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台風後の静岡の惨状

長い記事だが、その分情報量も多いので転載する。まだ記事内容はきちんと読んではいない。保存目的。
毎度言うが、毎年来る台風にこのような被害が出るのは人災である。つまり、政治の責任。

(以下引用)

台風猛威 一夜明け爪痕と向き合う

2022年9月25日 05時05分 (9月25日 18時09分更新)
土砂が流れ込んだ市街地=24日午後2時41分、磐田市平松で、本社ヘリ「おおづる」から<br />

土砂が流れ込んだ市街地=24日午後2時41分、磐田市平松で、本社ヘリ「おおづる」から


  • 土砂が流れ込んだ市街地=24日午後2時41分、磐田市平松で、本社ヘリ「おおづる」から<br />
  • 一部が落橋した新屋橋=24日午後2時40分、袋井市の太田川付近で<br />
  • 館内に激しい勢いで流れ込む川の水=24日未明、静岡市葵区油山の元湯館で(同館提供)<br />
  • 帰宅困難者向けに開放された美感ホール=24日午前1時27分、掛川市亀の甲で<br />
 県内に記録的な大雨を降らせ、各地で土砂崩れや橋の崩落、浸水などをもたらした台風15号。一夜明け、住民らはその爪痕と向き合っていた。

◆浜松 社員駐車場2カ所陥没

 浜松市中区で米を販売する「米食角十」では、社員駐車場の地面が二カ所陥没した。市によると、陥没場所の地下には、市が管理する排水管が埋まっており、排水管が破損し土砂が流入したことで、陥没したとみられる。
 陥没した穴は大きいもので直径四メートル、深さ三メートルにもなり、代表の鈴木孝尚さん(63)は「万が一、人が上にいたら、命に関わっていた。本当に怖い」と表情を硬くした。
 市の担当者は「二十六日に調査する。直接的な原因は管の老朽化だと思われるが、大雨が影響した可能性もある」と話した。この場所は一カ月前の大雨の際にも陥没している。

◆コンビニは品不足

 大雨の影響は物流にも及んだ。浜松市東区のセブン−イレブン自動車街店では、道路の通行止めや停電による工場稼働停止で二十四日昼、雑誌や弁当が店に届かなかった。弁当類の棚は空になり、店では張り紙などで対応。夕方の便から配達は復活したものの、静岡市の工場の停電は復旧せず、麺類の品ぞろえが戻るまで二、三日影響が出るという。

◆磐田 街中一帯が泥の海

 磐田市では計六百六十一戸が床上・床下浸水し、県道磐田天竜線など六カ所で土砂崩れが起き、通行止めとなった。
 同県道周辺では、広い範囲に土砂が流れ出て路面を覆い、通行止めとなった区間では、重機やダンプが休まず復旧作業に当たった。県道の平松上交差点の一角にある餃子(ギョーザ)店「餃子のまるかわ」は臨時休業を余儀なくされ、店員ら七人がブラシとホースを手に店の周りに広がった土砂を洗い流した。男性店員(48)は「普段なら土曜日は百人以上のお客さんが来店するが、とても営業できない状態。(日、月曜日の定休日が明ける)火曜日から再開できるかどうか」と話していた。
 市内ではほかに敷地川など河川六カ所で決壊、越水が発生し、車両十一台が水につかった。 (勝間田秀樹)

◆落橋 無残な姿に

 磐田、袋井市境の太田川に架かる新屋橋が崩壊した。二十四日朝、袋井市災害対策本部に「落橋している」との連絡が入った。市によると橋は木製で、全長約五十メートル、幅三メートルだった。
 橋近くに住む会社員の加藤一将さん(42)は二十四日午前一時半ごろ、川の様子を確認するため、橋を訪れた。「雨は降っていなかったけど、川は『ゴーゴー』と大きな音がしていました」と振り返る。
 一夜明け、家族から「橋が無くなっていた」と伝えられ、同日昼過ぎに再び訪れた。濁流が流れ、無残に崩れた橋を見た加藤さんは「こんな様子になっているのは初めて見ました。夜まではあったのに」と語った。

