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思い出の場所

娘からブログへの画像の載せ方を習ったので、試験的に、昨日携帯で撮った写真を掲載する。この写真でそこがどこか分かる人はほとんどいないとは思う。どうでもいいような写真である。しかし、私にとっては思い出の場所だ。
近況については、この実験の後で、気が向いたら書こうかと思う。






この坂を下ってずっと小学校まで通ったが、もちろん昔は舗装などされていなかった。






築60年近い古いビルで、背後から撮ったもの。この家で私は小学生時代を過ごした。




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町の妖精

最近、寝ざめに夢を見ることが多い。夢は五臓の疲れと言うから、内臓にガタがきているのかもしれない。しかし、夢はまた映画を見るのと同じことで、面白くもある。
他人の見た夢の話ほどつまらないものはないというが、備忘のために書いておく。

私は会社を辞めることになって、その最後の仕事に、病気療養中の同僚の見舞に行くように上司に命令される。夢の中では私はまだ40代になったばかりという感じである。
で、その病院が沖縄市の北区というところにあるらしいのだが、私はその場所を知らない。沖縄市は私が子供時代を過ごした町だが、現在の地理は現実にもあまり分からないのである。私はバスに乗り込むが、中の様子が妙だ。入口付近に座っている人がほとんどいない。その理由はすぐに分かる。入口付近に座っている若い男が嘔吐し、その吐瀉物があたりに飛散しているのである。私はそれを避けて席に座る。多分、私と入れ替わりにその若い男は降りるのだが、私が席に着くと、私の後ろにいた若い娘、まだ16、7歳くらいの白いドレスを着た娘が、辺りに付着したその吐瀉物を紙で拭いてきれいにする。気が付くと、その若い娘は3人連れで、妹らしい少女と弟らしい少年が一緒にいる。
私は、例の病院の場所を知らないか、とその若い娘に聞く。すると、多分、あのあたりではないか、と答える。その場所は、私が何度か夢に見た場所で、何度もそこで道に迷って困り切った町である。
どうやら、それらしい場所に着いたので私はバスを降りる。その娘たち3人も同じ場所で降りる。この子供たちは孤児らしい。浮浪者らしい薄汚れた身なりであるが、しかし娘たちは可愛らしい顔である。下の弟はまだ7、8歳くらいだが分別臭い顔をした、落ちついた少年だ。
私は、なぜかバスの中で赤ん坊を拾っていたらしく、その赤ん坊と、見舞の花束と、そしてなぜか差し入れの弁当を持って病院に行くが、そこの受付で、同僚は既に亡くなっていたと聞かされて途方に暮れる。べつに親しい同僚ではなかったので、私が途方に暮れたのは、手に持った花束や弁当の処理をどうするかということである。
(そう言えば、その前に、近くの交番で病院の場所を聞いたのだが、その時に赤ん坊を交番に引き渡すことを少しも考えなかったのはなぜだろう)
病院を出てからか、病院の中かは知らないが、私は、先ほどのあの娘が人気のない地階フロアでくるくると回りながら踊っているのを見つける。その側には妹、弟以外に、若い男がいて、その娘の踊りを眺めている。娘は、町の妖精のように見える。
その若い男は、彼女に気があるのだろうな、と私は考えるが、その時に、私の抱いた赤ん坊の足の間が生暖かくなっているのに気づく。オシッコをしたのである。
私が困っていると、娘は踊りをやめて私の側に来て、私に代わって赤ん坊を抱っこする。その様子を見て、若い男は不満顔で立ち去る。
娘が赤ん坊をあやす様子を私がぼうっと見ていると、妹の方が私に、姉は私が好きらしいというような意味のことを言う。弟は、「この人では頼りないな」みたいな批評をした気もするが、よく覚えていない。
で、そこまでで夢はだいたい終わりなのだが、なぜ長々とこんな話を書いたかというと、町角で、あるいは無人の地下道やビルのフロアでくるくると踊る少女の姿が非常に印象的で、そのイメージだけで映画が一つ作れそうな気がするので、備忘のために書いたわけである。現実の私は40代ではないし、若い娘とどうにかなりたいというような年齢ではない。
映画の最後は、こうだ。その若い娘は妹や弟と引き離され、一人だけになる。(もちろん、私などただの通りすがりの人間にすぎない)そして、夜明けの町の中でただ一人踊るのである。いつまでも、くるくる、ひらひらと、妖精のように。

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組織力学の話

「阿修羅」記事から転載。
特に緊急の情報性は無いが、ある市民運動(?)の内ゲバと変質の内情が描かれていて面白い。真面目な人間ばかりが集まった集団では、重箱の隅をつつくような厳密性に長けた近視眼的人間が主導性を取りやすい。ユーモアのある人間は不真面目で無責任だとして主導権を失いがちである。
それが市民運動の変質や衰退の大きな原因ではないだろうか。

沖縄の人間の「テーゲー主義」にあこがれて沖縄に移住しながら、自分自身の本土的几帳面さを持ち込んで周囲を「本土化」してしまう本土人の多いことを想起する。まあ、そこには「本土人である自分はこんな現地人より上だ」という無根拠で奇妙な優越意識もあるのだろうが。
話が逸れたが、議論が強いことと、その議論の内容が有益であることとは必ずしも一致しない。大局観を持たない人間が「コアメンバー」である集団は滅びるものである。


(以下引用)


「TUP速報」の消滅 - 私の退会理由

http://www.asyura2.com/10/warb7/msg/360.html
投稿者 千早@オーストラリア 日時 2011 年 3 月 04 日 21:05:01: PzFaFdozock6I



(写真は、『世界は変えられるII 戦争の被害者って? 加害者って?』)

TUP速報の発起人のお一人で、長いこと管理人兼配信係もなさっていた萩谷さんから、今回多少手直しされた、退会なさったときにお書きになった「私の退会理由」が送られてきました。すでにCMLにも多少お書きになったとあり、転載の許可も戴きましたので、ここにご紹介します。

★関連投稿は、
転載 - [CML 007621] TUP配信停止について 
「TUP速報」の消滅 - 「陰謀論を扱うのは平和活動にとってデメリットだ」は本当か?
「TUP速報」の消滅 - 「読者からの質問に答える」
「TUP速報」の消滅 - 彼らがしたことは、一体なんだったのか?

尚、TUP速報で出した9/11の公式説に疑問を投げかける内容の速報というと、まずあの詐欺師「きくちゆみ」のご亭主「森田玄」が出した

TUP速報398号広がり行く911事件真相究明の運動(1)
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/425

があり(これは「(1)」となっていますが「(2)」は出ていない模様)、
その後に私が訳した

速報551号 非難を浴びる9-11 の嘘
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/597

速報591号 9/11の公式発表は「でっち上げだ」とエキスパートが主張
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/640

が出て、加えて

速報710号 シンディー・シーハン、遂に9/11の真実に言及す
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/735

速報720号 ニック・ロックフェラーは「全住民にマイクロチップを埋め込むのが最終目標だ」と言った
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/745

も、公式説に大きな疑問を見出している内容になっています。

あとの4本は皆私の手がけたものでしたが、それらの配信は誰からの文句も出ぬまま、スムーズに行われたのでした。しかし、無数の「疑問を呈する声」を集めたサイトからの訳は阻止された。

先にお伝えしている通り、ゴア・ヴィダルやダニエル・エルスバーグという広く知られた人々や、9/11当日亡くなった消防士の息子ダン・ワラスやおじを失ったマニー・バディーヨといった遺族を含む疑問の声を訳したものが、まっとうな理由もなく配信阻止されたのですが、萩谷さんはその辺の経緯にも触れていらっしゃいます。

