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生活の技術(14)

6)創造のコツ(「能力開発」補遺)


 


 ここで言う創造は、芸術的創造のことであるが、美術や音楽についてはうといので、文芸の創造について、そのコツのようなものを書く。もちろん、プロの創作家にはそれぞれの創造の秘訣があり、それは秘密のコツだろうが、小説家の軽いエッセイの中にそういう事が書かれていることもあるので、その中から私の記憶に残っているものや、また私自身の体験などから芸術的(文芸的)創造のコツのようなものを書いてみる。


 


① 創造物のオリジナリティを生むのは、その作者の強迫観念である。つまり、「これはどうしても書きたい」というモチーフ、あるいは気にかかってたまらないことなどがあれば、それを書いた場合、オリジナリティのある作品になるだろう。ほとんどのドラマで男女の性的関係が水面上のあるいは水面下の主題になっているのは、それがほとんどの人間の強迫観念、つまり気になってたまらないことだからである。同様に、自分が死ぬことへの恐怖が、逆に、殺人をモチーフとした作品の力となる。世の中でミステリーの需要の高い所以だ。


② ある程度の長さの作品を書くなら、毎日の継続性が大事である。つまり、その作品世界に精神を没入させるには、時間と、精神の集中が必要なのであり、まとまった時間をそれに使わないと、作品の水準は維持できないということだ。ジェイン・オースティンは、自分が小説を書いていることを家族に隠していて、家事の合間のコマ切れな時間で長編小説を何本も書いたそうだが、これは特例と言うべきだろう。


③ これは私の考えだが、「まず問題を設定する」というのが案外といい創作のコツではないかと思う。昔、堀江卓という漫画家がいて、その人の創作法は、主人公を毎回、絶体絶命のピンチに陥れて、そこで「次回に続く」とし、ペンを放り出して酒を飲みに行ってしまうというやりかただったらしい。もちろん、その先など、まったく考えていないのである。そして、次回は、前回のピンチからいかに脱出するかに頭を絞るわけである。これは、賢い方法だと思う。というのは、創作とはある意味では問題を解くことであり、その問題がいかにして解かれるかに読者の興味はあるからだ。作者自身も答えを知らない問題なら、これほどスリリングな問題も無いだろう。人間の頭は、問題を解くという方面では案外と良く働くものである。むしろ、問題を発見したり、問題を設定したりするほうが苦手ではないだろうか。そして、無の状態から作品を作るのが難しいのは実は問題が設定されていないからなのである。その点、①に書いた強迫観念には、すでに問題が設定されているのである。


 


 プロの作家でもない人間が、偉そうに創作講義をするのも何なので、これくらいにしておくが、実は世の中というものは常に「間に合わせの答え」で動いているのである。だから、ミステリーなどの解決を不合理だとか、非現実的だとか言って文句を言う人間は間違っている。現実はフィクション以上に不合理なものである。だから、作品を書こうという人間は「ある程度の合理性」さえあれば、それで十分だと、気軽に考えるのがいいだろう。なにしろ、世の中には不可能犯罪の解決を「実は犯人が宇宙人だったから」ということで片付けた作品もあるくらいだから、ノックスの「犯人が中国人であってはいけない」というハードルも、楽にクリアできるというものだ。


 


7)女にもてるには


 


 これは簡単である。常に女の側にいて、何やかやと話しかけていればいい。ただし、「百人にアプローチして、数人をモノにする」というつもりでやることだ。蓼食う虫も好き好きだから、あなたがどんなに下劣で厭な人間でも、どんなに不細工な顔でも、それでもいいという女は必ずいるはずだ。もちろん、「そんなのはモテる範囲に入らない」という人もいるだろう。では、そういうあなたは、何を望んでいるのか、世界中のすべての女から好かれ、愛されることか。そういう人間は、そういう状態が地獄であることを知らないのである。吾妻ひでおのある作品の主人公はすべての女にモテるフェロモンのために悲惨な目にあった後、「もてないってのは、なんて心が休まるんだろう」とつくづく思うのである。


 ついでに言うと、顔の良さなどというものは、女にもてる条件としてはたいした問題ではない。これは、かつての美少年である私が断言する。私をひそかに慕う女性は絶対に、無数にいたはずなのだが、実際にもてたことはほとんどなかったのである。


 


8)金を得るには


 


 これも簡単だ。金に縁の深い仕事につくことである。つまり、銀行業や証券会社。あなたに才能があればその世界で出世するし、才能がなくても、そこにある金を盗む機会はある。普通のサラリーマンなどやっていては一生金に縁が無いことは、「金持ち父さん貧乏父さん」の著者が力説しているところだ。ただし、そういう職場が非人間的職場であっても、当方は関知しない。より安全なコースとしては、公務員になるという道がある。これは国民の払った税金を優先的に使える職場であり、公務員組織全体に守られて一生を過ごすことができる。ただし、ここでも、その仕事が楽しいかどうかは別問題だ。要するに、人生の優先順位が何かということである。「あれもこれも欲しい」と思って、そのすべてが手に入るほど、この世は甘くない。芸能界で成功した美男美女たちも、枕商売無しで成功した例はほとんど無いだろう。人間としての誇りを優先して清貧に甘んじるか、金と名声と地位を得るために他の何かを犠牲にするかである。もちろん、まともな努力で地位や栄誉を得るという場合もあるだろうが、それには運命にも恵まれる必要があるだろう。


 


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