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男性の笑いと女性の笑い

筒井康隆の「文学部唯野教授の女性問答」を読んで、一番最後の「神は実在するか」という質問の回答が面白かったのだが、難しい内容なので、半分も理解できていないかもしれない。
そこから示唆された「神とは何か」についての断片的思想があるのだが、それは次回にでも書くつもりである。
その前に、これも面白く思った文章があり、メモしておく。

「一般の社会生活における、男性の会話と女性の会話における笑いを比較してみた場合ですが、ごく平均的には男性はことば遊びで笑い、女性は他人の失敗談で笑うという特徴があります」

これは、女性差別的な言葉に聞こえるかもしれないし、もちろん単に一般的な傾向の話であって、他人の失敗談で男も笑うし、ことば遊びで女性も笑うことはあるだろう。しかし、傾向的な違いは歴然とありそうだ、というのは、ネットの掲示板を眺めていても、男性作家と女性作家の小説や漫画を比べてみても、分かる。たとえば、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」や「鏡の国のアリス」を好きな女性はいるだろうか。いたとしても、それは単にアリスファッションが好きだとか、出てくる擬人化された動物が面白い、という程度で、その中の言葉遊びや論理的ナンセンスが面白い、という人は少ないのではないか。私などは、あの作品の中で通常の論理がひっくり返される笑いこそがその面白さの最大のものだと思っている。論理そのものを笑い飛ばしているのである。
一方、女性の関心はどこまでも人間そのものにある、と思う。小説は普通そうであり、「アリス」物語などが例外なのだが、SF小説や推理小説は必ずしもそうではない。
で、笑いの話に戻ると、女性作家(小説家や漫画家)の作品の中にも笑いのある作品は多いが、その笑いは基本的に「誰かの失敗を笑う」ものであるわけだ。ただし、これは現代のお笑い芸人の笑いの大半がそうなっていて、その影響もあるのかもしれない。そして、女性作家の中には、「自分自身の失敗を笑う」という笑いを描く人もけっこういる。だが、基本的には「そこでは人間が人間を笑い、笑いの対象はそこでは貶められている」のではないか、というのが私の感想だが、まあ、「笑いは武器である(あった)」というのは柳田国男などもとうの昔から指摘していることであり、特に珍しい思想ではない。ただ、男性の笑いと女性の笑いという視点が私には斬新だったので、書いたのである。



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