「混沌堂主人雑記」からの孫引き記事で、長文だが、我々がぼんやりと考えていたことを実に明確に表現した文章なので全文転載する。
(以下引用)
西側諸国の弱体化と無力感は、さまざまな形で顕在化しています。なかでも顕著なのは暗殺の実行や死を招く危機の人工的な演出、大規模な死傷を目的とした破壊活動の組織、死者を伴うクーデター、人身売買の末に命を奪う行為、奴隷取引や臓器売買といった命を脅かす犯罪的行為であると言えます。
(以下引用)
ゲオポリティカ より
上記文抜粋
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「集団的西側の死の政治」
ボバナ・M・アンジェルコビッチ
西側諸国の弱体化と無力感は、さまざまな形で顕在化しています。なかでも顕著なのは暗殺の実行や死を招く危機の人工的な演出、大規模な死傷を目的とした破壊活動の組織、死者を伴うクーデター、人身売買の末に命を奪う行為、奴隷取引や臓器売買といった命を脅かす犯罪的行為であると言えます。
これら一連の病的かつ非道徳的、破壊的な行為は、いずれも旧来の西洋列強が掲げてきた、あるいは新たに設定した目的 - グローバルな覇権の回復と、かつて撤退を余儀なくされた地域への再進出 - を達成するために行われているものと見る事が出来ます。
なぜ「国際社会」と称される集団、すなわち西欧列強 - オランダ、フランス、スペイン、ポルトガル、イタリア、ドイツ - およびヨーロッパ近隣の島国であるイギリス、そして彼らの旧植民地であったアメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、さらにアジアやアフリカに点在する一部の国家が、再び影響力の回復を志向しているのか。その理由は明白であり、彼らがかつて有していた支配権を取り戻したいという欲望によるものと考えられます。
数世紀にわたり世界中のあらゆる地域で繰り返されてきた略奪、殺戮、窃盗、脅迫、人種差別、覇権主義、破壊行為は、西洋世界の人々を怠惰にし、精神を腐敗させ、人間性や情感を損なわせてきました。その結果、彼らは神なき存在、すなわち悪魔的で冷徹な、まるで機械のように感情を失った存在へと変貌し、自らの優越性という根拠なき幻想に取り憑かれているように見受けられます。
内面に空虚を抱えるほど、彼らは次第に破壊的かつ虚無的となり、その傾向は世代を越えて連鎖しています。美辞麗句が増せば増すほど裏で行われる行為はより醜悪なものとなり、寛容を語れば語るほど、不要な苦痛を引き起こす結果となっています。自己の内部にある空虚さが深まれば深まるほど、周囲には破壊が広がり、現実を歪めれば歪めるほど、自身への妄信が増幅されていく様相を呈しています。
世界情勢には数十年にわたって大きな変化が見られない時期もあれば、わずか数年で数十年分の変化が起きることもあります。そして今まさにその「数年」の変化が始まっており、それは現在進行形で続いている状況にあります。
多くの人々が、トランプ氏が「世界を救う」と期待しました。しかし、どのようにしてそれを成し遂げるというのでしょうか。彼には、高い価値や優れた質に属するような事柄を実現する能力はありません。彼に可能なのは、量的な空白を埋めることであり、質を欠いた「量」、すなわち価値を失ったドルを維持し、ドルの価値を回復させるために、純然たる実利主義にもとづいた基準を設定することだけに限られています。
では「平和の大統領」と呼ばれたトランプ氏のことは忘れることにしましょう。彼をそう称したのは、常軌を逸したタルシ・ギャバード氏でありましたが、現実にはイエメンを24時間にわたり無差別に爆撃し、シオニズム勢力に武器を供給してパレスチナ人への殺戮を加速させ、さらにはグリーンランドを威嚇するなど、平和とはほど遠い行為を繰り返してきたのです。
また現在ガザにおいては、まるで数日前まで死者が存在しなかったかのように、犠牲者の数があらためて数え直されている状況にあります。つまりトランプ氏は病的とも言えるシオニズム勢力を救済するために、何万人ものパレスチナ人を歴史ごと抹消しようとしていると見受けられます。