木村愛二さんのお名前も出ていますが、TUPの作業用MLに木村さんのメールニュースを転送してくださっていたのは星川さんで、私はそれで木村さんの存在を知ったほどです。

それからTUP速報発起人の方々には私も敬意を持って接してはいましたが、それだって、他のメンバーに対し、同じ人間として払う敬意とその実大差なかったと思います。更に、M女史等が言うような権威主義を感じることがたとえあったとしても、言いたいこと、言うべきことは遠慮なしに言わせてもらっていたうえ、そうした声でもちゃんと聞いてくださっていたのが本来のTUPでした。

萩谷さんは、

「天下の岩波から本を出すんだ、世間に認められる売り物になる訳をするんだ、ということが、そういう権威主義、またそれに起因する匿名の横柄なチェックなどにつながったのだと思います」

と書いておられますが、殊に、「その本を作る作業の中心に私がいたのだ」「あれをやったのは私よ」というような「(複数、少数の)個人を売り込む」ことに熱を上げていたのではないでしょうか。

七つ森書館から本を出して戴いたときには、「TUPみんなでやった」という意識が強くあったように思います。そのあたりや、『冬の兵士』の"査読"が匿名で行われていたことなども(これは今知りましたが、驚愕!)、TUPがすでに本来のTUPではなくなっていることの証を見る思いです。

また萩谷さんも「陰謀説」という表現を使っておられますが、これは「9/11はブッシュ政権中枢にいた者たちの陰謀だった」と主張する「説」のことです。しかし「陰謀説」という表現を使うことによって、それを主張する者たちが「陰謀」という、何かしらうしろめたい、いかがわしいことに手を染めているような誤った印象を与えます。

世間で「陰謀説」という表現が使われるときは、隠されている本当の事実を伝えないようにする勢力による、またはその影響を受けたレッテル貼りであることも、皆さんには気づいて戴きたいと思います。そして萩谷さんの

「読者の中にも、陰謀説はお断りだ、という人が少なからずいるでしょう」

という弁に対しては、以前も書いたとおり私の知る限りにおいて、読者からその手の声は届かず、逆に私の書くものを支持する声が複数あったのです。しかもそれらをコア・メンバーは無視し続けた。

それと同時に何度でもくり返したいのは、9/11が多くの命を今も奪い続けている複数の戦争の大元であるという点です。「平和を目指す翻訳者たち」ならばこそ、「そこに無数の疑問がある」という事実を放置しておくべきではありません。

こうしたグループの分裂話は「双方に問題があるのだろう」などと見られがちでしょうし、中々読み取れないものがあるでしょう。ですが、きちんと冷静に事実を見る方にはきっと通じるものがあるはずと思います。そして私個人としては、

根底に横たわる、無数の「本当のこと」を伝えないようにするために
明らかに、そうした意図を持った人間たちによってTUPは乗っ取られた

と、見ています。
そういえば当時、詐欺師「きくち」の旦那にそんなことを書いたとき、

TUPなんて、全然大したことないから
そんなところにスパイが入るなんてあり得ない

などと書いてきましたよ。

TUP速報も一時は読者が4,000を超えていたし、読者が他に転送したり転載することも多かったので、決して馬鹿にできない影響力を持っていたと私は思っていたのに、です。
#彼と妻の正体がバレて、今では「さも、ありなん」と思うばかり

とにかく、自分で色々でっち上げる人間なら
9/11の公式説やゴアの嘘、温暖化人為説
という「でっち上げ」擁護に動くのも当然といえるでしょうか?

では、萩谷良さんからの「私の退会理由」をお読みください。
読みにくい部分があるかもしれませんが、改行も原文のままにしておきます。

尚、今日私が遭遇している妨害は「ウェブ上で日本語が書けない」というもので(これまでにも何度かあったが)、これらの文章も皆他で書いたものをコピペしてアップしています。また先日、ネットカフェに行く機会があったので、そこからならブログの背景や文字の色を変えられないかと思いましたが、家でと同様、不可能でした。

私の作業の邪魔をしようというネガティブな工作を続ける連中には、いつか必ずやったことに相応の処罰が下ることを信じています。


<私の退会理由>

(以下は、基本的内容は以前、退会のときに書いたもので、CMLに投稿もしたのですが、それを、もう少し簡潔に書き直し、当時言い足りなかったことを足してあります。いまさらのようですが、いまTUPにおられるメンバーの皆さんにご理解いただく必要があると思います。)

 私はTUPには2003年3月の発足当時、発起人の一人として関わり、ML管理人を務め、のちに配信係もしました。2007年から仕事の関係で一時休んだのち、2008年末に戻って来ました。そして、2009年3月に、TUP内部での対立に愛想がつきて、退会しました。

まずお断りしておきたいのですが、私が管理人だったころのTUPでは、911内部犯行説の立場に立つ記事を発行することは、なんら問題とはされていませんでした。ですから、2度は、そのような主旨の記事を配信しています。
発起人の星川さん、菅原さん、それに私も、陰謀説で有名な木村愛二氏の記事を読んだりしており、菅原さんと私は同氏と知り合いです。その説を全面的に信ずるかどうかは別にして、陰謀説アレルギーはありません。

それでも、私はTUPに戻ってからは、千早さんと他の数人のメンバーの対立については、対立に至った事情をよく知らなかったため、中立の態度を保っていました。
しかし、次第に反陰謀論の人たちの態度に疑問をもつようになりました。
理由のひとつは、陰謀説はアプリオリに排除すると言わんばかりの硬直した姿勢です。私の不在中に日本の国内状況が内部犯行説に不利に推移したとも思えません。彼らの言動は、一言で言えば、小学校のいじめそっくりだったのです。
911内部犯行説を主張するのが私の趣旨ではないので、以下、その問題の詳細にはふれませんが、TUPの今の状況は、市民運動で忘れてはならない原則に抵触していると考えられ、そのほうが内部犯行説の正否そのもの以上に重大です。

■陰謀説を発表するのには抵抗があるというのは、わからないわけではありません。TUPも日本の社会の中で政治的なポジションを考えなければなりません。2000を超す読者の中にも、陰謀説はお断りだ、という人が少なからずいるでしょう。
それならばそう言えばいいのですが、反陰謀説側の人たち(以下「コアメンバー」と呼んでおきます)は、正直にそうは言いませんでした。
ただ自己正当化にはしって、てんでに非論理な言葉をならべていました。どうやら問題になっているのは、論理の是非ではなく、ひとつのタブー、陰謀説タブーに抵触するかどうか、だけなのでした。
一方的に内部犯行説記事ばかりを流して、TUPが偏っていると思われるのが好ましくないのなら、反対の立場の記事を出せばよく、両者の論争が長引くのもまずいと思うなら、適当なところで打ち切りの提案をすることもできます。

反陰謀説の人たちは、理由を明示することなく、内部犯行説を否定しますが、フロリダ州で大統領選挙の票をあれだけ白昼堂々と組織的に盗んだ政権が何をしても、驚くには当たらないのではないでしょうか。あの事件さえ、ブッシュを支持する人間はガセネタだと思っています。あれほど明らかに日本が劣勢だった太平洋戦争でさえ、多くの国民は日本が勝つと思っていたのです。何かがアプリオリに否定できるなどとは言えません。
もちろん、私は、なんらかの特定の勢力がたくらむ陰謀がダイレクトになにかの社会的出来事につながるかのような、あまりに単純にものごとを収斂させる見方には、人並みに用心はしているつもりです。

