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運命(2)

太祖(洪武帝)が諸子を封じて王としたのも、また多いと言うべく、枝葉が多く幹がかえって弱いという成り行きになったのも、当然かもしれない。明の制度として、親王は多大な財産を与えられ、歳禄は万石、護衛の士は少ないもので三千人、多いものは一万九千人にのぼり、正装、車、旗、邸宅の様は天子に近い有様で、公侯大臣も伏して拝謁する。皇族を厚くし、臣下を抑えるのもまた、極度の様と言うべきだろう。しかも、元の末裔がなお存在して、時には辺境に出没するという理由で、辺境に接する諸王には、その国内で専制し、多くの軍兵を擁することを可能にし、諸事、親王に報告の上でその決裁を仰ぐようにした。諸王に権力を得させる様、大であると言うべきのみ。
太祖が心に思うには、このようにすれば、幹と枝という元末が互いに助け合い、朱氏(朱一族)が長く栄えて、威権が下に移ることもなく、転覆の憂いも無くなるだろうと。
太祖の深智達識は、まことに前代の覆轍に鑑みて、後世に長計を残そうとしたものだ。だが、人智には限りがあり、天意は測り難い。太祖が熟慮遠謀して施し為したことが、太祖の墓の土がまだ乾かないうちに、北の平原(注:原文の「北平」は北京の意味らしいが、ここでは意図的に「誤訳」しておく。)の戦乱の塵が舞い上がり、矢と石が都城に降り注ぎ、皇帝が遠い僻地に逃走する原因になろうとは、誰が予想しただろうか。

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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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