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悪魔より怖いのは人間

先ほど、寝床で起きがけに読んだ、金原瑞人編訳の「ホラー短編集2 南から来た男」の末尾の作品、エレン・エマーソン・ホワイトの「隣の男の子」を読んで、現代アメリカでは人間のほうが悪魔より恐ろしいという気持ちになったのだが、これは当たり前の話で、悪魔など存在などしないから恐ろしいはずがない。
だが、「普通の人間」「自分の隣にいる人間」が、いつ突然、意味不明の暴力や殺人を犯すか分からない世界の怖さがアメリカにはある。そして、新自由主義に侵略された日本もやがてそうなるだろうが、日本には「神を前提としない道徳(公徳心)」という歯止めがあるから、何とか社会が正常を保っている。
ところが、アメリカや西洋社会のモラルはキリスト教という宗教、神や悪魔の存在、天国や地獄の存在を前提としたモラルだから、キリスト教が信じられなくなると、即座にモラルも消えるのである。それが現代のアメリカだ。(もっとも、ユダヤ教は、神が、他民族は殺せ、と積極的に命じる悪魔的宗教だが、だからこそ悪魔的に強い。)
なお、人間のほうが悪魔より恐ろしい、というのは、「隣の男の子(Boy next door)」のひとつ前の、R・L・スチーブンソンの「小瓶の悪魔」が、キリスト教を前提にしたホラーで、日本人である私には少しも怖くない話(むしろ馬鹿馬鹿しい話)だったからである。
ちなみに、現代(特に西欧)ではnext doorの男の子だけでなく、Girl next doorもモラルの無さでは同じである。バルザックのド・マルセーではないが、「神も悪魔も男も女も信じない」というのが現代西欧では普通なのである。当然、バレる恐れが無いか少ないならいくらでも嘘をつくし、公の場では自分の利益目的であることを隠した偽善的発言だけが横行する。世界の地獄化であり、人間の動物化である。(まあ、動物は嘘をつかないから、人間よりは「道徳的」かwww)
ちなみに、経済の根幹は実はモラルであり、西洋の経済的頽落の根本原因もモラルの喪失にある。たとえば富裕者の異常な資本独占などである。「経世済民」の経済とeconomyはまったく性格が違うと言ってもいい。だからeconomic animalは悪口になるのである。

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