 私はなぜ千早さんの911陰謀説の記事が配信されなかったのかコアメンバーに聞いてみるのですが、誰もまっすぐに答えません。
 彼女に傷つけられたと言うひとがいました。
記事を配信するかどうかは、感情の問題で決めるものではありません。また、メールのやりとりで、どっちがどっちを傷つけたなどと簡単に言えるはずもないのです。自分だけが一方的に被害者のように言えるでしょうか。

 陰謀説を唱えているのは千早さんひとりで、対立している人は少なくとも4人はいました。しかも論争できつい言い方をすることは、いくらでもあるのに、それでいちいち傷つくようで、メディア業界で生きていられるでしょうか。

 要するに、コアメンバーは自分たちが明確な意志をもって行ったはずの措置について、簡潔明確に説明できないのでした。

 こんなことでは、千早さんに手を焼くのは当然で、それは千早さんのせいだとは言い切れないではありませんか。

 文化人類学者の西江雅之さんが語っていた話では、人と話すときは顔を相手に近づけるのが礼儀だとする文化のなかで育ったひとと、相手から顔を遠ざけるのが礼儀だとする文化で育った人が話をしたら、片方は相手ににじり寄り、他方は後ずさりするので、部屋の中をぐるぐる回ったそうです。千早さんは議論をしようとしたに過ぎません。ところが相手は議論を逃げよう、避けようとする人たちだったので、ぐるぐると堂々巡りをしてしまったのです。

 私は、中立の立場から彼女寄りにシフトしたかもしれません。しかし、仮にも初期からTUPに大いに貢献してきたメンバーで、世間の定説を鵜呑みにはしない姿勢をもつ人間をそれなりに評価したからであって、自分が間違っていたとは今もって思いません。また、彼女には人を傷つけるような趣味もありません。

と同時に、私はコアメンバーに対して、もっと別の疑問も感じていました。むしろこのほうが重大だと思えるし、TUPにいるメンバーの皆さんにも大事なことではないかと思います。以下、それを説明します。査読MLで起きた事柄が主なので、ほかのメンバーの目にふれないのをさいわい、コアメンバーは誤魔化していますが。

■査読班での彼らのやりとりには、千早さん以外の人までおとしめるようなものがありました。一例をあげると、ある女性メンバーについて「あの人には萩谷さんが言って聞かせてほしい、彼女は男に弱いから」と書く人がいました。呆れていると数日後も、彼女は年上の男性には素直だ、と書きました。
また、ある査読者が私を自分の側につけようと画策しているので、それを阻止することができてよかったなどと言っている人もいました。

 いつからTUPでは派閥争いが始まったのでしょう。こんなにこそこそと互いを悪意で見たり、陰口をきくような集団になったのですか。星川さんがいたころには想像もつかなかったことです。

コアメンバーは、「冬の兵士」作業用に作ったMLを、自分たちだけの陰口や裏での連絡の手段として使っていたわけです。

 そのうちに岩波書店の山川良子さんが査読MLに加わりましたが、千早おろしは続きました。私も最初のうち、千早さんを悪く言う者ばかりでは不公平だと思うから反応していましたが、考えてみれば、これはまずいことです。だから、査読MLで千早さんの話をするのはやめようと警告しました。ところが、彼らの誹謗はやみませんでした。

■査読MLの管理人だったSさんは、専用MLは「冬の兵士」の訳文チェックのためであるのに、千早さんのことをくさすために使ったことをどう思っているのでしょう。ついうっかり1度か2度というのではなく、毎日そんなやりとりが続いたのです。

 私がたまりかねてTUP-MLでこのことに他のメンバーの注意を促す発言をすると、彼は、千早さんの話は査読MLでしましょう、と、山川さんが読んでいる査読MLで書きました。私がそれを批判すると、すみません、新しく山川さんの加わらない MLを作りましょうと言いました。これには呆れて、なんのためのMLですかと聞きました。返事はありませんでした。山川さんに対しては、とんだ醜態の恥の上塗りをしたわけだし、千早さんにとっては、名誉毀損で訴えてもおかしくないことです。

 Sさんは、管理人をやる人がほかにいないのをいいことに、一切反省も謝罪もしません。

 私は査読MLのメールを千早さんと菅原さんに転送すると言いました。千早さんは当該、菅原さんはTUP発起人です。当該や発起人に知らせるのは当然です。

 それに対して彼は、「closed な MLでの発言を外に漏らすのは原則違反ではあります。だから、萩谷さんが千早さんにそれを告げるのは原則違反ではありますね。しかしながら、この場合は、僕の方が先に原則違反しているので、僕としてはそれをするなとは申せません」(2009年3月5日)と、自分の非を認めざるを得ず、なるべくならほかのみんなの発言は転載しないでほしい、としか言えなかったのです。人に知られて困ることをしていたのですから、やめろと強く言えないのは当然です。

 しかるにその後、Fさんの援護射撃に元気を取り戻して、私を一方的に非難しました。まるで泥棒が裁判官になったようでした。公害垂れ流し企業が内部告発した社員を首にするのとどうちがうのでしょう。査読MLでのことなど、他のメンバーに対してはいくらでもごまかしがきくと思っているのでしょう。

■Mさんについては、私は、千早さん問題(ほんとはコアメンバー問題と呼ぶべきですが)とはまた別の問題も感じています。

それは、「訳語の問題 sexual orientation」というスレッドで彼女の述べたことについてです。これは、TUP-MLのログが残っているのではないでしょうか。
私はあれを軽い過ちだとは思いません。それは、少なくとも、翻訳者、言論に関わる者としての資質を問われる重大問題だと思います。(後に経過報告を付けます)

 私の知っているフリージャーナリストや映像作家で、いやしくもなんらかのマイノリティに関わりを持つ人たちの間で常識となっていることが、この人には通用しません。

 Mさんは私に、千早さんの「布教活動」のせいで、何も知らない若いメンバーが、「あんなものを真のジャーナリズムだと誤解したら困る」と書いてきたことがありますが、Mさんこそ、TUPの若いメンバーに真のジャーナリズムや翻訳のなんたるかを誤解させる恐れがあります。

 sexual orientationをめぐっての、あの見苦しい言い逃れ、はぐらかしはいったい何でしょうか。あんなものが「ジェンダー問題の専門家」の考え方だなどと思われたら、性的マイノリティが迷惑します。

 こういう人が岩波の「世界」などに翻訳を載せるとき、自分の名前に(TUP)などとつけるのは、TUPの名前を利用しているだけだと思います。

 この人は私がアフリカに行ったことを「TUPに絶望してアフリカに行った」と語ったそうですが、私はそんなことは身に覚えがないし、誰にも言ったことはありません。こういうふうに勝手な脚色をし、論理をねじ曲げることが、この人においては常習的行動となっています。

■訳文チェックで、非常に権威的、強制的なやり方をして、一部のメンバーに不快な思いをさせている人がいました。もうTUPをやめてしまったらしいので、詳しくは言いませんが、ともかくそのせいで少なくとも二人の人がやめています。

その人のチェックは、Aという表現をBに変えろ、までは間違いではないのですが、その理由を説明し始めると、変なことをよく書いていました。たずねてみると、せいぜい大野晋と本多勝一の本を読んだくらいの知識しかもっていないのでした。そんな浅薄な知識にもとづいて、メンバーに、こう書けとか、ああ書くなとか、余計な強制、指図をしていたのでした。
そのため、明らかに不自然な訳文を書くようになった人たちが見られました。

