それでね、おじ様、私も社会主義者になるつもりですの。よろしいでしょう?
無政府主義者なんかとは全然ちがいます。爆弾を投げて人を吹きとばしたりするようなやり方には賛成しないのです。たぶん私は生まれながらにして社会主義者の一員なんでしょうと思います。私は無産階級ですもの。でもまだ何主義者になるか、はっきりきめていません。日曜日によく研究した上で、次の手紙に私の主義を発表することにいたします。
親愛なる同志よ、
ばんざい! 私は右派社会主義者です! つまり気ながに機が熟するのを待つ社会主義者なのです。この一派は明日の朝社会主義革命を起こそうなどとは望んでいません。そんな急激なことをすれば社会に混乱を来します。世の中の人がみんな驚かないだけの心構えができるまで、遠い将来をめざして革命をじわじわと進めていくのです。
目下のところは産業、教育、孤児院の改革に着手することによってその準備をしなければならないのです。
同志愛をこめて
ジュディより
(J・ウェブスター「あしながおじさん」松本恵子訳)
*右派社会主義者とは、「保守的社会主義者」つまり、ファビアン協会的な漸進的社会主義者。原書では「Hooray! I'm a Fabian.」とある。私はなぜか「フェビアン協会」と覚えていた。
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