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「真面目なやつ」は死に、「真剣なやつ」が生き延びる時代

「デマこい!」から抜粋転載。
私が知らなかっただけで案外人気ブログらしいから、わざわざ転載する必要も無いかと思うが、下記記事で扱われている問題、つまり「普通の人間が、今の社会で生き延びるにはどうすればいいのか」という問題は、私自身が宿題にしている思考課題の一つである。

「真剣なやつは欲しい。だけど真面目なやつは、もう要らない」

という言葉は重い。
記事前段の失職中の「彼」はその「真面目なやつ」である。そして、そういう人間はこれからの社会では不要とされるのである。

「価値の薄い作業をコツコツと積み重ねて熟練しても、来年には作業そのものが無くなっているかもしれない。いや、むしろ価値の低い単純作業は無くしていかなければならない。そういう時代だ」

言うまでもなく、そういう社会は詐欺師的性格の人間や自我の肥大した高圧的な利己主義者にとっての天国、真面目な人間にとっての地獄だろう。「真剣なやつ」とは、「目的のためには手段を選ばない」人間のことだ、というのが現代という時代なのである。「真剣」とは、他人を切り殺し、自分が生き延びるための武器のことなのだ。


(以下引用)


「どうやって生きていけばいいだろう」と彼は言った。「学歴もなければ大した職歴もない、ぼくらのような人間はどうやって生き残ればいいだろう」
京都、三条河原町。最近できたばかりのつけ麺屋に、友人とたむろしていた。
麺大盛り根菜チャーハンセットを待ちながら彼は続けた。
「いまの時代、あらゆる仕事が機械に置き換えられていっている。一昔前なら、知的な労働は人間がやるしかなかった。どんなに単純な足し算、引き算だろうと、人間の手で計算するほうが早かった。だから、ぼくたちのような人間にも仕事があった……」
と、料理が運ばれてきて、彼はちょっとだけ口を閉じる。目をむくような量の炭水化物の塊がテーブルを埋めていく。
「……だけど、いまは違う」つぶやきながら、彼はわりばしを割る。「当たり前のことが当たり前にできるだけの人間なら、機械を使ったほうが安上がりだ。ぼくらのような人間の居場所は、どんどん無くなっている。なあ、ぼくらはどうやって生きていけばいいのかな」
彼は失職中で、いまは職業訓練校でプログラミングを習っているという。
私はお冷に手を伸ばした。気づくとくちびるが乾いていた。
「そう、だね……」
すぐには答えられなかった。





(中略)



「要するに、自己評価が低いんだ」
つい数日前のことだ。先斗町のバーで、たまたま隣に座った男はそう言った。年齢は30代半ばで、会社経営者だという。バーボンで顔を赤らめながら、罵声とも嘲笑ともつかない声を上げる。
「自分のことを“平凡”だと信じ込んで、世界を変えるような人間だとは思っていない。自分の可能性を過小評価している。だから、会社に使い潰されるんだ」
最近話題になったいくつかの記事について話していた。




頓智ドットを退職した‐@suniのブログ「ニートですが?」
http://sunikang.blogspot.jp/2012/10/blog-post.html




ITベンチャーでがむしゃらに働いた結果、体を壊して無職になってしまったという内容だ。反響は大きく、たくさんのトラックバックが書かれた。




逃げろ、そして生き延びろ-インターネットの備忘録
http://d.hatena.ne.jp/hase0831/20121002




30歳を襲う進行形で起こっている社会問題‐ITエンジニアの社会学
http://d.hatena.ne.jp/pucotan/20121003/1349243094





「こいつ、ほんとうは自分のことが嫌いなんじゃねえの」と男は笑った。「自分のことを、人類史に名を残すような人間だとは思っていない。だから、たかがベンチャー企業の広報ごときの仕事をありがたがる。『私みたいな人間を使ってくれてありがとうございます』と目を輝かせる。そして体を壊すまで働かされて、それでも会社に感謝するんだ」
ふつうの人はそういうものですよ、という言葉を私は飲み込んだ。まずい話題を振ってしまったなあ……と、ちょっぴり後悔しながら。
男は続けた。
「まあ、俺みたいな人間からすれば助かるわな、こういう自己評価の低いやつは。……うちの会社はワガママなやつばっかりだから、滅私奉公してくれる人間が居つかないんだ」
とはいえ……、と肩をすくめる。
「滅私奉公できるやつ、自己評価の低いやつばかりが集まっても、これからの時代は商売にならないと思うんだよね。価値の薄い作業をコツコツと積み重ねて熟練しても、来年には作業そのものが無くなっているかもしれない。いや、むしろ価値の低い単純作業は無くしていかなければならない。そういう時代だ」
彼はウイスキーを煽ると、吐き捨てるように言った。
「真剣なやつは欲しい。だけど真面目なやつは、もう要らない」


(以下略)


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