地球の記録 - アース・カタストロフ・レビューさんのサイトより
https://earthreview.net/acetaminophen-overdose-warning/
<転載開始>

medpagetoday.com

アセトアミノフェンの過剰摂取に陥るメカニズム

日本ではカロナールとしても知られる解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンは、現在のように風邪やインフルエンザなどが流行している中では、解熱剤として一般的に処方されます。


「アセトアミノフェンは比較的安全」というような神話が広がっている中での話だと思いますが、先日、アメリカのラトガース大学当局が、


「知らないうちに多くの人たちがアセトアミノフェンの過剰摂取に陥っている」


ということを警告していました。


今回は、その記事をご紹介したいと思いますが、「なぜ過剰摂取になるのか?」ということに関しては、非常に単純な話であり、


「多くの一般的な風邪薬にもアセトアミノフェンが含まれているから」


です。



これは市販薬でも処方薬でもあまり変わらず、たとえば、風邪などの際によく処方される「 PL顆粒」という白い顆粒の薬がありますが、この PL顆粒にもアセトアミノフェンが含まれています。


それどころか、 PL顆粒には、アスピリンと同様の働きを持つ解熱効果のある成分(サリチルアミド)が含まれています。


PL顆粒の成分

kegg.jp


つまり、カロナールなどのアセトアミノフェンの解熱剤と、このような PL顆粒などを同時に飲むと、極端に書きますと、


「 2倍のアセトアミノフェンと、他に同時にアスピリンを服用したのと同じようなことになる」


わけです。


この時点で、すでに、やや過剰摂取なわけですが、しかし、市販の風邪薬の多くにもアセトアミノフェンが含まれています


カロナールを飲んで風邪薬を飲んで、ということを一日繰り返していると、自然と過剰摂取の傾向となるわけです。


このように、「知らないうちにアセトアミノフェンの過剰摂取」に陥る人が、少なくともアメリカでは大変に多いようです。


そのための大学からの警告です。


ちなみに、アセトアミノフェンは「インフルエンザ脳症・脳炎になりにくい」と言われていますが、まったく起こらないわけではなく、他よりやや率が低いというだけです。


以下は、名古屋大学医学部などによる 1999年の研究です。


解熱剤の種類による脳炎での死亡率

indeep.jp


結局のところ、発熱による何らかの緊急事態に陥っているのでなければ、できるだけ解熱剤は使わないのが最良と言えます。それが風邪なら、暖かくして寝ていれば、熱はおさまります。


ここからラトガース大学の警告についての記事です。

大学当局が、インフルエンザ流行期にアセトアミノフェンの過剰摂取について警告

University Officials Issue Warning on Acetaminophen Overdoses Amid Flu Season
Epoch Times 2025/01/14


「アセトアミノフェンが多くの医薬品に含まれていることを知らないため、アセトアミノフェンを過剰に摂取するリスクがあることにほとんどの人たちが気づいていない」と当局者は言う。



米ニュージャージー州のラトガース大学関係者たちは、インフルエンザのような症状の治療に使われるタイレノールの有効成分であるアセトアミノフェンの過剰摂取に関する中毒管理関連の通報が増加していると警告した。


ラトガース大学ニュージャージー医科大学のダイアン・カレロ氏は 1月10日の声明で以下のように述べた


「風邪やインフルエンザの季節は、インフルエンザのような症状を緩和するためにアセトアミノフェンを過剰に使用したという理由で中毒管理センターに寄せられる電話が増加する時期です」


「ほとんどの人は、アセトアミノフェンを過剰に使用しているリスクに気づいていません。なぜなら、この成分が多くの薬に含まれていることを知らないからです。市場にはアセトアミノフェンを含む製品が 600種類以上あります


同大学はニュースリリースで、同大学の医療センターが、症状を治療するために同薬を過剰摂取したニュージャージー州の住民数名を治療しなければならなかった事例が複数あったことを受けて、この警告を出したと述べた。同大学は、治療を受けている患者らは「肝不全や死亡を防ぐ」ためのケアを受けていると付け加えた。


当局は、偶発的な過剰摂取は肝臓毒性、肝臓損傷、あるいは不全を含む重大な健康問題につながる可能性があると付け加えた。


英国やその他の国ではパラセタモールと呼ばれるアセトアミノフェンを、すべての医薬品を合わせて 1日 4,000ミリグラムを超えて摂取しないよう勧告されている。


中毒管理当局は、過剰摂取や肝臓障害の可能性を軽減するために、アセトアミノフェンをあまり短い間隔で複数回服用すべきではないと述べている。


「過剰摂取は多くの人が考えるよりもずっと簡単に陥るもので、アセトアミノフェンを過剰に摂取すると、その結果はすぐに現れ、重度の肝臓障害や肝不全、腎不全、死亡などの生命を脅かす緊急事態につながる可能性があります」とニュージャージー州中毒管理センターのブルース・ラック所長は声明で述べた。


カレロ氏は、「ほとんどの人」はアセトアミノフェンの過剰摂取がもたらす害を認識しておらず、服用している薬の有効成分を確認するべきだと付け加えた。


アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、アセトアミノフェン中毒の主な治療法は、NAC としても知られる市販のサプリメントである N-アセチルシステインを投与することだと述べている。NIH によると、アセトアミノフェンを摂取してから 8時間以内に NAC を投与すれば「ほぼ100%有効」だ。アメリカ食品医薬品局(FDA)は、アセトアミノフェンの過剰摂取の治療に NAC を承認している。


※ コメント / NAC については、このアメリカ国立衛生研究所のウェブサイトにある 2024年の論文をこちらで翻訳しています。


消費者ヘルスケア製品協会によると、アセトアミノフェンは米国の市販薬に最も多く含まれる薬剤成分だ


最新の政府データによると、先週、約 40州で呼吸器疾患の発生率が高水準、あるいは非常に高水準と報告されたことを受け、ラトガース大学は警告を発した。


「季節性インフルエンザの活動は引き続き増加しており、国内のほとんどの地域で上昇している」とアメリカ疾病対策センター(CDC)は今週初めの通知で述べた。


CDC の最新の入院データやその他の指標は、インフルエンザウイルスが他の病原体よりも増加傾向にあることを示していると、CDCの研究員キャリー・リード氏は今月初めに述べた。季節性インフルエンザの複数の株が感染者数を増加させているが、優勢なものはない、と同氏は述べた。


CDC の推計によると、今シーズンこれまでに少なくとも 530万人がインフルエンザに罹患し、6万3000人が入院し、少なくとも 11人の子供を含む 2700人が死亡した。