華佗は古代(後漢の時代か)の伝説的な名医だが、「後漢書」に書かれたその医療法や健康保全法が非常に現代的で面白いので紹介しておく。まるで、現代の医者(ただし名医)がタイムスリップして古代に行ったみたいである。
(華佗は)薬の処方に精通している。調合する薬は数種類に過ぎない。目方をそらで見分けて、秤を用いる要はない。針や灸は、数か所だけ。
もし病原が内臓にあり、針でも薬でも届かぬとなれば、まず酒で麻沸散(大麻から取った麻酔薬)を服用させ、酔って知覚がなくなったところで、腹または背を切開し、病根を切除する。病源が胃や腸にあれば、切断し、洗滌(せんでき)して、悪い部分を除去する。そのあと縫合して、よく利く膏薬を塗る。四、五日で傷口は治り、一月くらいでみな本復する。
佗は呉普にこう言った。
「人の体はせいぜい動かすのが望ましい。ただ疲れきってはよくない。運動すれば穀物の気は消化され、血脈はよく流通し、病気は起こりようがない。ちょうど戸の枢(くるる)がいつまでも錆びつかぬのと同じじゃ。されば昔の仙人は導引ということをした。つまり熊経(夢人注:「ゆうけい」と読み、鉄棒懸垂のような運動らしい。)や̪鴟顧(夢人注:「しこ」と読み、ふくろうのように頭部を回す運動らしい。)などで胴体を引き伸ばし、関節を動かして、老けこまぬよう心掛けたのである。」「わしに一つの術がある。五禽の戯と名付ける。(略。夢人注:柔軟体操の類らしい)これも病気をなくし、兼ねて足を達者にするもので、昔の導引に当たる。体が不快な時、起き上がって五禽の戯のどれか一つをやれば、気が晴れて汗が出る。そこで粉(タルカムパウダーの類)をすりこむ。体は軽くなり、食欲が出る」
呉普はこれを実行した。年九十余りで、耳も目もはっきりしており、歯も揃って丈夫であった。
夢人補足:ちなみに、五禽の「禽」は、通常は鳥類の意味だが、動物全般にも用い、「五禽の戯」は「虎・鹿・熊・猿・鳥」の動作を真似るもののようである。まあ、体全体をくまなく動かせばいいのではないか。特に、ふだん使わない箇所(いわゆる「裏筋」)を動かして体の柔軟性を保持すればいいかと思う。
(華佗は)薬の処方に精通している。調合する薬は数種類に過ぎない。目方をそらで見分けて、秤を用いる要はない。針や灸は、数か所だけ。
もし病原が内臓にあり、針でも薬でも届かぬとなれば、まず酒で麻沸散(大麻から取った麻酔薬)を服用させ、酔って知覚がなくなったところで、腹または背を切開し、病根を切除する。病源が胃や腸にあれば、切断し、洗滌(せんでき)して、悪い部分を除去する。そのあと縫合して、よく利く膏薬を塗る。四、五日で傷口は治り、一月くらいでみな本復する。
佗は呉普にこう言った。
「人の体はせいぜい動かすのが望ましい。ただ疲れきってはよくない。運動すれば穀物の気は消化され、血脈はよく流通し、病気は起こりようがない。ちょうど戸の枢(くるる)がいつまでも錆びつかぬのと同じじゃ。されば昔の仙人は導引ということをした。つまり熊経(夢人注:「ゆうけい」と読み、鉄棒懸垂のような運動らしい。)や̪鴟顧(夢人注:「しこ」と読み、ふくろうのように頭部を回す運動らしい。)などで胴体を引き伸ばし、関節を動かして、老けこまぬよう心掛けたのである。」「わしに一つの術がある。五禽の戯と名付ける。(略。夢人注:柔軟体操の類らしい)これも病気をなくし、兼ねて足を達者にするもので、昔の導引に当たる。体が不快な時、起き上がって五禽の戯のどれか一つをやれば、気が晴れて汗が出る。そこで粉(タルカムパウダーの類)をすりこむ。体は軽くなり、食欲が出る」
呉普はこれを実行した。年九十余りで、耳も目もはっきりしており、歯も揃って丈夫であった。
夢人補足:ちなみに、五禽の「禽」は、通常は鳥類の意味だが、動物全般にも用い、「五禽の戯」は「虎・鹿・熊・猿・鳥」の動作を真似るもののようである。まあ、体全体をくまなく動かせばいいのではないか。特に、ふだん使わない箇所(いわゆる「裏筋」)を動かして体の柔軟性を保持すればいいかと思う。
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