「陛下、わたしがこの島をまかされるとすれば
「その国家では、
万事この世の中とは逆にしたいと思います。
まず、取引はいっさい認めません。
官職は廃し、学問はひろめず、
裕福と貧乏の差をなくし、
したがって奉公というものもなくなるわけです。
契約、相続、境界、領地、田畑などなくし、
所有権をめぐる相続問題も起こらなくなります。
金属、穀物、酒、油などの使用を禁じ、
職業はなにもなくなります。
男はみんな遊んで暮らします。女もです。
ひたすら無心に、清純に生きるのです。
君主権もなくしますーーー
「暮らしに必要なものは、自然が産み出してくれます。
人間が汗水流して働くことはありません。
そうなれば、反乱も犯罪もなく、剣、槍、短刀、銃砲などの武器も、無用の長物となります。
大自然は、ひとりでに、ゆたかに限りなく五穀を実らせ、
幼子のように無心に遊ぶ人々を養ってくれるでしょう」
(シェークスピア「テンペスト」より。小田島雄志による小説化)

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