 言葉について語ると、微妙なまちがいや、とんでもない大間違いをすることがあるものです。軽々に扱ってはならないと思います。

 とくに私が強調したいのは、人のことばにはそれなりの尊厳を認めるべきだということ、根拠のないことを語るべきではないということ、そして、言語を機械的に扱ってはならないということです。

■私が以前TUPにいて、人の訳文をチェックしていたときは、匿名で書き換えるなどということはありませんでした。千早さんや池田さんも熱心にチェックをしていましたが、必ず名前を出して、訳者に話しかける態度でした。これは当然のマナーだし、そのほうが健全で嫌みがないと思います。

「冬の兵士」の「査読」は匿名でした。閉鎖的な、高みに立った感じを受けます。
査読より前の段階で、名前を名乗ってメンバー間のチェックが行われてはいましたが、遠慮していたらしく、不十分なものでした。
対等平等なはずのメンバーの訳文をAレベル、Bレベル、Cレベルなどと、根拠も明らかでないままにふるい分けて、それを直す段取りを調整していましたが、いかにも傲慢なことです。
「査読」というのも、なんだか権威じみて、おこがましい名称だと思いました。
天下の岩波から本を出すんだ、世間に認められる売り物になる訳をするんだ、ということが、そういう権威主義、またそれに起因する匿名の横柄なチェックなどにつながったのだと思います。

査読MLで、あるメンバーが自分の中学生のお子さんが書いた訳を、ほんの参考にと言って投稿したら、大人の訳を批評するみたいに大上段に構えて長々と批評した人がいたのには、呆れました。星川さんのいたころなら、ほほえましい雰囲気で出来たことが、まったくできない、ユーモアゼロの集団にTUPはなってしまったようです。

星川さんや私がやっていた頃のTUPでは、もっと誰もが遠慮なく口をきける雰囲気がありました。グループ内で民主的な対等な関係が保証することは、市民運動の生命線です。
私や星川さんや菅原さんを父権的などと言っているようですが、とんでもない話で、唖然とします。

私は、それまで好感をもって見ていたMさんが、自分の立場を正当化するためならどんな嘘でも平気で書くのに強い失望を感じました。Mさんは、TUPの初期からのメンバーではなく、彼女が参加を希望したとき、以前に彼女と同じ運動に参加していたことのある菅原さんが参加に反対し、一番積極的に彼女を擁護したのが私と千早さんだったという、皮肉な経緯があります。

■sexual orientationの訳語のいきさつ

 「冬の兵士」翻訳の途中で、sexual orientationという言葉を「性的嗜好」と訳した例がありました。それについて、私とMさんの間に、「訳語の問題 sexual orientation」というスレッドで、次のようなやりとりがありました(敬称略)。

萩谷:「sexual orientationは『性的指向』である」とコメント。

M:「性的志向」が正しいとコメント。

萩谷:「性的指向」が一般的であることを、Wikipedia およびGoogle検索ヒット数にもとづき指摘。

M:Wikipediaは間違いが多い。

萩谷:国連広報から、国連の決議で性的指向とする慣行だとの情報を得た。

M:国連に連絡し、指向とするという規定はないと確認。(萩谷注 公式の規定はありません。ただしすでに「性的指向」が慣例となっています)。

 M:性的指向は、性対象として異性を求めるか同性を求めるかあるいは両性かということのみにもとづく概念。
その相手との関係を、双方の合意と配慮、愛情にもとづくものにするかという視点を欠く。
そのため、軍などでは、連続少年暴行魔でも、無害な同性愛者でも同列にして変態者として扱うといった不当な待遇が見られる。このことを巡ってゲイ・コミュニティで抗議や議論があり、そのなかで、性的志向という概念が必要とされるようになっている。

 萩谷:性的指向という概念では、倫理的な観点が示されず、無害な同性愛者に対する不当な待遇を排除する根拠が示せないという点には同意。
 ただし、従来、日本では性的志向という言葉はなく、性的指向が一般的であり、これがsexual orientationの訳語とされてきた。
sexual orientationを性的志向と訳すのだとすると、性的指向にあたる英語は何なのか?(この質問は以後再三なされた) 

 M:(この質問に答えなし)

 萩谷:Mは日本と米国のどちらのゲイ・コミュニティに接触して、彼らの上記のような問題意識を知ったのか。

 M:(答えず)

 萩谷:性的少数者の権利推進運動に長年携わる知人に、このことを問い合わせたが、Mのような話は初耳だとの回答を得た。
 したがって、これはMの造語であり、当該の同性愛者の意見にもとづくものではない。

(私とMさんのやりとりは以上)

 これに至るまでの6,7回に及ぶ応答のなかで、Mさんは少なくとも2回は、言葉の意味に関する私の質問に対し、自分はジェンダーの問題で、公的機関や大企業に講師としてレクチャーをしに行ったことがあると、自己の経歴を述べ、私の質問に答えていません。
議論に無関係で、権威主義的で、問題の当事者をないがしろにした態度です。

 Mさんは、性的指向という言葉が使われる以前には、性的志向という言葉のほうが一般的だったと述べていますが、これはさまざまな意味で間違っています。
私も私の知人(性的少数者の権利擁護に取り組んでいる人)も、60年代以降の日本で、性的志向という言葉を見た覚えがありません。性的指向という言葉すら,80年代末かそれ以後のものです。なぜなら、ゲイリブはウーマンリブより後のものであり、ウーマンリブは70年代のものだからです。
 70年代やそれ以前には、性的指向と性的嗜好すら区別されるような状況ではありませんでした。

Mさんは、日本ではゲイ文化の伝統が長いとも言っていますが、それは同性愛者が日陰者扱いされている日本の状況を無視した暴言です。
 なるほど米国には、同性愛者は牢屋に入れろなどというひどい法律が一部の州に残っていますが、そんな米国のホモセクシュアルのほうが、そんな法律などない日本の同性愛者より、それこそgay prideをもって、明るく堂々と生きています。
 もし、Mさんの言うように、性的志向という言葉が久しく以前から使われ、ゲイ文化の伝統もあったというなら、日本ではなにも問題はないことになるでしょう。

 私は、フリージャーナリストやフリー映像作家の集まるMLに加わっていますが、そこでMさんのような発言をしたら轟々たる批判を浴びると思います。社会的弱者と直接に接触して良心的な活動をしている人たちの間では、こんな傲慢で独善的な発言は考えられないことです。

私は、そのMLに、この議論の内容を紹介して、意見を求めてみました。すると次のようなレスをつけてくれた人がいました。

<<そもそも性的オリエンテーションに倫理性なんてものが関係あるんでしょ
うか? また倫理性そのものが、各個人のオリエンテーションに過ぎないように
も思います。それを個人のオリエンテーションを超えた社会規範と考えるところ
に、差別が生じるのではないかとさえ、私は思います。
幼児性愛は犯罪でしょうか?明らかに、幼児に性的指向が向くこと自体は犯罪で
はありません。それは羊や鶏を嗜好するのと変わりないものです。しかしその願
望を現実化してしまうと、人間の幼児には人権がありますから犯罪となります
が、残念ながら羊さんや鶏さんの性的指向を蹂躙しても犯罪にはなりません。
性的オリエンテーションはあくまで個人のオリエンテーションですから、社会規
範や倫理性を含ませる用語法には注意が必要だと思います。その意味から、私は
志向よりはよりニュートラルな指向をとります。でも同様の意味で嗜好も悪くは
ないのでは、と思うのですが、いかがでしょうか>>

