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邪馬台国から大和朝廷へのlong long way

「副島隆彦の学問道場」の「重たい掲示板」にKONAという人が投稿した邪馬台国についての考察記事である。文中の「小林説」の小林は小林恵子(やすこ)という人のようだ。なかなか興味深いことをその著作に書いている。ただ、私がそのすべてに賛同しての転載ではないことは勿論だ。
要するに「邪馬台国」は「大和朝廷」の前身だ、というのは中学で日本史を習った最初に誰でも考えることだろう。だが、なぜか学者たちの間でその説を言う人があまりいないようで、私は知らなかったが、小林がその説を言っているようだ。
下の引用では「邪馬台国」と「奴国」の関係が書かれていないが、邪馬台国の北上・東遷に伴う「邪馬台国→奴国→大奴国→大和」という名前の変遷が伺われる。つまり「奴国」の「奴(な)」が「奴隷」を表すのは当然(「魏志倭人伝」の「倭」は小人の意味のようだ。どちらも蔑称である。これは「和人」という自称を魏の書き手が「倭人」と表記したのだろう。「倭人」は当時の魏が記(志・誌)した日本史上の日本人全体である。)で奴国の人間には不愉快なので、「奴(な)の国」が類似音変化で「和(わ)の国」となり、そして「大」という美称をつけて「大和国」と改名したのだろう。
「大和」が「やまと」と呼ばれたのは、当時そのあたりの土地が「山の戸(入口)」を意味する「やまと」と呼ばれていたからではないか。これは、奈良地方が四辺を山に囲まれていたからだろう。「たたなづく青垣、山籠れる大和し麗し」である。「大和」を「やまと」という無理な読み方をしている理由は、「大和」という漢字が先にあり(まず国名が作られ)、それに「やまと」という読み方をこじつけたからだと思う。

(以下引用)

(2)邪馬台国は「間違いなく」太宰府にあったか?
下條説では「間違いなく」太宰府としているため、本当に間違いはないのだろうか?
下條説は大きくは北九州説ですが、北九州説では、気候風土が合わないという致命的な問題点がある。魏志倭人伝にある邪馬台国の気候風土は熱帯から亜熱帯であり、近畿は寒すぎて話にならないし、北九州だとしても特に冬はやっぱり寒い。

(引用はじめ「江南~神武」p133)
魏志倭人伝の記述にある、一年中緑の野菜があること、海水に潜って魚貝を捕ること、裸足でいられることなどから、少なくとも温帯地方であることをうかがわせているが、庶民の男子が上半身裸だったことは、奄美大島から沖縄にかけての東南アジアの関連を感じさせる。(中略)つまり「魏志倭人伝」にみえる男性は上半身を様々な文様の入墨で飾り、下半身はサロンのように、布を腰に巻いていたのである。また女性の来ている貫頭衣が南方系であることはすでに定説となっている。人々がこのような姿でいられるのは、熱帯から亜熱帯地域に限られるであろう。
(引用終わり)

Konaです。気候風土の問題を脇に置くとしても、邪馬台国の距離と方角についてはどう考えるべきか?
下條説では岡田英弘氏の見解に沿い、邪馬台国の距離と方角について魏志倭人伝は「記述がでたらめ」(「邪馬台国の謎」p101)としている。そして邪馬台国の位置が分からない理由は、「魏志倭人伝」が司馬懿の実績を高く評価するために改ざんされたからとしている(同書p105)。
この点、小林説は邪馬台国の所在地を不明確にしている最大の理由を魏志倭人伝が紀元前後から3世紀後半までのことを3世紀前半の記述の中に「同時に押し込めたから」としている。
(引用はじめp142)
邪馬台国の所在地にしても、紀元前後の奄美大島と、3世紀中頃までの伊都国の2箇所が同時に記載されている。「魏志倭人伝」は行程において邪馬台国が最初に都した奄美大島までの日数を記したが、政治経済については邪馬台国が北九州に移動し、伊都国がその主体となった3世紀前半の実情を記録しているのだ。その上、3世紀後半、倭国の主体が近畿の大和地方に移って、大倭と国名を変えた後のことも紛れ込ませている。
(引用終わり)

Konaです。小林説によれば、前述の気候風土の問題は奄美大島の記述として問題を解消でき、政治経済については北九州とすることでこちらも矛盾が起こらないことになります。小林説でも下條説でも結果としては近畿ではなく、北九州に邪馬台国があることでさほどの違いはない(伊都国なのか、太宰府なのかはおきます)。しかし、単に司馬懿の実績のためにデタラメを記載したとして邪馬台国の位置を推論していく下條説(岡田説)よりは小林説のほうに説得力があると私は思います。

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