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渡部昇一論(笑)

産経新聞デジタル版から転載。この新聞らしく、例によって右翼を喜ばせる記事だが、マッカーサーのこうした発言があったというのは事実だろうから(どういう文脈かは分からないが)備忘のために保存しておく。
まあ、あの戦争が日本の自衛のための戦争だったか、侵略戦争だったかというのは水かけ論にしかならない話で、その両方の側面があったとしか言えないだろう。ABCD包囲網によって経済封鎖された日本が「座して死するを待つよりは」と対米戦争に踏み切った、という点では(米国、あるいは連合国に対しては)自衛のための戦争である。だが、それ以前に中国大陸への侵略があったのだから、時間的順序としては明らかに侵略戦争と言うのが正しいだろう。
とりあえず、資料の一つと言う程度の価値しか無い情報であり、これを「超重大」な証拠と言うのは渡部昇一くらいだろう。
ところで、この英語学者(か?)は、シナ(中国を彼はいつもそう言う)に対してはキチガイみたいに非難するが、バブル崩壊以降、日本を搾取し続けてきた欧米に対してはまったく批判しないという(批判しても、大昔の事件のことで、ほんの形だけ)のは、よく考えるとおかしいのではないか? そもそも日中戦争で迷惑を被ったのは明らかにシナ(当時は中国、つまり中華人民共和国ではなかったので、仕方がないから私もそう言っておく)の方だのに、なぜ加害者側の日本が威丈高に相手を非難できるのだろう。
だいたいが、この男は「歴史認識」のワンパターンの話しかできず、現在の話(欧米による日本侵略、日本収奪)にはいつも頬かむりなのである。
要するに、渡部昇一という男は欧米(=ユダヤ)の飼い犬にすぎず、(ご主人が日本政府ではない、というだけで)一種の御用学者であるわけだ。そういう役割があるのでなければ上智大学(欧米の出先機関の一つ。ここには神学部がある。つまり、ユダヤ・キリスト教の大学)が渡部昇一を飼っておく理由は無い。
この男は極右の論者としてしか活動しておらず、学者としての実績はおそらくゼロだろう。無知な若者の頃、彼の訳したハマトンの「知的生活」を、書物の装丁と題名に惹かれて買ったが、内容は乏しく(というか、ほとんど記憶にも残っていない)高い買い物であった。彼の印税を少しでも増やしたのは、私の生涯の失策の一つである。



(以下引用)

「日本は自衛戦争」マッカーサー証言 都立高教材に掲載 贖罪史観に一石
2012.3.30 08:11更新

 日本が対米戦争に踏み切った理由について、連合国軍総司令部(GHQ)最高司令官だったマッカーサーが1951(昭和26)年、「主に自衛(安全保障)のためだった」と述べた米議会での証言が、東京都立高校独自の地理歴史教材の平成24年度版に新たに掲載される。日本を侵略国家として裁いた東京裁判を、裁判の実質責任者だったマッカーサー自身が否定したものとして知られる同証言を、公教育の教材が取り上げるのは初めて。
 昭和の戦争での日本を「侵略国家だった」と断罪した東京裁判に沿う歴史観は、「日本国民は…政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」で始まる憲法前文にも反映され、「軍隊を持たず」という国際社会でも異質な国家体制の前提となってきた。歴史教育は「贖罪(しょくざい)史観」一辺倒となり、子供たちの愛国心を育んでこなかった。その歴史観が絶対ではないことを示すマッカーサー証言の公教育での教材化は、戦後日本の在り方に一石を投じそうだ。
 証言は、朝鮮戦争で国連軍やGHQの司令官職を解任されたマッカーサーが1951年5月3日、米上院軍事外交合同委員会の公聴会に出席し、朝鮮戦争に介入した中国への対処に関する質疑の中で言及。連合国側の経済封鎖で追い詰められた日本が、「主に自衛(安全保障)上の理由から、戦争に走った」と述べた。
 都の教材は、この部分の証言を英文のまま掲載し、《この戦争を日本が安全上の必要に迫られて起こしたととらえる意見もある》としている。
 教材は、江戸時代以降の日本の歴史を、東京の歩みとともに紹介する『江戸から東京へ』。都教委が都立高校の全生徒に平成23年度から配布している。都民の意見をもとに改訂した24年度版は、全新入生約4万3千人に配布する予定。
 『江戸から東京へ』に掲載されたマッカーサー証言については、月刊「正論」5月号(3月31日発売)が詳しく紹介している。
 渡部昇一・上智大学名誉教授の話「連合国から東京裁判の全権を委任されたマッカーサー自身が米議会で『日本の自衛戦だった』という趣旨の証言をしたことは、村山談話に象徴されるように東京裁判を背負ったままの日本にとって“超重大”であり、すべての日本人が知るべきことだ」
 ■村山談話 戦後50年の平成7年8月15日、当時の村山富市首相が発表。わが国が「遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え」たとし、「痛切な反省の意」「心からのお詫(わ)びの気持ち」を表明。以後の内閣もこの見解を踏襲してきた。


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