は、歴代政府が先島諸島の軍備強化によって軍事緊張を高める要因をつくったことは棚に上げ、「有事の際に南西諸島の住民をどう守るか検討する」といって石垣、与那国、竹富の三市長と面談。港湾施設視察などを終えたあとの会見で「住民避難に関する政府との連携強化について地域の実情を聞くことができた」「避難施設は人口や避難の手段、避難にかかる時間も考慮して、規模や堅牢度等も議論していかなければいけない」とのべ、シェルター整備の検討を急ぐ方針を表明した。


 


さらに離島から住民を迅速に避難させるため、空港や港の機能拡充を支援する方針も明らかにした。


 


 ちなみに今回の協議やこれまでの協議で検討俎上にのぼった「住民避難施設整備」は次のような内容である。


 


【与那国町】
・与那国空港の滑走路(現在2000㍍)を2500㍍に延長
・年間通じて利用できる新たな港湾の整備
・避難施設整備にむけた財政支援



【石垣市】
・新石垣空港の滑走路(現2000㍍)を2800㍍に延長
・大型船舶が停泊する岸壁整備
・避難施設整備
・食料などの物資備蓄



【竹富町】
・大型船が入港できる港湾の拡充
・西表島で一時避難場所として活用できる地下駐車場の整備



【宮古島市】
・建設を予定する体育館の地下をシェルターとして整備(市は約4500人が3日間過ごすことを想定し、備蓄倉庫や自家発電機を備えることを計画)


 


 もともと有事を想定した国民保護法(2004年に成立)は都道府県に対し、ミサイルによる爆風などから住民が身を守る「緊急一時避難施設」の設置を求めていた。こうした避難施設は全国で5万2490カ所(去年4月時点)あり、このうち「より安全」とされる「地下施設」は1591カ所ある。しかし沖縄県内の「緊急一時避難施設」は935カ所で、このうち「地下施設」は6カ所のみ。沖縄の「地下施設」は、①金武町総合保健福祉センター、②金武町立並里地区公民館、③嘉手納町中央公民館、④県民広場地下駐車場(那覇市)、⑤なは市民協働プラザ(那覇市)、⑥石垣市役所(地下施設は約300人が避難できるスペース)で、先島諸島では石垣市の1カ所だけだった。そこで岸田政府は昨年末にまとめた国家安保戦略に「先島諸島の住民を迅速に避難させるとともに、シェルター等の避難施設を確保する」と明記。22年度補正予算に7000万円計上しシェルターの調査に着手していた。


 


 ただ、シェルター設置、滑走路延長、大型港湾の整備は必ずしも「住民避難のため」だけに使われるとは限らない。それこそ「有事」となれば堅牢な施設を米軍や自衛隊が占拠して作戦司令部として活用したり、大型滑走路や大型港湾を米軍や自衛隊が活用することも十分あり得るからだ。「住民を避難させるため」という口実で軍事インフラの整備をおし進め、先島諸島一帯を軍事要塞に変貌させる計画が動いている。


 


 しかも岸田政府はこうした動きと同時進行で重要土地利用規制法(土地規制法)に基づく第二回目の区域指定で、前回は指定を見送った与那国島(与那国町)、西表島(竹富町)、石垣島(石垣市)、多良間島(多良間村)、宮古島(宮古島市)など台湾に近い沖縄県内離島を軒並み注視区域に指定(8月15日から発効)している。この「注視区域」は「安全保障上重要な土地の利用を守る」という名目で、国が住民を監視・調査し「違法」とみなせば、土地利用の停止・退去、罰金を課すことができる法律だ。それは戦時中に住民を監視し処罰した軍機保護法や要塞地帯法の再来ともいえる内容になっている。


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