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父親という「家の中の他人」

見たいアニメがあまり無いので、食事のお供に昔の「美味しんぼ」を見たりしているが、見ていて疑問に思ったのが主人公山岡士郎のマザコンぶりである。父親の海原雄山が母親の料理が不味いと怒鳴りつけてばかりいるので、母親が泣いたりする、それが許せないと、母親が死んで何年も経っているのに父親を恨むわけだ。まあ、いくら怒鳴っても一向に料理が上手くならない母親にも問題があると思うし、母親自身が士郎に、父親を悪く思うな、と言うエピソードもあったと思うのだが、士郎は父親を蛇蝎のごとく嫌い憎むのである。「お前の半分は、その父親からできているのではないか」と私などは思うのだが、士郎には母親は絶対善で父親は絶対悪らしい。
こうした、マザコン主人公は世界の小説や児童文学にも多いようで、ケストナーなど、作家本人がかなりのマザコンである。なぜそれほどマザコン人間が多いかと言うと、これは子供と接する時間が長く接する機会が多いのは圧倒的に母親で、父親はいわば「家の中の他人」であり、子供から見れば「なぜか知らないが家の中にいて、威張っている嫌な奴(あるいは滅多に物も言わない不気味な奴)(あるいは面白くも無く、時々意味不明の説教をする嫌な奴)」だからだろう。父親が働いて家族を養っている、などというのは成長してから理解することで、幼児期の「刷り込み」は圧倒的に母親有利なのである。
その証拠に、子供同士の喧嘩で、子供が言う悪口は「お前の母さん出べそ」であって、「お前の父さん出べそ」というセリフは無いwww 相手の母親への侮辱がそのまま相手への侮辱になるほど、母親との一体化が当然視されているわけだ。

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