 この人は冤罪問題の追及で優れた仕事をしているジャーナリストですが、こういう意見をくれる人に比べて、Mさんは、ある大事なものを裏切っていると言わざるを得ません。TUPというのは、もともと、こういう人やSさんのような人がやる活動ではなかったのです。

 そのMさんが、私や星川さんや菅原さんを権威主義だとか言いふらしているのには、開いた口がふさがりません。

<以上>
2010年9月28日 2011年3月3日加筆


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ここにも合成の誤謬がある

ハジュン・チャンの『世界経済を破綻させる23の嘘』はグローバリズムと自由主義経済の虚偽を見事に解説した、読みやすい経済学の本で、この10年ほどの間に出た本の中でもベストの部類に入る。
その中の一節で、世界の先進国での製造業の重要性が低下している、という見方を正した部分を例として挙げよう。下線をつけた部分は、私も含めて多くの人が気がつかなかったところではないだろうか。統計における比率の低下は、実は生産性向上による値下がりのせいだということを知らず、その産業の重要性の低下だと錯覚する人間が多いはずだ。
今の日本の経済的困窮を救うためには貧困産業に金を回す工夫をすることだと私は何度も書いているが、企業努力によって生産性を向上させることが、その産業全体を貧困化させるという悪循環をも考察するべきだろう。


(以下引用)

ほとんどの人が工場ではなく店やオフィスで働いているという意味では、わたしたちは脱工業化社会に生きているのかもしれない。しかし、世界は工業が重要ではなくなった「脱工業化」という段階に突入したわけではない。国内総生産に占める製造業の比率の減少のほとんどは(すべてとまではいかないが)、製造業の絶対量の減少のせいではなく、サービスと比較して製造品の価格が安くなったためである。この現象は製造品の生産性(一定の投入当たりの生産量)の向上がサービスのそれよりも速いために起こっている。ただし、この非工業化のおもな原因がサービスと製造品のあいだの生産性向上のちがいで、したがってそれ自体にはマイナスとなるところはないにしても、経済全体の生産性向上と賃金のバランスという面では、無視できない好ましくない結果が生じる。発展途上国は工業化の大部分を跳び越して、一気に脱工業化段階に入れるという考えにいたっては、現実離れした空想でしかない。 (下線部は引用者による)

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米国からの新たな指令か?

米大使館ホームページより転載。面倒臭い文章なのでまだほとんど読んでいないが、おそらく今後の日本政府の政策はこれに基づいて進められると思うので、備忘のため転載しておく。中には著作権違反の非親告罪化、つまり著作権保持者の意思と無関係に犯罪として摘発できるという条項もあるらしい。(私の誤解でなければだが)



日米経済調和対話
English
2011年2月

(仮訳)

 米国政府はこの新たな日米経済調和対話を通じ、新たな機会を創出し、新規事業や貿易を促進し、公共の福祉を増大させる措置を講じることによって、両国の経済成長を支援する機会を歓迎する。米国政府は、実行可能な範囲において、両国のシステム、規制アプローチ、その他の措置や政策の調和に向け、この共通の目標を推進する形で日本と緊密に協働することを期待する。

 日本との協力関係の強化は、この対話において米国が特に重視する領域である。情報通信技術、知的財産権、農業関連措置やワクチンといった領域における両国の協力はすでに良好な成果をもたらしている。この対話の下、米国は共通の目標の達成に向け、当該領域ならびにおそらくはその他の領域においても、引き続き日本とのさらなる調和と連携を促進する。

米国側関心事項

情報通信技術(ICT)

通信

周波数:オークションの活用を認めるなど、日本の周波数割当プロセスにおける客観性、透明性、説明責任を向上させる措置を講じ、より一層の競争とイノベーションを促進する。

支配的事業者規制:NTTやその関連会社に関わるいかなる改革も、特に新規市場参入者に対して競争的機会を保証する手段を十分に提供するものとなるようにし、政策決定プロセスがNTTからの不当な影響を受けず、開放的かつ非差別的な方法で進められるよう確保することで、競争や消費者による選択を推進する。NTTグループの再編に関わるいかなる提言もパブリックコメント手続きの対象とする。

移動体接続料:移動体着信料金が、日本の法律に沿い、効率的な経営の下でのコスト志向の原則に基づいた水準に設定されているか否かを評価する調査を開始することで、消費者の利益につながる公正な価格設定慣行を確保する。融合サービスおよびインターネット対応サービス:融合サービスおよびインターネット対応サービスに関わる規制が策定または更新される際、日本の規制アプローチが、インターネット配信映像など革新的製品やサービスの提供を可能とすること、また支配的事業者が市場の競争を歪めないことを確保する。

透明性:総務省の規制・政策決定機関としての役割に鑑み、審議会・研究会等を含む、総務省の政策決定プロセスにおける透明性と説明責任を向上させる措置を講じることで、新たな技術について公正な市場機会と消費者による選択を確保し推進する。

国際協力:ICTに関わる共通の懸念や関心事項について、重要分野における共通原則の策定等を通し、WTO等の場で引き続き協力の機会を探る。

情報技術

政府のICT調達:国際的な技術標準や傾向を反映し、技術中立性や相互運用性の原則に沿った日本政府全体に適用される政策の実施等を通して、政府のICT調達の競争、透明性、公平性を高める。

医療IT:国際標準に基づき、技術中立性や相互運用性を促進し、患者自身による自らの医療記録へのアクセスを向上させる医療ITを早急に導入することで、日本の患者にとっての医療の質と効率性を高める。

クラウド・コンピューティング:社会全体で成長やイノベーションを促進するクラウド・コンピューティング技術の潜在力を最大化するために、国境を越えるデータの自由な流れを促進する。データサービスについて提供場所が日本国内か国外かにかかわらず非差別の原則を採用する。データセンターやクラウド・コンピューティングに関わる規則の策定・施行に際し、透明性を確保し、国内外の産業界の意見を聞く。

プライバシー:政策の標準化や、ガイドラインの一貫性のある施行を通じ、個人情報保護法の実施について中央政府機関全体でさらなる統一化を図る。データの適切な共有を促すために、現行法の規定と運用を再検討し、データ保護に対するバランスの取れたアプローチを採用する。オンライン広告における個人情報の利用に関わるガイドラインの策定に際し、透明性を確保し、国内外の産業界の意見を聞く。

知的財産権

技術的保護手段:主に技術的保護手段の回避のために使用される機器やサービスの取引や、回避という不正行為に対して、より包括的な禁止規定を提供し、また必要に応じ、十分な民事・刑事上の救済を提供する等、アクセスコントロールおよびコピーコントロールに対する救済手段を提供することにより、技術的保護手段(およびこの技術的保護手段を採用するビジネスモデル)の確固たる保護を確実にし、権利者自身の著作物を保護する能力を高める。  

著作権保護期間の延長:OECD諸国や主要貿易相手国での傾向を含む、新たな世界的傾向と整合性を保つよう、オーディオビジュアル作品に加えてすべての著作物に関わる著作権保護期間を延長し、著作権保有者の保護を強化する。

オンライン上の海賊行為:オンライン上の侵害に対するエンフォースメントを強化するために、法律、規制、その他の方策を更新する措置を講じる。またオンライン上の海賊行為に対処するため、インターネット・サービス・プロバイダーや権利者を含む、利害関係者間の協力的取り組みを奨励する。

