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科学否定と宗教論争

SF作家(まあ、SFだけを書いているわけではないだろうが、SFが主だと思う。)山本弘のブログ記事の前半である。後半では武田邦彦(武田武彦と誤記している。)をも批判しているが、武田氏は科学者のくせに科学的根拠に基づかないで「陰謀論」的な発言を垂れ流していることへの批判で、山本氏はこの手の「科学的根拠の無い」言説が大嫌いであるというわけだ。そういう意味では高須院長への批判も同じ部類か。
まあ、私自身、「科学」への妄信が嫌いなため、「ビッグバン説」とか「進化論」などを否定しており、山本氏からすれば敵陣営ということになるだろうが、私が高須院長を大嫌いであるのはご存知の通りである。
もっとも、私自身、「ホロコースト否定論」には耳を傾けたこともあるが、それは「なぜユダヤ人は歴史的にあれほど世界中どこでも嫌悪されたのか」という疑問と、ユダ金が世界を不幸にしてきたという歴史と、ユダ金が、マスコミ(ハリウッド映画など)を使い、ユダヤ人の受難を自分たちの保身に利用してきたことへの嫌悪感があるからだ。つまり、「ホロコーストは無かった」と信じたというより、「これもユダ金が捏造した部分が大きいのではないか」と疑っていたのである。まあ、その前に、「アンネの日記」の中に、それが書かれた当時には存在しなかった、ボールペンで書かれた部分がある、というニュースを読んで、近代のユダヤ人迫害事件の中には捏造もけっこうあるのではないか、と考えた、ということもある。
言うまでもなく、私が「ユダ金」と「ユダヤ人」を明確に区別しているのは、これまで書いたすべての記事から分かるはずである。まあ、ユダ金という言い方が良くないのは分かるが、そもそも彼らが「ユダヤ人の受難」を自分たちの盾として利用してきたから、そう書いているわけだ。
武田邦彦氏には、高須院長への嫌悪感とは違って、「科学の常識を否定する姿勢」にやや好感を持っているのだが、その発言が山本氏のような「科学を信じる」人には嫌われるのは当然だろうな、と思う。まあ、これはほとんど宗教論争に近い。どちらも、自分が信じることを否定する人間は敵だ、と思うわけである。


(以下引用)




「悪い奴らは、天使の顔して」



 長いこと小説、特にライトノベルを書いてきて、疑問に思うことがある。


 なぜ悪人は悪人のように見える容姿をしていて、悪人っぽい言動をするんだろうか。


 現実世界を見れば、そんなことは妄想にすぎないのが分かる。悪人は普通の人間と何も変わらない容姿で、時には魅力的で人当たりのいい人間である場合がほとんどである。テレビで人気者になっている例も多い。たまに批判されても、「面白いことを言う奴だ」と見過ごされる例がある。



 少し前から高須クリニックの高須院長が話題になっている。高須氏がホロコーストを否定したという話が広く知られるようになったのだ。しかし高須院長はどこ吹く風で、自分が何をしでかしたのか分からないようだ。多くの人が犠牲になったことが「ウソだ」というのだ。日本でたとえるなら、広島の原爆投下を「ウソだ」と言うようなものなのに。


 実は僕がまだと学会会長だった頃、2011年の日本トンデモ本大賞に高須氏を招いたことがある。


 この際、きっぱりと本当のことを言うが、僕はゲストに高須氏を招くことに反対だった。と学会会員の多数決で決まったのである。あの時、僕は高須氏に挨拶すらしなかった。


 当時、高須氏は「アポロは月に行ってない」と公言していた。大多数のと学会員や、一般の観客のほとんどにとっては、「面白いトンデモ説を唱える奴だ」という程度の軽い認識だったのだろう。だが、その頃すでに『ニセ科学を10倍楽しむ本』を書いていた僕にとっては、それは共有できない認識だった。


 僕は『ニセ科学を10倍楽しむ本』でこう書いた。



「いろんな苦難を乗り越えて、月面着陸という偉業を達成した宇宙飛行士の人たちや、それを支えたスタッフを、ウソつき呼ばわりしてるんだもの。たとえて言うなら、オリンピックで優勝した選手を、『インチキをしたんだろう』ってののしってるのと同じよ」



 要するに僕にとって高須氏は、社会的地位はともかく、人間的にはまったく共感できない人間だったのだ。


 だが僕の考えは、と学会員でさえ共感してくれなかった。


 その後、高須氏がホロコーストを否定していると知って、いっそう嫌悪感は深まった。ナチスの悪行については、いまさら言うまでもないが、ホロコーストについては(アポロの月着陸以上の)膨大な証拠があり、数多くの生存者の証言がある。それを「実は嘘だった」と言い切るのは、恐ろしく罪深い行為だ。


 ホロコースト否定論や『アンネの日記』捏造説については、僕は『翼を持つ少女』の中できっぱり否定した。


(あの時、高須氏の相手をしたのは、ともに『人類の月面着陸はあったんだ論』を書いた皆神龍太郎氏だったと思うが、今は高須氏の考えをどう考えてるのか知りたい)



 しかし、これだけ騒ぎになっているのに、高須氏を糾弾する声はほとんど聞こえてこない。


 高須氏がスポンサーである高須クリニックのCMはしょっちゅう流れているというのに。


 これも現実世界がフィクションと違う点だ。悪の親玉はヒーローに倒されて退場なんかしない。まったく何の報いも受けず、時には笑顔で賞賛される。


 聞くところによれば、ホロコーストのことを何も知らない若い連中の中には、高須氏に影響されて、「ホロコーストなどでっち上げだ」と考える奴が増えているのだそうだ。高須氏のような有名人でも、こんな話を堂々としているのに、どこからも罰せられないのだから、自分も同じことをいってもいいんじゃないか……そんなことを考える奴が増えているんじゃないだろうか。






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