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努力しない人を国家は救済すべきか

「分裂勘違い君劇場」の古い記事だが、このブログを読むのは久しぶりで、懐かしい。
この筆者の知性と洞察力、分析力はネット言論人の中でも屈指のものだと私は思っている。まあ、性に合わない、という人もいるだろう。
私自身が努力が苦手な性格なのだが、「努力しない人を国家が救済すべき理由」を考察しようとは思わなかった。しかも、言っていることがすべて納得である。凄い書き手である。おそらく、私自身も頭が「世間の常識」の垢にまみれていたのだろう。
まあ、実際、努力したかどうかだけで運命が決まるものでもないわけだが、社会は失敗者や不遇者や怠け者に厳しい。その厳しさで社会が良くなるかどうか、下の記事を読むとよい。

(以下引用)

努力しない人を国家が救済すべき14の理由 



ちゃんと努力をしているのに運悪く失業しちゃった人を国家が救済するのに異論がある人はあまりいない。
しかし、スキルアップ努力も貯金もせずに浪費しまくり、ギャンブルや女遊びなどの自堕落な生活を続けて失業しちゃった人達を国家が救済する理由が分からないという人がたまにいるので、その理由を箇条書きにしてみる。*1


  • 「努力しなかったために職を失った人」が家を失うと、ホームレスが街にあふれて街の景観と治安が悪くなるから。子供の乞食やひったくりが、うようよいる社会に住みたいという変な趣味の人はなかなかいないよ。
  • 「努力しなかったために職を失った人」かどうかの選別が難しいから、努力した人もしない人も区別せずに全員救済する方が現実的。
  • 「怠け者を税金で養うのはしゃくにさわるが、怠け者を養う金をケチったために怠け者が飢え死にしたら、とても寝覚めが悪い」と思う人が多数派だから。もちろん、怠け者を死刑になんぞしたら、もっと寝覚めが悪い。
  • 好景気のときの失業は『「全員分の椅子がある椅子取りゲーム」で空いている椅子にたどり着けない人がいる』というサプライサイドの問題なので、「本人の努力」というミクロ的な要因に帰すこともできるかもしれないが、不況のときはマクロ的に総需要が不足して失業が増大する「全員分の椅子のない普通の椅子取りゲーム」(デマンドサイドの問題)になる。不況の時は全ての怠け者が働き者になってもやっぱり失業者が出るので、怠け者であるかどうかに関係なく、失業者全員を救済する政策を実行するしかない。
  • そもそも努力しないことは道徳的な悪ではない。努力をした者に多くの報酬が配分される可能性が高くなる社会システムになっているのは、単にその方が社会全体が豊かになる、というインセンティブ設計の都合に過ぎない。
  • ろくに貯蓄せずに、欲しいものをどんどん脊髄反射的に買ってしまうような人達は、景気を良くしてくれる経済の救世主なのだから、景気が悪化したときにそういう人達を救済してあげるのは、辻褄が合っている。むしろ金を貯め込むばかりで、ろくに消費しない老人や富裕層の方が、この社会を悪くしている。不況の時に、金を貯め込んだ老人と富裕層が一斉にドバドバ消費を始めれば、椅子取りゲームの椅子の数は増え、多くの失業者が救済されるはずだ。
  • 低い待遇に甘んじている怠け者がいるからこそ、働き者は相対的に自分の待遇の良さを実感し、誇りを持って働ける。「他人との比較によって自分の幸せが決まるわけではない」という主張をする人は、心の底の方で、自分にウソをついている
  • 向上心のある努力家は、クリエイティブでなく、スキルアップに繋がるわけでもない仕事をやりたがらない。彼らの代わりに、スキルアップに繋がらない低賃金で退屈な仕事をのんびりやってくれる人も、一定数は社会に必要である。不況でそういう人達がいらなくなった時に国家が養っておけば、また景気が回復したときに、そういう人達に働いてもらえる。
  • 才能があるのに怠けている人と、才能がないので怠けている人がいる。才能の乏しい人は、努力してもしなくても、社会全体の生産性にはたいして影響しない。彼らが怠け者であっても社会は大して困らないし、彼らが働き者になっても、社会はさほど豊かにならない。才能の乏しい人間の最大の社会貢献は、犯罪を犯したり他人に迷惑をかけるような社会的害悪を垂れ流さないことである。
  • 経済的な生産活動の才能はなくても、すばらしくクリエイティブなものを生み出す人達が、ほんの少しいる。社会が経済的に役に立たない人達を養っておくと、そういうゴクツブシたちの中から、豊饒な文化が生まれてきたりする。
  • 「努力しなかったために職を失った人に最低限の待遇を与えること」と「努力した人により良い待遇を与えること」は両立可能なので、怠け者を救済したところで、働き者のやる気が削がれるわけではない。
  • 怠け者に罰を与えたところで、社会が良くなるわけではない。働き者に報償を与えればそれで十分である。
  • 彼らは社会の多様性を保つのに貢献している。ハエも蚊も寄生虫もシマウマもライオンも、等しく生態系の豊饒さに貢献していて、貴賤はない。
  • 日本の経済を立て直すためにこれから観光産業をもり立てようとしているのに、街に失業者やホームレスが増えて景観が悪化したら、観光産業にはマイナスになる。


もちろん理屈としては、努力なんてしない自堕落な人を見捨てる社会もありうるよ。職にあぶれた人が都市の近郊にスラムを形成するような社会だってあり得るさ。
ただ単に、そういう社会をこの国の多数派は望んでないから、そういう政策を掲げる政治家が選挙に当選することはない、というだけの話。スラムや子供の乞食がいる社会を望む人ってのは、なかなかいない。そして、この社会は多数決原理で動いているんだ。



*1:もちろん、そもそもそういう人を救済するのに理由なんていらない、という人は読む必要はない。しかし、納得できていない人にひたすら「良心を持ちなさい」というのは不毛なんだよね。


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