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原発=資本主義=ユダヤ・キリスト教

曽野綾子のインチキぶりを批判していた頃は面白かった山崎行太郎だが、3.11以降はろくな発言をしていない。右翼なら原発を擁護しなければならないという義理があるわけでもないだろうに、ひどく歯切れが悪く、はっきりと原発擁護発言ができないイライラが昂じてか、原発議論そのものを時流便乗の軽薄な議論だとやっつけている。だが、日本の未来を考える上で、原発問題は最大の問題であり、今、原発を論じなければ言論人たる資格はない。いや、本職の文芸評論だけをやることにしたのなら、それでもいいが、ならばはっきりと「政治経済評論はやめました。私にはその能力はありません」と言うべきだろう。
下記記事は、比較的興味深い内容なので、転載する。
中沢新一はニューアカ(左翼のアカではなく、アカデミズム)という時流便乗的手法で売り出した学者で、私はあまり好まないが、時々鋭いことも言う。
ただし、ここで言っていることは別に珍しいことでも何でもない。資本主義が一神教(キリスト教)を背景にして誕生し成長したのは高校生でも知っているマックス・ウェーバーの説の焼き直しだろう。そして原発は企業と政治がひたすら金を目的として行動するという資本主義の象徴的存在であるのも多くの人が感じていることだろう。
だが、「一神教=資本主義=原発」と並べると、そこに「西洋文明の正体」つまり、その無道義性が際立つのも確かである。
この三題話的組み合わせは、今後原発や資本主義を論じる場合に便利な視点になるかもしれない。
念のために言うが、現在のキリスト教はユダヤ教の要素の濃い思想で、これは初期キリスト教とは大きく変質している。いわばユダヤ・キリスト教と言うべきものである。これは私の偏見でも何でもなく、真面目なキリスト教学者がはっきりとそう言っていることだ。純粋のキリスト教とは、聖書の中の「キリストの言葉」のみである。それも記述者によって変えられてはいるが、それでもその中にあるキリストの思想は読み取れる。

(以下引用)


マスコミにも論壇にも、受け売りの、一夜漬けの震災論議や原発論議が氾濫しているが、そうした付和雷同する議論の洪水にうんざりしている人も少なくないに違いない。私もその一人だが、無論、震災論議や原発論議のすべてが不毛だというわけではない。たとえば、中沢新一の「日本の大転換」(「すばる」6月号)は、マスコミなどに氾濫している表層的な、紋切型の議論とは異なる思想と論理を展開している。中沢は、原発事故を、一神教や資本主義と関連させながら論じる。 つまり、原発が生態系にとって異質な「外部」を、我々人間の住む生態系に持ち込んだとすれば、一神教も資本主義も、同じような「外部」を持ち込んだものだという。その意味で、あきらかに震災と原発事故は同じ種類の事故や災害ではない。大震災も悲劇的な大災害だが、それは、植物が新たに芽生え、生き延びた人間が再び家を立て生活を取り戻すにしたがって復興や再生が可能なのに対して、原発事故の場合は、大震災の被災地と同じような復興や再生は不可能だという。ここまでは誰でも考えそうなことだが、中沢の議論が面白いのは、原発を、宗教や資本主義の問題と結びつけるところだ。中沢はこう書いている、「ほんらい生態系には属さない『外部』を思考の『内部』に取り込んでつくられた思想のシステム、それはほかならぬ一神教(モノティズム)である。『第七次エネルギー革命』の産物である原子力技術の、宗教思想ににおける対応物が一神教なのである」。そして、「第三次エネルギー革命」のさなかの中近東に誕生した一神教の誕生について、モーゼの神との出会いを通じて、こう書く、「世間で知られている神々は、動物の姿をしたり、人間の男や女の姿をしているが、自分はそういうイメージをいっさいぬぐいさった、抽象そのものの神である、という思想が伝わってきた。他の神々は山や川の女神であったり、動物界や植物界を支配する神であったりするのだが、自分はそういう環境世界には所属しない絶対的な神で、むしろ環境世界の外部にいて、そこから世界そのものを創造した神である。」「ユダヤ民族はそういう絶対的な超越の神を信じなければならない、そう火の中なかの声は語った。この体験をきっかけにして、モーゼは人類の宗教思想に革命をもたらす者へと変貌していった。(中略)一神教が重要なのは、それに特有な「超生態圏」的な思考が、西欧においてキリスト教の衰退後に覇権を握った、世俗的な科学技術文明の深層構造にも、決定的な影響を及ぼしているからである。」(続く)

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