エンフォースメント手段:権利者からの申し立てを必要としない、警察や税関職員および検察の主導による知的財産権の侵害事件の捜査・起訴を可能にする職権上の権限を警察や税関職員および検察に付与し、権利者への実効的な救済手段として著作権や商標権侵害に対して予め決められた法定損害賠償の制度を採用することで、知的財産権の侵害に対するエンフォースメントを強化する。

保護の例外:すべての著作物を対象に、日本の著作権法の私的使用に関する例外規定が違法な情報源からのダウンロードには適用されないことを明確にする。また、日本政府および審議会等が著作権保護に対する制限や例外に関わる提言を検討する際には、完全な透明性と、利害関係者が意見を提供する有意義な機会を確保する。

特許法と手続き:ワークシェアリングの効率性の促進により、特許手続きを簡素化する。中小企業や大学関連機関等において一層のイノベーションを促す環境整備に向けた施策を検討する。

透明性:デジタル環境などにおける著作権の適用やその他の知的財産権の問題に影響を及ぼす政策やイニシアチブを日本政府が策定・更新する際には、完全な透明性と利害関係者が意見を提供する有意義な機会を確保する。

日米協力:国内および世界中での知的財産権の適切かつ有効な保護とエンフォースメントを確実にするため、日米間でのさらなる協力を促進する。

郵政

保険と銀行サービスにおける対等な競争条件:市場における活発な競争を通して消費者の選択肢の拡大を推進するため、日本郵政グループの競争上の優位性を完全に撤廃し、規制面ですべてのサプライヤーに同一の待遇と執行を確保することにより、保険と銀行サービスにおいて日本のWTO上の義務と整合する対等な競争条件を確立する。

郵政改革:日本政府や関連する審議会などが、競争条件に影響を及ぼす日本郵政グループ関連の施策の変更を検討・実施する際には、完全な透明性を確保し、利害関係者が意見を提供する有意義な機会を提供する。日本が将来的な改革を検討する際には、対等な競争条件に関する長年の懸案事項に対処し、日本郵政グループに追加的な競争上の優位性を与えないようにする。

日本郵政グループの金融会社の業務範囲:かんぽ生命保険とゆうちょ銀行の業務範囲の拡大を認める前に、日本郵政グループと民間金融機関の間に対等な競争条件が整備されていることを確保する。

国際エクスプレス輸送における対等な競争条件:競合するサービスにおいて他の国際エクスプレス輸送サービス業者が課されるものと同様の通関手続きとコストを日本郵便に課すことや、独占的な郵便事業の収益が日本郵便のEMS(国際スピード郵便)の補助金となるのを防ぐ措置を取ること等により、国際エクスプレス輸送分野において効率的な競争と対等な競争条件を促進する。

保険

共済:健全で透明な規制環境を促進するため、共済と民間競合会社の間で、規制面での同一の待遇および執行を含む対等な競争条件を確保する。

保険の窓口販売:健全な消費者保護を確保しつつ消費者の選択肢の拡大と利便性の向上を促すため、銀行の窓販チャネルについて、事実に基づいた透明性のある見直しを適時に行い、必要な変更は、利害関係者から意見を得る有意義な機会を設けた上で、グローバル・べストプラクティスを考慮に入れつつ行う。

生命保険契約者保護機構(LIPPC):現行制度が2012年に失効する前に、より効率的で持続可能なセーフティネット制度を作ることを確保する。日本政府が制度の改訂を検討する際は、完全な透明性の維持を確保する。

外国保険会社の事業の日本法人化:日本において支店方式で営業を行っている外国保険会社が日本法人に事業を移行したいと希望した場合、保険契約者および債権者を保護する一方で、事業の継続性を維持するような途切れのない形で移行できるよう確保する。

独立代理店:保険商品の第三者販売チャネルの競争力を強化するための新たな措置を検討する。

透明性

パブリックコメント手続き(PCP):より長いコメント期間を設けることや、最終的な決定が下される前に利害関係者の意見が十分に検討されることを確保するための追加的な方策を取るなど、日本のPCPを強化する方策を通じ、状況の変化や外国の利害関係者を含む利害関係者の懸念に対して開かれており、これに対応していると評価される強固で有意義なパブリックコメント制度を構築する。

審議会など:審議会等の設置や運営および利害関係者と国民に対する審議会等の開放性に係わる要件を厳格化することにより、利害関係者と国民に影響を与える可能性がある新規の政策や規制を検討する際に政府が設置する審議会等の透明性と包括性(インクルーシブネス)を向上させる。

規則の解釈:規則に関して一般的に適用される解釈の公表を政府当局に義務付けることにより、透明性、予見可能性を向上させ、規則の順守を促す。

運輸・流通・エネルギー

自動車の技術基準ガイドライン:革新的かつ先進的な安全機能を搭載した自動車に関する自主的ガイドラインを定める際の透明性を高め、また自主的ガイドラインが輸入を不当に阻害しないよう確保することで、米国の自動車メーカーがこうした自動車を日本の消費者により迅速かつ負担のない形で提供できるようにする。

再生可能エネルギーに関する規制制度:風力発電事業の許認可も含め、関連する規制制度を簡素化・統一することで、より多くの再生可能エネルギー技術の採用を推進する。

申告のための通関事務所の選択:輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)を利用する通関業者が利便性のよい通関事務所でエクスプレス貨物の申告ができるよう認め、円滑かつ効率のよい通関手続きを促す。

税関職員の共同配置:民間企業所有の保税地域への税関職員の派出を認め、書類審査のための通関事務所への移動時間を無くし、税関職員が現物検査を行うまでの待ち時間を減らすことにより、通関手続きの効率を向上させる。

免税輸入限度額:現行1万円の免税輸入限度額を最低でも二倍に引き上げることで、円滑な物流を可能にし、税関職員の仕事量を削減する。

農業関連課題

残留農薬および農薬の使用:日本の最大残留基準値設定に関わる農薬の審査、農薬の収穫後利用に関わる枠組み、基準値違反に対する執行政策など、未解決の農薬関連の問題に対処することにより、新規に開発されたより安全な農薬のさらなる利用を促進し、日米両国の政府関係者の協力を促す。議論では、国際的な基準と慣行が考慮されるべきである。

有機農作物:科学に基づいた基準を有機農作物に使用される生産資材の環境への安全性の評価に適用し、有機農産物の貿易の強化を目的に現行の残留農薬政策を修正し、さらに両国市場において有機農産物の表示に取り組むために協力する。

食品添加物:日米両政府の協力体制を強化するとともに、FAO/WHO合同食品添加物専門会議によって安全と認められており、かつ世界各国で使用されている46種類の食品添加物の審査を完了することにより貿易を促進する。現在、6種類の食品添加物の審査が終了していない。

ゼラチン:ゼラチンの市場へのアクセスを提供することによって科学に基づいた国際的なガイドラインと整合性を持たせる。

競争政策

執行の有効性:調停手続きの導入、過度な独占禁止法(独禁法)適用除外の廃止、企業結合の審査における効率性および透明性の改善、大学院レベルの経済学の教育を受けた職員の増強、適切な執行問題に関する外部専門家の採用、独禁法に関する裁判官向け教育プログラムの構築などを通じ、効果的な独禁法の執行プログラムがもたらす利益を増大させる。

手続きの公正性:公正取引委員会(公取委)の行政審判や司法審査制度の改革、公取委の執行上の必要性に沿った形での公取委調査における保護手続きの強化、公取委が命令を出す前に企業が疑惑に対して申し立てを行なう十分な機会の確保などを含む、公取委の行政および調査過程の手続きの公平性と透明性の改善を通じて、公取委の執行決定に対する信頼性を高める。

