忍者ブログ

ナット・「キング」・コール

夜明け前の散歩の中で、古いスタンダードナンバーの「Too Young」の歌を頭の中で考えていたのだが、このヒット曲はナット・キング・コールの歌でヒットしたはずで、しかも、彼以外はほとんど歌っていないと思う。つまり、この歌に関しては、ナット・キング・コールを超えることは不可能だ、というのがジャズやポップス界の常識とされていたのだろうと思う。まあ、この世界の「キング」と呼ばれていたのだから、と考えた後で、もしかしたら、マザーグースなどに「キング・コール」というのがあったから、そう呼ばれたのではないか、と思って調べると、案の定存在した。これは末尾に載せておく。ちなみに、ジャズ界には「カウント(・ベイシー)」もいれば「デューク(・エリントン」」もいるから、「キング」がいてもおかしくない。

まず「Too Young」の歌詞を載せておく。歌詞はシルヴィア・ディーという人らしいが、その下に説明抜きでシド・リップマンという名前があり、この人が作曲だろうと思われる。
歌詞の下の妄想は、英語の苦手な私が調べもせずに書いたものだから、間違いがあっても責任は取らないww

Too Young 


They try to tell us we're TOO YOUNG

TOO YOUNG to really be in love

They say that love's a word, a word we've only heard but can't begin to know the meaning of.

And  yet , we're not TOO YOUNG to know

this love will last tho'years may go

And then, some day they may recall we were not TOO YOUNG at all.



歌詞の中のlastは「最後の」ではなく、「続く」の意味。まったく相反する意味が同じ言葉にあるのが面白い。
tho'はthoughの省略形だろう。
racallは「思い出す」。「再び呼ぶ(re-call)」が「思い出す」を意味するのが面白い。つまり、記憶の底から再び呼び出すのが「思い出す」ことであるわけか。なお、公民の授業で言う「リコール」が同じ英語かどうかは不明。当選してその座(偉い人の地位)にある人物を再び「一般人として呼び戻す」というのが私の考えた屁理屈である。
最後の一節で、「then」「day」「they」の最初の音が、日本人の耳にはすべて「で」としか聞こえないのも面白い。英米人にはすべて違う音に聞こえるのだろうか。それとも文脈でこれはこの単語だろうと判断しているのか。

下の記事の中で「merry old soul」を「こころおおらか」と訳しているのは、誤訳でなければ意訳だろう。soulには「人」の意味がある。つまり、適訳は「朗らかなお年寄り」である。「楽しいお爺さん」でもいい。





2022年9月の紹介


Old King Cole



   Old King Cole
   Was a merry old soul,
And a merry old soul was he;
   He called for his pipe,
   And he called for his bowl,
And he called for his fiddlers three.
   Every fiddler,
   He had a fiddle,
And a very fine fiddle had he;
   Oh, there's none so rare
   As can compare
With King Cole and his fiddlers three.
 コール王さま
 こころおおらか
いつでもほがらか
 パイプに
 さかずき
バイオリンひき三人ごしょもう
 バイオリンひきの
 バイオリン
それぞれ音色じまん
 これぞ おにあいの
 くみあわせ
コール王さまとバイオリンひき三人

 マザーグースの本のタイトルにも使われるほど有名なマザーグースです。歌う際のメロディがきれいなのも人気の一因でしょう。まるで3人のバイオリン弾きの音色にのって歌うかのように,軽やかに歌いたいマザーグースです。最初の三行では,Old King Cole(he)とmerry old soulを反転させて,美しく強調しています。これは交錯配列法(chiasmus)と呼ぶ,聖書にもよく見られる表現方法です。

 コール王のモデルは諸説あります。紀元前3世紀の頃,イングランド東部のエセックス州に実在したケルトの王様のコール王だったという説。または17世紀にイングランド南東部のバーク―シャー州にいた毛織物商で大金持ちのコールブルックだったという説。コールブルックには300人の召使いと,自宅には140人の使用人がいたといわれています。

 マザーグースによく出てくる「fiddle」ですが,日本では多くの場合「violin(バイオリン)」と呼びます。同じ楽器ですが,演奏のスタイルなどによって呼び方が変わります。クラシック音楽やオーケストラ,交響曲,室内楽の場合に使用されるときはバイオリンと呼ばれます。一方フィドルは,フォーク・ミュージックやカントリー・ミュージックなどを演奏するときに呼ばれます。Old King Coleのために演奏していた3人は,どんな音楽を奏でていたのでしょうか。

【画像】“Old King Cole” by William Denslow



マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。


拍手

PR

この記事にコメントする

Name
Title
Mail
URL
Comment
Pass
Pictgram
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

12 2025/01 02
S M T W T F S
28 29 30 31

カテゴリー

最新CM

プロフィール

HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

ブログ内検索

アーカイブ

カウンター

アクセス解析