「組み体操に賛成か反対か」。各地で事故が続発する組み体操を巡って、東京都豊島区立明豊中学校が生徒に真正面から賛否を問う模擬投票を実施した。主権者教育に力を入れている小林豊茂校長が「身近な材料で投票することの意味を考えてほしい」と提案した。結果は25日の朝礼で発表され、賛成が反対を上回った。小林校長は教員らの意見も踏まえ可否を判断するという。【高木香奈】
理由も記入…意義、安全熟考
同校では毎年6月の運動会で、3年生男子が組み体操のタワーやピラミッドを披露してきた。小林校長は「運動会の安全を考えるきっかけにしたい」と考え、教員だけでなく生徒にも組み体操への賛否を問うことにした。
今月11日の朝礼で、組み体操の事故について、生徒の体力以上のことに挑戦したり、安全対策が不十分だったりすることが背景にあると紹介し、「君たちの意見を聞かせて」と呼びかけた。
事前に区の選挙管理委員会が生徒会役員に選挙の立ち会いの仕方などを説明し、投票箱や記載台も貸与。投票は組み体操への賛否と理由を無記名で書く形式で、15〜21日の間の4日間、生徒たちが昼休みに校内に設けた投票所に足を運んだ。
開票の結果、投票率57.2%(生徒総数341)で賛成票が6割弱と反対票を上回った。投票率は1年生の8割に対し2年生は4割に届かず、学年でばらつきがあり、賛否も3年生は66%が反対した一方、1年生は70%、2年生は65%が賛成した。賛成理由は「運動会の文化だから」「絆や団結が強まる」。反対理由は「けがをしたくない」「けがをした友達を見たくない」などが目立った。
25日の朝礼で小林校長は「皆さんの意見を踏まえて、先生とも話し合って判断する。組み体操に限らず、運動会ではけがをしないよう気をつけてほしい」と話した。投票した3年男子生徒は「自分たちの意見を聞いてもらえたのはうれしい。投票の仕方もよく分かった」と感想を話した。