談合:特に調達担当職員の利益相反を排除するための規定の強化や、官製談合を排除する取り組みの促進、公取委の課徴金減免制度の適用が認められた企業に対する行政措置減免制度の拡大などの措置を通じて、政府調達における競争を促進し談合を排除する。

ビジネス法制環境

国境を越えたM&A:対日M&A活動を阻害している可能性のある法律、規制ならびに税制上の要件の見直しや、買収防衛策の導入に際しての一般的な株主利益の保護強化などの取り組みを通じて、日本がより活発な対日M&A活動から恩恵を受けられるようにする。

コーポレートガバナンス:真に独立した取締役の役割強化、株主投票のメカニズムの有効性の向上、企業開示の充実および少数株主保護の強化などの国際的なベストプラクティスの促進を通じて、効率的な商慣行および株主に対する経営の説明責任を改善する。

法務サービス:外国法事務弁護士(外弁)による専門職法人の設立を認めること、外弁の法律事務所が国内に複数の支所を設置することを認めること、インターナショナル・リーガル・パートナーシップにおいて弁護士が対等なメンバーになることを認めること、また外弁の資格要件の見直しを行なったり認可手続きおよび報告義務の簡素化を図ること等によって、日本における国際的法務サービスへのアクセスを拡大する。

医薬品・医療機器

医薬品・その他

新薬創出・適応外薬解消等促進加算(新薬創出加算):新薬創出加算を恒久化し、加算率の上限を廃止することにより、ドラッグ・ラグ解消を促進し、研究開発への誘因を強化する。

市場拡大再算定:市場拡大再算定ルールが企業の最も成功した製品の価値を損なわないように同ルールを廃止もしくは少なくとも改正し、日本における当該製品の開発を奨励する。

外国平均価格調整(FPA)ルール:日本における価格が外国平均価格より高いか低いかにかかわらず、製品が平等に扱われるようFPAルールを改定し、日本の薬価政策の公正な実施を保証する。

14日の処方日数制限:患者の利益ならびに医薬品へのアクセスを考慮し、新薬の14日処方日数制限ルールを改正し、安全性の保障に必要な最低限の制限にする。

ドラッグ・ラグ:日本における革新的新薬の早期導入を促進し、ドラッグ・ラグを縮小するよう次の措置を取る。適切な場合には東アジア諸国における臨床治験データの受け入れを検討する。医薬品の承認審査目標が達成され、事前相談の申し入れへの対処が迅速に行われるよう保障する。最近の業界との積極的な交流を基に、医薬品医療機器総合機構(PMDA)ならびにスポンサーが、質疑応答プロセスの支援に必要な実務要員をより効率的に計画・管理するために役立つ明確なプロセスを構築する。

行政審査期間:年4度の薬価収載を月一度へ増やし、日本の患者の新薬へのアクセスを迅速化する。

手数料:2012年から2017年までの手数料の規模および評価指標などを含む、次期手数料制度の詳細について業界との協議を開始し、日本の薬事承認プロセスにおける効率性の向上に対する業界の継続的な貢献を奨励する。

血液製剤:国内自給、表示、規制、保険償還の問題についての米国業界との協議を通じ、日本における患者の血液製剤へのアクセスを拡大する。関連する委員会等において、業界が情報、意見および証言を提供する機会を設ける。

ワクチン

ワクチンに対するアクセス:日本全国におけるワクチンの供給を促進する長期的解決策を見つけて、2010年に採用されたHIB、肺炎球菌、HPVワクチンについての措置を拡充する。

透明性:推奨ワクチン特定のための明確な基準およびスケジュールを設け、新ワクチンの日本の患者への導入を迅速化する。

ワクチンに関する意見交換:二国間の協力および意見交換を通じ、国のワクチン計画の策定に対する日本政府の取り組みを促す。

医療機器

外国平均価格調整(FAP)ルール:FAPを廃止、もしくはそれが不可能な場合はFAP算定時のルールと手法の不変性を確保し、日本において時宜にかなった医療機器の導入および安定供給を促進する。

体外診断薬(IVD)に関する保険償還:臨床的価値に基づきIVDの保険償還を評価し、日本の医療制度の効率性を向上させる高度で改良されたIVD製品の価値を評価する。

大型医療機器に対するC2 保険適用プロセス:革新的な大型医療機器に関し、1) どの製品がC2の指定に適格かの判断、また2) C2製品の適切な価格の決定に際しての明確な基準およびガイドラインの作成に向け、業界との対話を行い、このような医療機器の日本への導入を促進する。

デバイス・ラグおよびギャップの解消:医療機器の審査迅速化アクション・プログラムの時宜にかなった実施を保証し、革新的な医療技術の日本への導入を迅速化する。

企業に対する薬事規制負担の軽減:企業にとって薬事規制上の負担を増加させる原因となっている品質管理システムおよび外国製造業者認定に関する要件の修正に向け利害関係者と協議し、日本市場へ革新的技術を提供する企業が置かれた状況を改善する。

化粧品

医薬部外品:日本の消費者が医薬部外品製品により迅速に、不要なコストを課されることなくアクセスできるように、医薬部外品承認ガイドラインの導入およびその他の施策を実施する。

広告・表示:日本の消費者がより詳細な情報を得た上で判断ができるよう、化粧品の効能表示の範囲を拡充する。

化粧品・医薬部外品の輸入:化粧品・医薬部外品の輸入が改善かつ効率化されるよう輸入プロセスを簡素化・合理化する。

その他透明性・規制問題:化粧品・医薬部外品の広告に関する規則制度の透明性を高め、米国を含む業界関係者の全国医薬品等広告監視協議会(六者協)への参加を認める。

栄養補助食品

規制分類と表示:保健機能食品制度を向上させる方法、原料に特化した健康強調表示を許可するシステムの提案など、日本の健康食品制度について業界が情報や意見を提供できる機会を増やす。

健康食品安全規制:栄養補助食品に使用される新しい原料が医薬原料、食品原料、もしくは食品添加物として分類されるプロセスならびに基準を明確にすることにより、円滑な貿易を促進し、さらに他の先進諸国のベストプラクティスと比較して輸入手続きを向上させる方法を検討する。

食品添加物:他の先進諸国で一般的に認可されている、栄養補助食品に使用できる添加物、溶媒および化学形態の栄養素のリストを拡大する。

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政治こそ最大の金儲け

このブログでは雇用問題と健康問題を中心に扱っていく予定だが、時々は備忘的に政治的・思想的記事も保存しておくことにする。
下記の記事は、いわゆる「陰謀論」として片付けられる記事であるが、そのようなレッテル貼りと思考停止が今の日本人を形成してきたのである。

(以下引用)


億万長者達は、なぜロシア革命を必要としたのだろうかーーサットンは、『ウォール街とボルシェビキ革命』という別の著書で、其の背景をこう説明する。

  かってJ・P・モルガンやJ・D・ロックフェラーは、市場の独占支配を彼らの目標とし
 て来た。ところが19世紀の終り頃になると、揺るぎない独占権を得る為には政治的に振る
 舞い、大衆の利益と幸福の名の下に、社会全体を自分達の為に働かせる事が最も効果的であ
 ると悟った。

