「混沌堂主人雑記」から抜粋転載。
混沌堂主人さんがよく引用する「神戸だいすき」さんが安倍政権について易を立てたところ、「山風蠱」の卦が出た、と書かれていて、それだけでも「おおっ。実にぴったりの卦だな」と思ったのだが、その後に書かれていた「山風蠱」の説明が実にナイスである。
「容器の中の腐った空気が蓋に閉じ込められた状態」というのは、まさに今の日本の政治状況、そして社会状況そのものだろう。当然、中には蛆が湧いているというのが、「山風蠱」である。「蠱」は皿の上に蛆の湧いた状態を表わす漢字。もちろん、蛆は経団連や官僚や自公政治家。
(以下引用)
内卦は巽で風です。外卦は艮で山です。風というものは流通振作の性質があります。風は空気を移動させ、あらゆるものに清新な感触を与えていく働きがあります。しかし、この卦においては、艮の山の麓に押しとどめられてしまい、吹きぬけることができません。それにより、空気を濁らせ、湿気をよび、カビを生えさせたり、物を腐敗に導いたり、ついにはウジの湧くような状態にまで至らせます。たとえば洋服を風に当てることをせずタンスの奥深くにしまい込んでいたりするとカビが生えたり虫に食われたりします。その場合は艮が箱の蓋で、巽は腐った空気です。艮の蓋のある容器に、巽の臭い風が閉じ込められていれば、いやでも物を腐敗させるようになります。蠱という字は、蟲が三匹、皿の上にある文字で、この皿の上の蟲はしまいには必ず同類相喰む状態となるのは当然のことです。そういう意味で蠱の字は「そこなう」」と訓読みし「みだれる」と解します。さらに「まどわす」「ふるし」「やぶる」です。予、隨、蠱と配されるのも「喜びを以て人に隨うものは必ず事あり」ということです。平和に馴れ、楽しみに泥み、向上進取の気力を失ったため、更新されない空気の中に色々な弊毒が生じたのが蠱弊なのです。ですから、このまま放任しておかず何とか正していかなくてはなりません。「大川を渉に利ろし」とはそのことで、重大な覚悟をもって改新の策を施さなくてはならないことを教えているのです。そして各爻も、旧弊是正の意味を見ています。「蠱は元いに亨る」とありますが、蠱は蠱のままで亨るわけではありません。蠱の状態にあるものは、その弊毒を更新し大いに打開の道を建てることが先ず主題とならなくてはなりません。その方法が「大川を渉る」「甲に先だつこと三日。甲に後るること三日」なの です。「大川を渉る」ほどの一大決心が無ければ蠱弊は是正できません。また「甲に先だつこと三日。甲に後るること三日」とは、これを改めなくてはならないと分かっていても、いきなり実行に移すのではなく、まずは蠱の生じた由縁を調べ、そして悪しきを削り取り、再び蠱を生み出さない用意を充分にしていくべきである……そして、事を起こす三日前に用意を整え、事を起こしたら、その三日後には功を挙げるくらい速やかに、徹底的に行うべきということです。(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)
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