下の記事は和田秀樹の書いたもので、概ね正しいと思う。
(以下引用)
海外では、意外な人たちが評価されている
海外から評価の高い“人材”を知っていますか?
それはニッポンの“労働者”です。会社員、エンジニア、サービス業に関わる職業、料理人に野球選手やサッカー選手……例を挙げ切れないほどです。
日本の会社員は相手をだますような契約をしません。エンジニアは手を抜かず、改善をくり返して、高品質の商品を作ります。
マジメに練習に取り組み、チームへの協調性を発揮する日本のプロスポーツ選手も評価が高いでしょう。
では、逆に評価が低い日本人を挙げましょう。
それは、政治家、大学教授、経営者です。
日本は、海外からの評価と、国内の評価が逆転している変な国なのです。偉そうな日本の経営者や政治家に教えを請うために「ウチに来てほしい」と外国から呼ばれた話を聞いたことはないでしょう。
国内でこそ社会的地位が高い大学教授ですが、海外の教育機関が日本の高校までの教育システムを参考にした例は多くても、大学に関してはサッパリです。
「日本人は交渉下手」は誤解である
反面、野球やサッカーなどのプロスポーツ選手は言うに及ばず、エンジニアは海外から引く手あまたです。日本の熟練の技術者が高給で迎えられる話はめずらしくありません。
グローバル・スタンダード化にひるむ必要はないのです。
よく言われる「日本人は即断即決できない交渉下手」というのも、じつは誤解です。というより、マイナス面ばかり強調されがちなのは、外国人が、商談で自分が有利になるように仕向けるための戦略です。
むしろ、日本人は優秀でスキがないと思っているので、じっくり取り組まれると困るのでしょう。
たとえ、海外との商談で「優柔不断だ。その場で決断できない」と非難されても問題ありません。毅然として「なぜ1日ぐらい待てないのですか」と返せばいい。
その場で結論を迫るのは、相手を思考停止させる典型的なやり口です。振り込め詐欺と同じなので気をつけてください。
話せることより、話す内容が重要
あるいは、自分の英語は下手で、外国人からバカにされるんじゃないかと不安になる人が多いですよね。でも、それも思い過ごしです。
向こうでは、日本人は頭がいいと思っているから、英語をしゃべれるだけで頭が良く見え、バカにはしないのです。
じつは、私自身、英語は得意ではありません。しかし、シカゴのバーでこんな経験をしています。
「なぜアメリカの車が売れないで、日本車が売れているんだ?」
若いアメリカ人男性からそう質問され、私は昔のマツダの例で説明しました。
「会社が潰れかけたとき、アメリカなら従業員を解雇するだろうけどマツダはしなかった。その代わり、工場で働いている社員もセールスに回して頑張った。
すると、お客の苦情やマツダ車に求めているニーズをつかむことができ、その経験を工場で反映したから立ち直ることができたんだ。
でも、アメリカでは車のディーラーは1社の系列ではなく、複数のメーカーの車を扱う。だから、客のニーズがつかみにくい」
そう一生懸命に話したら、彼は自分の彼女に言いました。
「この日本人は英語は下手だけど、めちゃくちゃクレバーだ」
日本人はもっと自信を持ったほうがいい
だから、英語力を鍛えるより、海外の人が知らない話や理屈が合う話をするほうが賢いと思われ、仕事はやりやすくなるはずです。もっと自信を持ちましょう。たとえば、
「あなたの長所と短所を挙げてください」
そう問われると、ほとんどの日本人は長所よりも短所をたくさん書きます。
でも、心理学的には、人は「相手の長所」を意識しやすいものです。だから賢い人は、自分の長所をうまく見せようとします。いい面を見せることが、ビジネスでも、国のイメージを売るにしても、成功のためのポイントと言えるでしょう。
とはいえ、取ってつけたような長所は魅力になりません。
たとえば、日本に観光客を増やしたくても「東京スカイツリーを見に来て」では弱い。長所はもっと普遍的な部分に隠れています。
「日本の飲食店は各国料理がバラエティに富んでいて美味しい」
「夜中に路上を1人で歩いていても全然平気だ」
などといったことです。
せっかくのニッポンの良いところを活用すれば、いろんなビジネスシーンで大きなチャンスがあります。