 その為彼らが実行に移した陰謀は、フレデリック・ハウの『独占資本の秘密』によれば次の通りに説明している。

  以下の二点は、大事業の法則である。この法則は我らの父祖の教えに取って替わるもので、
 単純な金言に要約する事が出来る。つまり、独占権を手に入れよ、そして社会を汝の為に働
 かせよ、という事だ。全ての仕事の内で最高のものは政治であるという事を忘れるな。法的
 な認可や特権、補助金、免税を手に入れる事は、キンバリーやコムストックの鉱脈を掘り当
 てるよりずっと価値がある。なぜなら、それを自分のものとして使う時、何ら精神的・肉体的労
 働を必要としないからだ。
 ロシアは、当時、世界最大の未開拓市場だった。又ロシアは、当時、世界の産業と金融におけるアメリカの優位を脅かす可能性のある最大の競争相手だった。将来、ロシアはアメリカ以上の経済大国となって、西側の支配を脅かすようになるのではないか。
 ウォール街の大資本家達は、ロシアが独自の発展を遂げて、彼らの支配を揺るがす事を恐れた。そこで彼らは、ロシア市場の独占支配を実現し、ロシアの民衆を彼らの為に働かせる事を考えた。ロシア人民の利益と幸福の為、「我らソビエトに全ての権力を!」こうして1917年のロシア革命は始まり、西側の資本と技術を継続的に導入しなければ成り立たない非生産的な経済システムがロシアに作られる事になった。そして彼らは、革命政府を通じてロシアの富と人民を搾取し、彼らの脅威となるロシアの発展を管理することを成功した。
 もちろんこの事件には、彼らがソ連(今現在は、ロシアと中国!忍)という新しい市場の独占権を手に入れた以上の意味が含まれている。彼らは既に第1次世界大戦前の1913年、アメリカの国民にペテン的な連邦準備制度を押し付け、貨幣価値の意図的な操作によって莫大な富を蓄積する体制を整えていた。だがロシア革命の影響はアメリカの中産階級に激しい圧力を加える事により、29年の大恐慌と33年のニューディール革命を経て、アメリカに累進所得税を導入するきっかけを作り出した(それは、自らの課税を免れながら、彼らの競争相手である中産階級と自由主義企業の没落を図るという、実に巧妙なやり方を取った)。
 過去数十年に渡るロックフェラー一族のこの様なやり方は、単に、より多くの利益を目指しただけであったろうか。我々はそう思わない。むしろ彼らは、此の地球上のあらゆる富を独占する為、アメリカの内と外で”見えざる政府”を組織し、世界政府の樹立を目標として行動をしてきたのではなかろうか。
 既にアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)と外交問題評議会(CFR)は、60余年に渡って、彼らの衛星国ソビエト・ブロックの強化を目的とする政策を実行に移している。現在、ソ連や中国の共産主義者に技術を譲渡し、援助を増やし、東西貿易を拡大するという一連の動きの先頭に立っているのは300人委員会である。そして彼ら全ての指揮を取っているのが、その名も高き国際銀行団体である。 

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小泉の負の遺産

過去の記事だが、「後期高齢者医療制度」がなぜ現代の姥捨て山と言われたか、今でもよくわかっていない人が多いだろうから、前者の轍を踏まないために、備忘のため掲載しておく。
後期高齢者医療制度は、多くの高齢者が医療を受けること自体をできなくし、結果的には医療業界にもダメージを与えたのである。


(以下、「阿修羅」より転載)





病院倒産件数が過去最悪 小泉改革が経営直撃 (IZAニュース)
http://www.asyura2.com/11/senkyo107/msg/481.html
投稿者 直人 日時 2011 年 2 月 15 日 02:15:00: CaGwYxWaGaQzs


2009年10月28日のニュースです
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/317774/ より転載

病院倒産件数が過去最悪 小泉改革が経営直撃
2009/10/28

■後期高齢者医療制度、療養型病床の大幅削減…

 病院、医院などを運営する医療法人の経営破綻が急増している。今年に入ってから9月末までの倒産件数が53件に達し、この時点で年間の過去最悪記録を突破。競争激化や診療報酬引き下げなどで経営が悪化、資金繰りが行き詰まるケースが多い。医療業界からは「小泉政権の医療制度改革が倒産急増という形で吹き出している」との批判も出ている。


 今年4月には、大手総合病院の「平野同仁会」(岡山)が民事再生法の適用を申請。負債総額は医療業界では今年最大となる59億円だった。

 5月には、診療所経営「きのだ会」(大阪、負債総額21億円)、人間ドックが中心の「社団アース」(東京、同7億円)がそれぞれ破産を申請している。

 東京商工リサーチによると、総合病院や小規模クリニック、医院などの医療法人の倒産件数は9月末現在で53件。「統計を取り始めた1989年以降で最多だった07年の年間52件をすでに超えている」(商工リサーチ)ほどの惨状だ。

 おもな原因は、一般企業の収益にあたる診療報酬急減による資金繰りの悪化だ。

 羽振りのよさでは金融業界にも劣らないといわれた医療業界。しかし、いまや「(倒産は)明日はわが身とおびえている病院は少なくない」(医療関係者)という。

 大手総合病院を経営する50代の医師が次のように明かす。

 「小泉政権が打ち出した年間2200億円の社会保障費削減が相当響いている。この削減策を受けて始まった『後期高齢者医療制度』で、75歳以上の高齢者の受診が急激に減り、さらに『療養型病床』を大幅に削減する政策がとられたことで、診療報酬の減少に拍車がかかった」

 後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者が全員加入する公的医療保険制度のことで、08年に創設された。制度導入以前に扶養家族となり、保険料を払う必要がなかった高齢者も新たに保険料を支払わなくてはいけなくなり、高齢者の医療負担が増加した。

 「この制度には国民の批判が集まり、自民党が8月の総選挙で惨敗する一因にもなった」(永田町筋)

 療養型病床とは高齢者を中心に慢性疾患を抱える患者を受け入れる病床を指す。先の大手総合病院経営の医師がいう。

 「このほか、小泉政権下で改正された研修医制度も大きい。大学の研修医が自由に研修先を選べるようになり、一部の人気病院に研修医が集中して、本当に医師が必要な病院や地方の病院に人手が回らなくなった。医師不足で診療体制が手薄になった大学病院のなかには、関連病院から医師を引き揚げる現象も起きている」

 大学から医師を引き揚げられた関連病院や地方の病院では、医師不足による診療サービスの低下が進んで、受診者離れが加速。病院経営を直撃しているという。

 民主党はマニフェスト(政権公約)に、後期高齢者医療制度の廃止や医療崩壊に歯止めをかけることを盛り込んでおり、「医療業界もかなり期待している」(先の医師)という。

 商工リサーチは「民主党の制度改革が実現するにしても、時間がかかればその間に倒産件数は増加する。受診者が多い大都市の病院は何とかなるが、地方の病院が置かれた立場はかなり深刻だ。医療機関は余談を許さない状況が続いている」と警戒している。

 

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コメント
01. 2011年2月15日 07:22:50: r5Bp4PvcIQ
昨今の急速な医療崩壊の大きな原因はこの売国小泉が国民の命と健康を犠牲にし、弱者を切り捨て強者のみ優雅な生活ができるような政治を延々行ったせいである。当時それを支持した国民にも大きな責任があるのは言うまでもない。この時も今のような偏向報道機関がいっせいに小泉や竹中のような連中を持ち上げ世論を誤った方向へ誘導していたのを忘れてはいけない。現在、大手新聞社やテレビ、ラジオなどが政治に関して行っている偏向報道に騙されてはいけない!同じ轍を踏むのは愚か者のする事である。気をつけよう!


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