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資本主義70年周期(リセット)説

「阿修羅」所載の、おそらく佐々木敏という作家の文章の一部だが、この「資本主義70年周期(リセット)説」は阿修羅読者の間ではたいてい既知の説だと思うので、べつに佐々木氏の了解なしで転載してもいいかと思う。確認していないが、「金持ちは国家を相手に金を貸す」や「旧ユダヤの館」などにも書かれていたような気がする。
ついでに言うと、「70年周期」というのは、前の大戦の記憶を持つ者がほとんど死去して、戦争を知らない世代が社会の中心になっているからである。


(以下引用)


●ネズミ講の宿命●
近代以前の貧しい社会に資本主義システムが導入されると、まず少数の者が豊かになり、豊かな食生活や高価な医薬品、医療サービスの恩恵を受けて寿命を延ばす。
この結果、年齢別人口構成を示すグラフはピラミッド型……ではなくて、逆T字型になる。所得別人口構成のグラフも同様である。
この場合、少数の金持ちは、高度な教育を受け、情報を集め、国家や企業の運営方針について、排他的独占的に影響力を行使する。
政治は少数の豊かな特権階級に基づく非民主的独裁政治か、または(1918年以前の英国や1925年以前の日本がそうであったように)所得(直接税の納税額)によって選挙権を制限する「制限選挙」に基づく議会制民主主義政治となる。


逆T字型の「上」(頂点)に立つ年長者、政治家、官僚、経営者、管理職、商品開発者、研究者、著者、芸術家から「下」にいる若者、貧乏人、労働者、消費者、読者、観客に向かって、政策、法律、教育、広告宣伝、流行情報、文化、命令、需要が発せられるので、「下」はひたすら「上」に従えばよい。
たとえ「下」にいる者でも、このシステムに(早く)参加した者は豊かになれる。貧しい家に生まれても、「上」の望むような教育を受けて、読み書きや「毎朝起きて定時に同じところへ通う生活習慣」を身に付け、就職後はよく働き、よく稼ぎ、貯めたカネは、「上」の連中が開発した商品やサービスを購入するのに使う。そうこうするうちに「下」の連中もある程度寿命が伸び、生活水準が向上するので、逆T字型は中盤が少し幅広になって、三角形型、すなわち典型的なピラミッド型になる。


この傾向が続いて、「下」の者が全員中年や中産(中流)階級、すなわち「中」になってしまうと、「下」がいなくなって困る。そこで、政府は女性には大勢の子供を産んでほしい。
が、生活が豊かになり、セックス以外に「やること」の増えた中産階級の夫婦はそうそう大勢の子供はつくらない。医療のお陰で乳児死亡率も下がったことだし、「少なく産んでだいじに育てよう」と考える。このため、年齢別人口構成も所得別人口構成もやがて、ピラミッド型から逆U字型(釣鐘型)になり、最終的には逆ピラミッド型になる。


この「最終段階」になると、ネズミ講は破綻する。
そもそも「下」の連中は、「努力して勉強や仕事や貯蓄をすれば『上』に上がって、命令を出したり流行や文化を作り出したりする側にまわり、最先端の医療や教育を受けられ、老齢年金も十分に得られる」と思って頑張って来たのに、いざ自分たちが中年や中産階級になってみると、「『上』はもう定員オーバーで、新規募集は行っておりません」と言われたことになるからだ。
国民の大半が豊かになって「総中流」になった国があるとすれば、それは成功であると同時に失敗なのだ。


国民の多くが「努力して『中』(真ん中)に上がったと思ったら、依然として『下』だった」というのは、民主主義国家としては、いかにもまずい。大勢の国民がそういう現状に不満を抱くと国家体制が崩壊しかねない。そこで、国家がこのシステムを破綻させないためには、抜本的な対策が必要になる。


歴史的に見て、方法は2つ。
1つは、豊かになった国民を相対的に「中」に押し上げるために、貧しい外国を自国の経済圏に組み込み、外国の貧乏人と若者を自国経済圏のピラミッド構造のいちばん「下」に敷くこと。もう1つは、革命か戦争で自国を含む各国の国家体制を破壊して、すべてを「ご破算」にすることだ。

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