月齢によって異なる月の名前
夜空に浮かび上がる月。晴れの日には月を眺めることができますが、満ち欠けによって見え方や名前が変化します。その変化を知るための目安となるのが「月齢」。肉眼では見えない「新月」を基準として、次の新月までの経過日数を表すのが月齢です。「月齢1」、「月齢15」のように表記します。
月の満ち欠けは複雑なため、月齢と満ち欠けが一致しないことも。しかし、おおよその目安としては十分です。ここでは満ち欠けによって変わる月の名前を紹介します。
新月
新月の日は星が一層輝く
月の姿が見えない「新月」。月齢の基準となる月で、月齢は0です。新月の日に月が見えなくなるのは、地球から見て月と太陽と同じ方向に来るため。月に反射した太陽の光が地球に届かず、月の暗い部分が地球に向くので月が見えなくなります。
ちなみに、地球から見て太陽が月の裏側に入って一直線上に並ぶと起こるのが「日食」。地球と月と太陽が一直線上になくても新月にはなるので、日食と新月は別のものです。
繊月
繊月が見えたら良いことがあるかも
繊維のように細く見える「繊月(せんげつ)」。月齢約2の月で、肉眼ではボヤけた感じに見えてしまいます。発見できるのは日没の前後1時間ほどの空がまだ明るい時間帯。繊月を見つけられたら、何か良いことがあるかもしれませんね。
三日月
夜空に輝く三日月
月齢約3の月である「三日月」。名前を知っている人も多く、三日月くらいになれば肉眼でもはっきりと確認できます。実は三日月と呼ばれるのは、月の右側が見えている時だけ。この後で紹介しますが、左側が見えている月には別の名前がついています。
三日月という言葉は「朏(ひ)」という漢字で表されることも。この漢字が使われているのは、新月の後で最初に月の姿が出てくることを表すためだそうです。その形や最初に姿を表す月であるとされていることから、他にも多くの名前がつけられている三日月。「初月(はつづき)」や「若月(わかつき)」、「眉月(まゆづき)」といった呼び名があります。
また、三日月は英語で「Crescent」。フランス語では「Croissant」と表現され、クロワッサンの名前の由来にもなっています。
上弦の月
上弦の月は右半分が見える
月齢約8の日に月の右半分が見える「上弦の月」。形が弦(つる)を張った弓に似ていることから「弦」という漢字が使われています。月の右側が見える状態が上弦の月と呼ばれる由来は2つ。1つ目は旧暦によるもので、2つ目は月が沈む際の向きによるものです。
1つ目の旧暦による説は、月の満ち欠けで1ヵ月を定める「太陰太陽暦」を採用していたことが主な理由。太陰太陽暦では月の前半を「上」、半ばを「中」、後半を「下」と呼んでいました。ちょうど半月になるのが「上」にあたる8日ごろ。このことから右半分が見える月を上弦の月と呼ぶようになりました。
2つ目の月が沈む向きによる説は、半月の直線部分の位置に注目したもの。右側が見える半月は直線部分が上向きで沈み、左側が見える半月は直線部分が下向きで沈みます。このことから、右半分が見える月を上弦の月と呼ぶようになりました。
由来は異なりますが、いずれの説でも右側が見えるのが「上弦の月」。どっちが上弦の月なのか、しっかり覚えておきたいですね。
十日夜の月
十日夜の月が雲の隙間から光を放つ
上弦の月より少し膨らんだ「十日夜(とおかんや)の月」。名前の通り月齢は約10です。旧暦の10月10日には東日本を中心に「十日夜」という収穫祭を開催。お月見よりも収穫に感謝することをメインとしています。
十三夜月
十三夜月は満月の次に美しいとされている
満月に次いで美しいとされている「十三夜月」。月齢約13の月で、これから満ちていく縁起の良い月とされています。旧暦の9月13日の夜は月見を楽しむ慣習も。十五夜のお月見は中国から伝わったものですが、十三夜のお月見は日本で誕生したものです。
少し欠けている十三夜月を、昔の人が美しいと感じたのは日本人ならでは。完璧ではない未完成ゆえの美しさが日本人の心に響いたと考えられています。
小望月
小望月が見えたら満月はもうすぐ
月齢約14の「小望月」。望月(満月)の前夜に見られることから名付けられました。幾が近いということから、幾望(きぼう)とも呼ばれています。
満月
満月は最も美しいとされている
まん丸に輝く月齢約15の「満月」。望月とも呼ばれ、最も美しい月とされています。英語で「Full Moon」と呼ぶことから満月という名が付きました。特に旧暦の8月15日に出る満月は、別名「中秋(ちゅうしゅう)の名月」。旧暦では7月から9月が秋にあたり、その真ん中である8月が中秋と呼ばれます。
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十六夜の月
十六夜はためらいを表す
月齢約16の「十六夜(いざよい)の月」。望月を過ぎて出ることから「既望(きぼう)」とも呼ばれています。「いざよう」とは「ためらう」という意味を表します。
立待月
今か今かと待っていると現れる立待月
月齢約17の「立待月(たちまちづき)」。日没後に「今か今かと立って待つうちに月が出る」ということからその名が付きました。
居待月
居間で待つうちに出てくる居待月
月齢約18の「居待月(いまちづき)」。居間などに座って、月が出るのをゆっくりと待ったことがその名の由来です。
寝待月
寝待月は寝ながら待つほどゆっくり現れる
月齢約19の「寝待月(ねまちづき)」。日没後から出てくるまでの時間が長く、寝ながら待つということから名前が付きました。「臥待月(ふしまちづき)」とも呼ばれています。
更待月
夜更けにようやく現れる更待月
月齢約20の「更待月(ふけまちづき)」。夜更けまで待ってようやく月が出てくることから名付けられました。
満月以降、1日ずつ名前が付けられている月。昔の人々が、月が出るのを心待ちにしていたことを表していると言われています。
下弦の月
左側が見えるのが下弦の月
月の左半分が見える「下弦の月」。月齢は約23で、上弦の月と同じ理由から名前が付いています。真夜中に空に昇り昼ごろ沈むため、観察できるのは夜明け以降。少し早起きして、青空の中に浮かぶ下弦の月を探してみては。
有明月
有明月は三日月と逆になる
月齢約26の「有明月(ありあけづき)」。ちょうど三日月と左右逆に見える月で、夜明けの空(有明の空)に昇ることから名前が付きました。有明月は、十六夜以降の月の総称としても使われます。左側が細く見えるのは三日月ではないのでご注意を。
三十日月
三十日月は再び月が見えなくなる
再び新月に戻る頃の姿である「三十日月(みそかづき)」。月齢は約30で、旧暦の30日に見られたことからその名が付きました。月末のことを「晦日(みそか)」と呼ぶのはこのためです。三十日月は「晦日(つごもり)」と呼ばれることも。「つきこもり」が転じたもので、月が姿を見せないことを表します。