DJ・ヴァンス氏がピーター・ティール氏の影響下にある人物であることも、決して忘れてはなりません。イーロン・マスク氏の祖父がカナダにおけるナチス関係者であった事実も記憶にとどめるべきでしょう。さらに言えば現米国防長官が、重要な軍事経験も安全保障に関する知見も持たないのみならず、人間としての価値観さえ欠如している愚鈍な人物であることも、看過すべきではありません。
英米諸国は自らの病的な妄想を、美しく包装された空疎な物語に仕立て直しながら、再び世界中の人々を欺こうとしているように見えます。
そもそも植民地主義の開始以来、欧米諸国の政治において本質的な変化は見られませんでした。彼らの政策は、標的とした国々の先住民に対する大量虐殺、死と恐怖の喧伝、そして計画的な暗殺に基盤を置いているのです。
最近になって顕在化した米軍によるディエゴ・ガルシア島への移動は、米国およびその同盟諸国による新たな「コーチング戦争」の準備行動であると見られます。彼らはイランを征服することが不可能であり、とりわけイラン革命防衛隊との地上戦において自軍の歩兵部隊が勝利を収める見込みは皆無であることを十分に理解しています。それでもなお彼らはイラン国内に死と破壊をもたらすことを望み、そこから何らかの利益を得られると信じているのです。
彼らがイランに死をもたらす唯一の手段は、1999年にセルビアで行ったように、高度1万メートル以上からの空爆であると考えられます。当時、アルバニア経由の地上侵攻が不可能と判明すると、空爆を激化させましたが、それは明らかに追い詰められた末の行動でした。
世界中が認識しているように、集団的西側は追い詰められれば自暴自棄な行動に出る可能性があります。自らの時代がすでに終わったことに気づけないほどに自己中心的であり、同時に、その妄想の規模があまりに肥大化しているため、今こそ彼らを精神療養施設に送り、精神医学的な治療を受けさせる最後の機会なのかもしれません。
イギリスの首相やドイツの情報機関の長官、さらにはフランス大統領やNATOの議長に至るまで、いずれも哀れな「オメガ的」男性たちが、ロシアとの戦争はウクライナにとって好ましい選択肢であると声高に主張しています。まるですでに命を落としたウクライナ兵が、100万人を超えていないかのように、家を追われ避難民となったウクライナ国民が2000万人以上に上っていないかのように、さらにはこの無益で愚かな戦争において、最終的に敗北するという事実すら理解していないかのように聞こえます。
現時点で挙げられるある種の「笑える事実」はこうです。
イギリスでは保有する軍艦の数よりも提督の数のほうが多く、ドイツではロシアとの戦争が、いかなるものであるかを理解できる軍人よりも、常識を欠いた人物のほうが多いとされています。そして、そのドイツにはかつてのナチス将校の孫娘でありながら、国連事務総長を目指しているアナレーナ・ベアボック氏も存在しています。
またオランダにはまるで薬物の影響下にあるかのような、異常なNATO幹部が見受けられ、デンマークには政治の本質を何一つ理解していない女性首相がいます。EUでは安全保障の責任者として、極めて思慮に欠けるカヤ・カラス氏が任命されており、彼女の表情ひとつでその限界が察せられるようです。イギリスでは、偽装された結婚の背後に身を隠しながら、極めて脆弱かつ軽薄な首相が、英米的な「善悪の役回りゲーム」に都合よく適合しているのが現状です。
欧米人の死への執着 - いわゆるタナトス的衝動 - は、彼らの無知と不道徳性と非人間性、そして深層に刻まれた破壊への欲望から生じています。
それがニーチェ的ニヒリズムに起因するのか、あるいは単なる愚かさからくるのか、その点はもはや重要ではありません。
我々セルビア人はこのような話をよく知っております。彼らの本質を私たちは、とうに理解しています。長い年月を経ても彼らの本質に変化は見られませんでしたが、世界のほうは確かに変わったのです。いまや欧米諸国は「世界のその他大勢」となり、つまり少数派に転じたのです。
そして彼らは、少数派としての扱いを受けるべきであり、もし彼らが無意味な発言や破壊的行動を取るのであれば、その声は黙殺されるべきだと考えられます。
欧米的な死の政治 - すなわちネクロポリティクス - は、人間的価値のすべてを否定するものであるため、徹底的に排除され、破壊されるべき存在であると断言できるのです。
翻訳:林田一博
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