◆静岡 川氾濫し旅館の壁破り浸水

 静岡市葵区油山(ゆやま)の旅館「わんこと泊まれる貸切温泉油山温泉元湯館(もとゆかん)」では、近くの川からあふれ出た土砂を含んだ水が館内に流れ込み、浸水した。
 同館によると、二十四日午前零時ごろから、露天風呂や大浴場の排水管から水があふれ出し、従業員は排水作業に追われた。その後、未明に氾濫した付近の油山川から土砂を含んだ水が壁を突き破り、館内を水浸しにしたという。
 当時、館内には宿泊客二組四人と犬が三匹、従業員二人がいたが避難してけがはなく、宿泊客は同日午前九時すぎに消防のヘリコプターで救助された。
 同館の海野博揮(ひろき)社長(40)は「お客さまや家族にけががなくて良かった。コロナ禍でもなんとか踏ん張ってきたが、さすがに苦しい」と肩を落とした。 (板倉陽佑)

◆新ポンプ場の整備地区浸水

 七月下旬に供用開始した高橋雨水ポンプ場(静岡市清水区)のある高橋地区も、浸水被害に見舞われた。改築工事で建築基準法違反などの発覚により供用開始を一年近く遅らせながら、地域の水害を防ぐ本来の役割を果たせなかった。
 近くの女性(81)宅は、床上二十五センチまで浸水し、一階の畳は全て使えなくなった。女性は「浸水しないようにするためと市に言われ、長い工事を我慢してきた。この怒りをどこにぶつければいいのか」と憤った。女性によると、周辺の十数軒も同様の被害という。
 市によると、ポンプ場は二十三日夜から稼働。最大で一時間に約百二十ミリを観測したとされる今回の雨は、建設時の想定を超えており、担当者は「想定以上の雨で放流先の川もあふれ、浸水を防げなかった」。来年三月までに策定予定だった市雨水総合排水計画の見直しを検討するという。

◆エコパ ライブ観客が帰宅できず

 公共交通機関が利用できなくなった影響で、二十三日に袋井市のエコパアリーナであったライブを訪れた多くの観客が帰宅できなくなり、施設や駅などで一夜を明かした。
 男性四人組ユニットのライブで、観客は約六千人。ライブ終了後に雷が鳴り、主催者側の呼びかけで、多数の人が会場内に待機。その後サブアリーナを開放し、約八百人が宿泊した。
 主催者が用意したバスでJR掛川駅に向かった人も新幹線が止まり、立ち往生。掛川市は急きょ、近くの市美感ホールを開放し、対応した。行き場のない人は最大二十二人まで増え、市職員が毛布や飲料水を運び入れ、交代で見守った。
 横浜市から訪れた女子高校生(17)は、ツイッターで、ホールでの受け入れを知り「午前二時まで駅にいたので助かった。安心して休めた」と感謝していた。 (長谷川竜也、中野吉洋)

◆本紙記者ルポ 何度も停車、新幹線で一夜

 二十三日午後五時三分発の岡山行きの東海道新幹線ひかりに乗り込んだ。東京駅を出て三十分ほど、新横浜駅を過ぎた駅のないところで、突然停車した。
 窓を激しくたたく雨。「雨量が規制値に達したため、運転を見合わせております」。淡々としたアナウンスが車内にひびいた。旅行客とみられる数人の女性が「どうする?」と不安げな様子で話し合っていた。
 雨が降り続ける中、新幹線は運転を再開。だが、その速度は在来線並みで、新富士駅の手前で再び停止した。「豊橋地区で非常に激しい雨が降り続いています」。そんなアナウンスが繰り返し流れ、記者も含め、多くの乗客がスマートフォンで情報を収集するなど不安が募った。大きな混乱はなかったが、時間の経過に伴い、乗客からため息が漏れるなど車内に不満が充満した。
 数時間後に到着した新富士駅で、東海道新幹線の運行休止が知らされた。午前零時すぎ、乗務員から乗客に栄養補助食品と水が配られた。「こういう事態も想定し、準備しているんだ」と思うと少しほっとした。
 夜が明けても川の水位が上昇したため、運行はいつまでたっても再開されなかった。東京駅を出発してから二十時間。目的地の浜松駅に到着したのは、二十四日正午だった。 (鈴木美帆)

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